4. 2015年11月02日 20:55:11
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トルコ・リラが急伸、株と債券も上昇−総選挙で与党AKPが過半数 2015/11/02 18:16 JST (ブルームバーグ):2日のトルコ金融市場で通貨リラは急伸、株と債券も買われた。1日投開票のトルコ国会(一院制、定数550)の総選挙で与党・公正発展党(AKP)が過半数を奪還し、数カ月続いた政治的なこう着状態が打開された。 リラはドルに対する終値ベースの比較で2008年以降で最大の上昇を演じ、トルコ株の指標であるイスタンブール100種指数は約2年ぶりの大幅高。10年物国債は上昇し利回りは3カ月余りで最低となった。 イスタンブール時間午前10時27分現在、リラは4.2%高の1ドル=2.7968リラ。10年物国債利回りは42ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の9.35%。イスタンブール100種は5.1%高。 AKPは6月の選挙で02年以降で初めて過半数を失い、政治空白が続いていた。不透明感を嫌気してトルコ資産は新興市場資産の中でも売られやすくなり、リラは対ドルで過去最安値を付けていた。 アナトリア通信によれば、開票が終わった時点でエルドアン大統領の支持基盤であるAKPの得票率は約49%。同党は316議席を獲得したもよう。これで大統領権限を強化する憲法改正論議が再燃しそうだが、国民投票実施には330議席が必要になる。 原題:Turkey Lira Soars Most Since 2008 as AK Party Win Ends Deadlock(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:イスタンブール Constantine Courcoulas ccourcoulas1@bloomberg.net;イスタンブール Tugce Ozsoy tozsoy1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Samuel Potter spotter33@bloomberg.net 更新日時: 2015/11/02 18:16 JSTコラム:円高シフト鮮明へ、来秋ドル113円も佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長 [東京 2日] - 日銀は10月30日の金融政策決定会合で、金融政策の据え置きを決定した。一部海外勢を中心に追加緩和期待もあったため、政策発表後に円は一時買われた。 通常、展望レポートが発表される4月末と10月末の政策発表時間は午後1時台が多いが、今回は12時22分だった。据え置きを予想しつつも、ある程度の議論の紛糾を見込んでいた人たちにとっても、予想外に早い発表だったと言える。採決結果も前回と同じ8対1で、ほとんど新しい議論はなかったのかもしれない。 日銀は2016年度の消費者物価指数(CPI)前年比の予想を、7月時点の1.9%から1.4%に引き下げたが、2017年度の予想は1.8%で据え置いた。もっとも、CPI前年比が2%に到達する時期については、これまでの「2016年度前半頃」から「2016年度後半頃」に先延ばしした。 黒田日銀総裁会見で最も印象的だったのは「物価だけが上がればよいわけではなく、賃金も一緒に上がらなければ、経済全体のバランスが取れず、2%というインフレ率を安定的に達成するのは難しい」との発言だ。 確かに日銀は2%の物価目標に関し、「これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続する」としている。賃金が上昇しない中でインフレ率が上昇すれば、実質賃金はマイナスとなり、消費に対してはマイナスだ。結果的にインフレ率は維持されないだろう。 金融政策などを背景に円安となり、企業収益も過去最高水準に達したが、それでも賃金は十分に上昇していない。今後必要なのは、こうした構造的な問題をどう解決するかという政策・対策なのだろう。 <円を取り巻く環境が激変、低金利通貨の座もユーロに奪われる> 当社は、来年7―9月のドル円相場予想を115円から113円に引き下げた。当社エコノミストは今回の結果を受け、日銀の追加緩和は来年11月までないとの予想に変更した(来年10月末の決定会合は10月31日―11月1日開催。また来年から決定会合の回数もこれまでの14回から8回に減少)。 ただ、日銀追加緩和の有無にかかわらず、これまでの円安トレンドはすでに終了しており、来年に向けては円高基調が続くと予想している。それは円相場を取り巻く環境が、円安が大きく進んだ2013年、2014年とは大きく異なっているからである。 最も大きな違いは経常収支だ。今年の経常黒字額は1月から8月までで11.6兆円。