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マツダの象徴であるロータリーエンジンを積んだ「RX-VISION」。今回の東京モーターショーで最も注目を集めた車の1台となった(撮影:風間仁一郎)
マツダ、「RX-VISION」でロータリー復活へ 強みの圧倒的な出力、燃費規制クリアなるか
http://toyokeizai.net/articles/-/90578
2015年11月01日 木皮 透庸 :東洋経済 編集局記者
「私たちの描いた将来の夢を形にした」
10月28日、東京モーターショーの内覧会で、自動車メーカーの先陣を切ったマツダ。小飼雅道社長は、2012年に生産を終了した「ロータリーエンジン」を積んだ2ドアスポーツカーのコンセプト車「RX-VISION(アールエックス・ビジョン)」を披露した。
「おにぎり型」のロータリーエンジンの量産化に成功したのはマツダのみ
現在主流の自動車用エンジンは、ピストンの往復・回転運動によって出力を生み出す。これに対し、ロータリーエンジンはおにぎり型のローターの回転運動だけで、パワーを生み出す。出力が高く、まるでモーターのような感覚で滑らかなパワーを出すことができるが、耐久性や燃費など課題が多く、量産に成功したのは世界でもマツダだけだ。
■厳しくなる燃費規制をクリアできるか
1967年にロータリーエンジンを搭載した初の量産車として「コスモスポーツ」を発売。1978年には2ドアスポーツカー「RX-7」を発売。24年間にもわたって販売され、「往年の名車」とも呼ばれるほど、高い人気を誇った。そのコンセプトを引き継いだのが、2003年発売の4ドアスポーツカー「RX-8」だが、燃費の悪さや経営の合理化を理由に生産を終了した。
3年前にマツダ車のラインナップからロータリー車は姿を消したが、研究開発は続けていた。この日、小飼社長は「もう一度世の中に受け入れて頂ける日が来る」と語り、ロータリー車の復活に期待を示した。
小飼社長はロータリー車の復活の時期について明言を避けたが、「圧倒的な燃費や性能が出れば、お客さんやステークホルダーに商品化していいと言ってもらえるかもしれない」と語り、技術的な課題の克服が最優先であるとの考えを示した。各国で燃費規制が強化される中で、元々燃費に課題を抱えたロータリーエンジンの性能を引き上げることに困難が伴うのは想像に難くない。
1978年から24年間も販売された往年の名車「RX-7」
それでも、マツダが研究開発に取り組み続けるのは、ロータリーエンジンが「マツダの財産」(小飼社長)とも言うべき象徴的な存在だからだ。マツダのロータリー車のユーザーは世界に約100万人。マツダ車には昔からコアなファンが多いが、エンジンを分解して洗う人もいるほど、ロータリーファンは熱いという。代替えを希望する声も多く、マツダとしてもそうしたユーザーとの繋がりを大事にしたいとの思いが強い。
加えて、マツダに吹く追い風もロータリーエンジンに取り組む好機と言える。リーマンショックに襲われた2008年度からマツダは4年連続で最終赤字を計上。再起をかけ、エンジンや車体などの設計を刷新。高い環境と走行性能を実現した「スカイアクティブ」技術を搭載したSUV(スポーツ多目的車)の「CX-5」がヒットし、2012年度に黒字転換した。
■業績絶好調の中で見据える次の展開
マツダはデザインも刷新。これまでは車種ごとにばらばらだったが、「魂動(こどう)」という躍動感あふれるデザインテーマで統一。車種は違ってもデザインでマツダ車であることをわかるようにした。こうした取り組みが消費者の心をとらえた。
「CX-5」以降、「アテンザ」や「アクセラ」など新型車は軒並み好調で、2014年度は過去最高益を2年連続で更新。今年度も好業績の見通しだ。経営危機から復活を成し遂げた今こそ、気を緩めず、次の展開を見据えた研究開発に力を傾ける堅実さがうかがえる。
マツダの世界シェアは2%。小飼社長は就任以来「選ばれ続けるオンリーワンブランド」を目標に掲げる。2%の熱烈なファンと深い絆を築くことがブランド力を高め、会社の成長につながるという考えだ。
マツダが次の飛躍をする上でも、ロータリー車を再投入できるかどうかは大きなカギを握りそうだ。
マツダの会社概要 は「四季報オンライン」で
http://shikiho.jp/tk/stock/info/7261
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