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空き家率13%突破! 価値が下がりにくい「売れる家」はどんな物件か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151102-00016532-president-bus_all
プレジデント 11月2日(月)11時15分配信
▼不安ポイント
・空き家率は全国平均ですでに13%を突破
・都心でも足立区が100万円の助成を開始
・日本の住宅価格は今後20年、毎年2%下落するとの試算も
■もはや家は老後資金にならない
「老後資金が不安だけど、いざとなったら親父から受け継ぐ家を売ればいいや。東京都内なんだから高く売れるはず。これで老後は安心だ」――。
残念ながら、そんな甘い考えはもはや通用しないかもしれない。新たな戸建て住宅やマンションがどんどん建てられる一方で、「空き家」がどんどん増えている。なぜ空き家になるかといえば、売れないからにほかならない。
総務省の2013年住宅・土地統計調査(速報集計)によれば、国内の総住宅数6063万戸のうち、なんと13.5%が空き家だという。これが、今の日本の現実なのだ。
「空き家が増えているのは、なにも都市部の郊外や地方に限った話ではありません。東京23区とて例外ではないのです」と語るのは、不動産コンサルタントとして活躍する長嶋修氏。
「足立区などは、空き家の適正管理もしくは解体のために最大100万円の助成をしています。世田谷区でも空き家活用のプロジェクトが始まっている。豊島区などは、日本創成会議で消滅可能性自治体とされたほど。首都圏の人口は2030年頃まではさほど減らないのですが、高齢者が亡くなると空き家として放置され、若い人は新築マンションなどに住むという構図ができているのです。さらに現在、日本の持ち家率は約60%ですが、持ち家志向の低下とともに、これからどんどん下がると予想されています」
こうした問題を背景に、長嶋氏の元へも、相続する実家の扱いや処分についての相談が多数舞い込むという。
「私のところへ来る相談者は、住宅の1次取得層である30代から40代の方が多い。その親御さんは郊外の一戸建てに住んでいたりする。『母が他界し、父ひとりで住むには広すぎる。どうしたらいいでしょうか』というのです。私の答えは決まっています。一部の確実に値上がりが見込める不動産や価値が明らかに下がらないケースを除き『売れるものなら、いますぐ売ったほうがいい』です。今後20年、日本の住宅価格は毎年2%ずつ下落するという試算もあるのですから」
老後のステージでは、家を売って現金化したくなるシーンはままある。「ひとりになったので息子夫婦の住むマンションへ世話になりたい」「階段がきついから平屋のバリアフリーの家に住み替えたい」「郊外から病院に近い街中に移りたい」「介護に備えてケア付き住宅に移り住みたい」などなど。
「みなさん『必要性が差し迫ったら売却を考える』とおっしゃる。たとえば、『家族にとって思い入れのある家だから』とか、『いま家を売ると親が、急に弱気になる気がして』などといった理由をつけて。でもそれでは遅きに失することが少なくないのです」
■価値が下がりにくい「売れる家」はある
もし、これまで住んでいた家が売れないとなれば、維持費などがかかり、負の資産でしかない。後々、子供が相続しても困るだけだ。
では一方で、売れる家があるのかといえば、長嶋氏は「ある」と断言する。相続する不動産がこれにあてはまるなら、しばらく相場の行方を見るという選択肢もあるかもしれない。また、自ら新たに住宅を取得するなら、断然、「売れる家」を買うべきだろう。
「日本の不動産は大きく三極分化しています。1つめは、値上がりが見込める物件。2つめは、価値が落ちない物件。3つめは、大多数を占める価値が下がり続ける物件です」
1つめに当てはまるのが、赤坂、青山、白金など誰もが知っているような都心の超一等地にある物件だ。
「リーマンショックや東日本大震災の後、まだ価値が回復していないだけに、ロンドン、ニューヨーク、香港など世界的な都市と比べて割安。15%から20%は上がる余地を残しています」
ただし、これらのエリアにある不動産となれば、おいそれと手を出せるものでもない。一般に注目したいのは三極分化の2つめにあてはまる物件。これは、14年8月から施行された「改正都市再生特別措置法」にからむ、いわゆる「コンパクトシティ政策」によって、優遇措置を受けるエリアの物件だ。
コンパクトシティとは、市街地の空洞化を解消して範囲を小さく保ち、歩ける範囲の生活圏においてコミュニティを再生し、住みやすいまちづくりを目指すもの。改正都市再生特別措置法により、各市区町村には「都市機能誘導区域」と「居住誘導区域」が設けられ、そのエリア内においては住環境向上のための補助や規制緩和が行われる。インフラ整備も優先で進むだろう。
「当然、そのエリア内であれば不動産価格は維持できる可能性が高く、上がる可能性すらあります。一方、エリア外となれば、三極分化の3つめにあてはまり、不動産価格は落ちるだけとなりかねません。まさに道路1本を隔てて天国と地獄。問題はその線引きが各基礎自治体に任されていること。すんなりとはいかないでしょうから、動向を注視する必要があります」
さらに長嶋氏が注目してほしいというのが、国土交通省の指導により来年度から変わるといわれている中古戸建て住宅の建物評価法だ。
「これまでは築20〜25年を越えた物件はすべて価値がゼロとされましたが、これからは、たとえ同じ築年数でも物件によって700万円、800万円、やはりゼロですというように、建物の質や劣化具合によって差が生まれます。ようやく日本でも住宅が適正に評価され、本当の意味での資産価値が認められる時代がくるのです」
つまり、いまはゼロ評価でもあきらめることはない。価値が生まれる物件も出てくるというわけだ。
▼対策ポイント
・資産価値は下がって当然。売れるものはすぐに売る
・「コンパクトシティ」に認定されると価格向上も
・来年度から変わる!? 中古住宅の評価法に注意
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不動産コンサルタント
長嶋 修(ながしま・おさむ)
業界でいち早く個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」設立。著書に『これから3年 不動産とどう付き合うか』『「空き家」が蝕む日本』など多数。
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小澤啓司=文 遠藤素子=撮影
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