昨年1年間の同黒字額は2.6兆円だったから、急増していることが分かる。 ちなみに、経常黒字が昨年まで急速に減少した背景には、2011年頃から始まった貿易収支の急速な悪化があった。貿易収支は2011年に赤字となり、その後も年々悪化し、2014年には10.4兆円まで赤字幅が膨らんだ。 貿易赤字増加の背景には、エネルギー価格の急上昇とアジアからの輸入増加があった。時折、原発停止でエネルギーの輸入が増えたのではとの質問を受けるが、実はこの間の原油輸入量は減少している。液化天然ガス(LNG)輸入量は増加しているが、輸入量増加分の金額的な影響は1兆円強でしかない。 筆者は、2013年から2014年の大幅な円安の原因はこうした貿易収支の急激な悪化だったと見ている。確かにアベノミクスや日銀による量的・質的緩和が心理的な影響を与えたのも事実だろうが、円相場を取り巻くファンダメンタルズも、円を押し下げる方向に大きく変化していたのだ。 ただ、貿易収支は今年に入り、大きく改善している。1―8月の貿易赤字は0.8兆円と、前年同期(7.9兆円の赤字)から大幅に減少している。これが今年の経常黒字が急拡大している背景だ。つまり、円相場を取り巻くファンダメンタルズは、昨年、一昨年とは異なり、今年は急速に改善し、円高方向の動きを示唆し始めているのだ。 もう1つ、今年大きく変化している重要なファンダメンタルズは金利差だ。特に昨年以降、日本以外の先進国も金利を引き下げてきたため、日本と他国との金利差が大きく縮小している。その中でも特に円相場に影響を与えていると考えられるのはユーロの金利だ。2年以下のやや短めの金利を見ると、今年に入ってからユーロの金利が円の金利を下回っている。 これは円相場にとって重要な意味を持つと考えられる。通常、市場が安定し、投資家のリスクテイク志向が強まると、低金利通貨を売り、高金利通貨を買う、いわゆるキャリートレードが活発化する。これまで、こうした時には円が典型的な低金利通貨として売られることになり、たとえ経常黒字に伴う円買いが多額に上っていても、それ以上に円が売られ円安になることがあった。 しかし、今年に入ってからは、「典型的な低金利通貨」の地位がユーロに奪われてしまったため、投機的な円売りが発生しなくなっている。これも円を取り巻くファンダメンタルズの劇的な変化だ。 こうした中、政府・当局者の円相場に対する見方の変化も重要となる。昨年までは円安進行を好ましく思っていたように見えた政府・当局者も、最近はさらなる円安進行を警戒し始めているようだ。賃金が十分に上昇しない中で、食品価格が上昇し始めており、円安進行がインフレ率を押し上げれば消費にとってマイナスとなるのは明らかだ。 また、最近合意に至った環太平洋連携協定(TPP)も、米議会で順調に承認されるためには、ここでいたずらに円安が進むことは好ましくない。昨年までは短期的な円ショートポジションを造成しても、日本の政府・当局が味方をしてくれていたが、円安けん制発言が飛び出しかねない現在では、安心して短期的な円ショートポジションを保有しづらくなっている。 <ドル急騰再現は望み薄、来年後半に115円下抜けか> さらに、もう1つ重要なのはドルの動きだ。ドル円は昨年8月上旬の101円台半ばから、10月末の日銀追加緩和を挟み、昨年12月上旬までの4カ月間で121円台後半へと20%程度の急上昇を見せた。こうした動きはもちろん円安による部分も大きいが、ドル高による部分も大きかった。 実際、同期間にドルは主要通貨の中で圧倒的に最強通貨となっており、2番目に強かったカナダドルに対してさえ5%程度上昇している。一方、この間、豪ドル円は7%、ユーロ円は9%程度しか上昇していない。 年末から来年にかけて米連邦準備理事会(FRB)が利上げを行うことが予想される中、今回もドル高を予想する声は聞かれる。しかし、過去の経験則から言えば、ドルはFRBが最初に利上げを行うタイミングの前後1カ月程度でピークを迎え、その後半年程度は反落基調に向かう傾向がある。 ドルは名目実効レートベースで昨年7月から19%程度急騰している。長期の水準を測るのに適している実質実効レートベースで見ると、2001年につけたピークとほぼ同水準のところまで上昇している。ここから多少ドルが上昇する可能性は否定しないが、昨年後半と同じような急騰を望むことはできないだろう。 こうした環境の変化に鑑み、ドル円は来年後半には115円を下抜ける可能性が高いと筆者は予想している。また、当社エコノミストが予想する来年11月の追加緩和前には、110円を割り込むリスクも十分に考えられる。 *佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。 ブラジルの年金危機、ギリシャ以上に深刻 2015年 10月 23日 コラム:不毛な中国消費の「指標」探し 2015年 10月 30日 コラム:中国だけでない円高要因、ドル安の予兆=佐々木融氏 2015年 10月 19日 http://jp.reuters.com/article/2015/11/02/column-torusasaki-idJPKCN0SR0DI20151102?sp=true
