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「値下がりしにくい」タワマン・マンションランキングで、首都圏トップ20入りしているプラウド南青山(データ出典:住まいサーフィン) (撮影/写真部・長谷川唯)
床の傾きは問題ない? マンション購入の見極めは管理組合〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151104-00000003-sasahi-life
週刊朝日 2015年11月13日号より抜粋
「『うちのマンションは大丈夫か』という電話が各社にかかっている。マンションは、まだこの世に出ていない段階で顧客と契約し、造って売る仕事。建設のプロセスを信用されなくなれば仕事は来なくなる。だから普通の技術者ならばデータ偽装は絶対にやりません。後のことを考えれば、改ざんしていいことは一つもない」(ゼネコン関係者)
三井不動産グループが販売した横浜市都筑区の大型マンションが傾いた問題は、騒動が収まるどころか拡大しかねない情勢となってきた。素人には見ても到底判断がつかない問題。マンション族はもちろん、最近盛んな「相続対策」でタワーマンションの購入を検討中の人にも頭の痛い問題だ。マンションは「買い」なのか、どんなマンションであれば価値が落ちないのか。取材を進めると、かすかな光明も見えた。そう、大きな不具合も出さずに生き抜いてきた「サバイバー中古」こそ買いなのだ。
実は中古マンション市場はいま、空前のモノ余りの状況になりつつある。というのも新築価格が過去最高のレベルが続き、中古相場も上昇。人口減が顕著になる2020年問題を背景とする「最後の売り時」ムードも拍車をかける。東日本不動産流通機構によると、人気が高い東京都心3区(千代田、中央、港)の新規登録戸数はとくに増えており、9月は前年同期比55.2%増の1231戸だ。
そのモノ余り物件から、どうすればより良い「サバイバー中古」を見つけ出せるのか。購入のリスクは少しでも避けたいのがホンネだ。健康体の見極め方を聞いて回ったところ、例えば今回注目が集まった基礎の杭について、役立ちそうな話があった。あるゼネコン関係者は言う。
「超高層(タワーマンション)は直接掘って、その場で杭を造るので、杭の長さが足りないからデータを改ざん、ということがない」
タワマンの杭で「データ改ざん」などあろうものならそれこそ大騒ぎだが、違うようだ。杭の専門家によると、杭には大きく2種類あり、一つは既製品の杭。一般的には3階から15階の建物に使い、運搬時の規制で、1本の長さは15メートルまで。硬い支持層まで届かないとわかっても、その場ですぐに対処はできない。既製品が届かず、データを改ざんしたのが横浜の問題だ。
もう一つは「場所打ち杭」。支持層が出てくるまで掘って、その場で杭を造る工法で、より強固な基礎が必要なタワマンなどの超高層建築に使う。このほか支持層が地盤の浅い所にある場合は、全部掘って支持層を露出させ、その上に建てる「直接基礎」工法もあり、原子力発電所やマンションにも使われている。物件選びの際、これらの豆知識を知っているだけでも無用な心配は減りそうだ。
ではモデルルームや内覧など、現地に行った際にできることはあるのだろうか。ホームインスペクション(住宅診断)で実績のある不動産コンサルティング会社さくら事務所(東京都渋谷区)の土屋輝之さんによると、最も重要なのは、意外にも「見た目」ではなく、「管理組合の運営状況」という。土屋さんは言う。
「建物で致命的な問題を抱えているのはごくごく一部です。ただ管理に問題があると、自分一人ではどうにもならない。分譲新築時は問題ないのですが、入居者の維持管理次第でどんどん変わってしまうんです」
土屋さんによると、不具合が出る段階にない新築物件は津波、河川氾濫、液状化などの影響を行政が出すハザードマップで確認することや、モデルルーム内に置いてある設計図面で掘削データや杭の工法を見る以外、有効な対策はない。
売れ残り物件の場合も「できたて」のため、不具合はまず見えない。専門家と一緒にバスルームの点検口からコンクリート躯体などを確認するのがせいぜいのようだ。一方で中古は「管理組合の実態を見れば、新築よりもしっかりしたものが選べる」というのだ。
例えば、目の付け所の一つは修繕積立金だ。「残高や滞納額を見ると、住人の素性すら見えてきます。長期修繕計画に比べて、金額を早く大きく積み立てていれば活発です。一方で滞納額が多かったり、駐車場の空きが多いと、その組合は予定した収入を得られていないということになる」
また「ひび割れ」も重要な手がかりになる。マンションは分譲後2年間は広範なアフターサービスで保証され、活発な組合ならば、例えばコンクリートの乾燥収縮でできたひび割れをその期間中に修繕し、記録も残しているという。
一方で、ひび割れでも、各階の同じ方角の壁などに「同じ傾向性」を持ったひびが現れた場合は構造問題の可能性ありだ。玄関ドアやサッシに異常がある場合も要注意。「直接コンクリートに設置されている部分なので、躯体の異常を察知しやすい」という。
ただ世間では勘違いも多いようだ。例えば、部屋の中のドアの異常。土屋さんによると、屋内ドアはあくまで「内装」の一つで、構造問題ではない。また、ビー玉やゴルフボールを転がし、床の傾きを調べる人も多いが、「床の水平はそんなに精密ではありません。マンションではコンクリート床の上に舞台のような床を載せた二重床が多く、ほとんどはその足の高さを調整すれば解決する」と話す。
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