4. 2015年11月02日 18:13:55
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米社債市場が活況−景気に明るい兆候米マイクロソフトは先週、130億ドルの債券を発行し、ニューヨークの五番街に直営店をオープンした(写真) PHOTO: STEPHANIE KEITH/BLOOMBERG NEWS By MIKE CHERNEY 2015 年 11 月 2 日 13:53 JST 米社債市場が再び活況だ。投資家が米経済の底力を信用している表れだろう。 ディールロジックによると、高格付け米社債の発行額は10月に1030億ドル(約12兆4000億円)に達し、10月としての最高水準を記録した。また、米証券業金融市場協会(SIFMA)のデータによれば、米社債の2015年発行額は4年連続で過去最高を更新する見通しだ。 多くのアナリストは債券発行ペースが年末まで高水準を維持すると予想している。着実な経済成長に加え、夏終盤の起債の減少で投資家需要が積み上がっていること、企業が12月に予想される連邦準備制度理事会(FRB)の利上げよりも前に低金利で資金を調達しようとしていることなどが理由だ。 FRBが年内の利上げを示唆した翌日に当たる10月29日、マイクロソフトは130億ドルの債券を発行した。26日の週にはこのほか、保険大手エースが53億ドル、スポーツ用品大手ナイキが10億ドルの起債をそれぞれ実施した。ナイキの債券発行は約2年ぶりだ。油田開発サービス大手ハリバートンは大型起債を計画しており、今週初めにも実施する可能性がある。 バークレイズのデータによると、高格付け社債と国債のスプレッド(利回り差)は10月30日時点で1.59%と、10月初めの1.71%から縮小している。スプレッドが縮小しているというのは、買い手が国債に対する社債の上乗せ利回りの低下を進んで受け入れているということで、投資家がデフォルト(債務不履行)などのリスクは低下しているとみていることがうかがえる。S&P米投資適格社債インデックスによれば、30日時点で高格付け社債の利回りは3.22%だった。 バークレイズによると、全体では高格付け米社債の年初来収益率(価格変動分と金利含む)はプラス0.32%だ。 一部の高リスク企業についてでさえ投資家需要は強い。電子決済処理大手のファーストデータは「ジャンク(投資不適格)」の格付けだが、30日の起債では、発行利回り7%で当初予定の7億5000万ドルを大きく上回る34億ドルを発行した。 債券市場の回復は、2015年後半に入りやや失速したと見られていた米経済にとって良い兆候だ。米経済は、成長率が7-9月期に減速し、雇用の伸びも鈍化しているものの、新興国の大幅減速をよそにゆっくりと勢いを取り戻しつつあるようだ。 コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのジーン・タヌッツォ氏は「(社債は)他の大半の市場指標よりも正確な景気先行指標だ」とした上で、「(社債市場が)大きく持ち直せば、景気が良好であるしるしだ」と指摘した。 左から米高格付け社債発行額(各年10月)、米社債発行額(10月26日の週)、米高格付け社債と国債のスプレッド ENLARGE 左から米高格付け社債発行額(各年10月)、米社債発行額(10月26日の週)、米高格付け社債と国債のスプレッド 夏終盤の市場混乱を受けて債券発行は9月に大きく落ち込んだものの、足元でリスク志向は回復している。夏場の終わりに昨年末比で大幅なマイナス圏にあった米主要株価指数はプラス圏に戻している。 ディールロジックによると、投資適格社債の9月の発行額は前年同月を約23%下回る1050億ドルにとどまり、9月としては2011年以来の低水準だった。投資家や銀行関係者が夏の休暇から戻る9月は通常、10月よりもはるかに債券発行額が多い。 起債の落ち込みは、企業の財務上の健全性がすでにピークに達したとの懸念が高まっていることを浮き彫りにした。企業がどれだけ資金を調達しやすいかを表す信用サイクルは後半局面に入り、景気の悪化を予兆しているのではないかという不安の表れとも言える。 バークレイズの債券シンジケート部門グローバルヘッド、マーク・バンフォード氏は「市場の主要部分で動きが止まったときこそ、不安を覚えるものだ」と述べた。 バンクオブアメリカ・メリルリンチで米国投資適格資本市場部門の共同責任者を務めるアンドリュー・カープ氏は、債券市場に関しては「(9月は一年の中でも)資金調達が可能か疑問に感じられたことがないという特徴がある」と指摘した。 トリプルA格付けを維持する数少ない企業の一つ、製薬・医療機器大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は新たな債券を発行して100億ドル規模の自社株買いを行う計画だ。 他にも起債の下準備を進めている企業は複数ある。 ファクトセットによると、光ファイバー・液晶ガラス基板大手コーニングのトニ−・トリペニー最高財務責任者(CFO)は10月27日の電話会議で「バランスシート上の債務を増やす方針だ」と述べた。正確な時期は明らかにしなかったが、「数年以内」との見通しを示した。 それでも信用サイクルがピークに達している可能性を示す兆候はある。ジャンク級の社債のデフォルト増加が見込まれることや、格付け機関による社債の格下げが増えていることだ。収益が伸び悩む中、企業幹部は一段と合併・買収(M&A)を推し進めているが、これは一部の企業で今後債務が増大する可能性があるということだ。 http://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CM549_ABREAS_16U_20151101124211.jpg |