コラム:追加緩和見送った日銀ロジックの矛盾 熊野英生第一生命経済研究所 首席エコノミスト [東京 2日] - 日銀は、消費者物価が2%の伸び率になる目途を、2016年度前半から2016年度後半に先送りした。理由は、原油下落であるから、追加緩和を実施するに及ばないということだ。 黒田日銀総裁は、消費者物価が生鮮食品とエネルギー価格を除いた指数でみると、9月は前年比1.2%まで上昇している点を強調する。通常の生鮮食品を除く総合指数では、8月、9月と続けて、前年比0.1%下落とマイナスの伸びだが、エネルギー要因を除外したものに注目すべきという理屈だ。物価指標は基調的に上昇しているのだから、追加緩和はしなくてもよいというのが日銀のロジックである。 筆者は、この理論武装には落とし穴があると考える。エネルギー要因は1年経てば物価に与える影響が一巡すると言っているのに、円安効果は1年経って物価に対する影響が一巡すると考えないのか。ここは論理矛盾だ。 日銀の追加緩和が2014年10月に行われて、為替レートが円安に向かい、輸入物価が上昇したのは周知の事実である。その波及が生鮮食品を除く食品価格を押し上げ、日用品や耐久消費財の価格上昇にも寄与している。日銀は、財分野での価格転嫁の連鎖を強調するが、大元の輸入価格の上昇が弱まれば、やはり物価上昇圧力は減衰していくのではあるまいか。 日銀のルールは、物価を押し下げるエネルギー要因は除外して、物価を押し上げる円安要因は除外しないという妙な基準を使っている。 物価変動の原因には、外から加わった外生要因と、経済の内側の変化によって起こる内生要因の2つがある。生鮮食品の価格を物価変動から除くのは、生鮮食品価格が天候によって動かされる外生要因だからだ。外生要因はコストプッシュ要因、内生要因はディマンドプル要因と言い換えてもよい。 エネルギー要因は外生要因の代表例であるが、長い目でみると、中国の景気減速が原油価格を押し下げているので、内生要因の側面もある。円安要因も短期では外生要因だが、長い目でみると内生要因になっていく。 <賃上げは停滞、消費拡大効果も確認できず> 日銀が強気でいられる根拠は、生鮮食品とエネルギー価格を除いた消費者物価指数がプラスであることだが、円安効果が一巡してくると、その勢いが減衰して、日銀の理論武装も苦しくなっていく。 その点について日銀は、企業収益の拡大が賃金上昇(=ユニット・レイバー・コストの上昇)へと波及するかたちで、内生的メカニズムが働くという二段構えの論理を採っている。原油下落も円安も間接的には企業収益を押し上げていくから、経済メカニズムの中でそこから賃上げが進んで、コストプッシュと同時に需要押し上げも進むというロジックで、物価上昇のシナリオを描く。 ところが、今のところ、賃上げへの期待感は強くとも、その効果はまだ限定的である。2013年平均の現金給与総額を基準にして、2015年1―8月の給与水準を評価すると、ボトムからわずか0.5%しか上昇していない。賃金上昇が消費拡大を促す効果も、明確な連動がみられていない。コストプッシュから、ディマンドプルへとスイッチする原理は残念ながら、まだワークしていないのが実情である。 <問われる「躊躇なく調整」発言の本気度> 消費者物価2%の目途を、2016年度前半から2016年度後半に先送りしたのに、日銀が追加緩和をしなかったことは、追加緩和のハードルを上げた。目途を先送りするほどに展望レポートを下方修正したにもかかわらず、追加緩和をしないのならば、日銀は「どういった状況になれば追加緩和のトリガーを引くのだろうか」という疑問が、多くの金融関係者の頭に渦巻いている。 要するに、黒田総裁の「躊躇(ちゅうちょ)なく調整」という言葉が疑われているのだ。日銀のシナリオが崩れれば、即座に追加緩和を行うだろうという理解は、現在は成り立たなくなっている。日銀と金融市場との間でも、何を基準に考えればよいかが分からなくなって、コミュニケーションがとり難くなっている。 基本的に、日銀追加緩和の予想は当面成り立たなくなってしまった。ただし、生鮮食品とエネルギー価格を除いた消費者物価指数が大きく下向きに変わってきたり、黒田総裁がまた別のロジックを持ち出してきて、先行きのリスクを強調し始めると、それが追加緩和のシグナルになるだろう。 *熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) http://jp.reuters.com/article/2015/11/02/column-hideokumano-idJPKCN0SR0IW20151102?sp=true
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