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【写真】中央奥が2cm超、傾いてしまったパークシティーLaLa横浜西棟
横浜のマンション傾斜問題。誰もが納得する解決法は本当にあるのか?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151031-00020225-jprime-soci
週刊女性PRIME 10月31日(土)16時0分配信
「あれ? 廊下の手すりが上下にずれている……」
そう思った男性住民が、三井不動産レジデンシャルに問い合わせた。最初は「東日本大震災の影響で問題はない」との回答が返ってきたという。その後管理組合の理事会を通じて施工記録を要求。杭の一部が強固な地盤(支持層)に届いていないことが判明した。
このマンションは2007年11月、巨大ショッピングセンター、ららぽーと横浜の隣に建てられた、南棟、中央棟、西棟、北棟の全4棟、705戸のマンションだ。このうち西棟が2p超、傾いてしまっているという。
ららぽーと横浜とパークシティーLaLa横浜は日本電気横浜事業場の跡地に複合開発として建設された。地名は池辺町、1969年にNECの工場ができるまで田んぼだったという。もともと地盤は脆弱だったようだ。
小さな街をすっぽりつくってしまった印象だが、周りは、パナソニックや車検場、大小の工場や倉庫などが建ち並び、第三京浜港北インターや鶴見川にも近く、ちょっとした産業地点でもあった。
住宅地としては、昔ながらの民家と共存していたが、若い世代の家族が好んで住む地域ではなかったようだ。それが、一変した。
横浜線の鴨居駅から歩いて11分。マンションの周りの緑道にベンチを置いたり、マンションの敷地内にも、外部から誰でも入れる公園がある(夜8時に鍵がかかる)。子どもたちの遊ぶ声が聞こえる。
近隣の古くからの住民にも配慮されている。大世帯のマンションだが明るく、よく整備され街がつくられたという印象だ。
ららぽーと横浜には、映画館にスーパー、専門店街に紀伊國屋書店など、何でも揃っている。パークシティーLaLa横浜の東側の門から直接入れるから、スーパーのカートをマンションまでそのまま持っていける。マンション内にはカート返却場まである。
港北インターにも近い。その近くには、IKEAもある。
ららぽーと横浜、パークシティーLaLa横浜ができて、鴨居周辺はちょっと変わった。ベビーカーを押す家族やちいさい子の手を引く人たちが目を引くようになった。マンションができた当初、100名近くの小中学生が増えたという。
土日にはショッピングセンターに来るクルマの渋滞が起こるなど問題はあったが、新しい街づくりはうまくいっているように思えた。
それが今回の杭の問題だ。設計段階で杭が2m短く、固い地盤に届かなかった。データを偽装したキャリア15年の契約社員1人だけが悪いような報道が最初、目立っていた。どうしてこんなに大きな施工を契約社員のチェックだけでできたのか、誰が考えてもおかしい。
何重ものチェック体制(判を押すだけでも)もあっただろうに。だいたい住民たちは、「誰が悪いかはそっちでちゃんと調べてくれ、こっちは傾いたマンションをどうしてくれるのか? それが一番の問題なのだ」。そう声を大にして訴えている。
10月27日現在、全4棟の建て替えを前提条件として、転出を希望する住民に対しては新築価格で買い取ると提案されている。販売時の2008年と比べて建築費も上がっているので、価格は住民の購入時よりも高くなる見込みだ。
建て替えで仮住まいを希望する場合、周辺の賃貸相場に上乗せして家賃や引越し代などの費用を負担するという。慰謝料も全世帯に支払うとされているが、現時点では金額は明示されていない。
けれど、住民たちはそうやすやすと行動に動かせるはずもない。建て替えには区分所有者の5分の4以上の同意が必要だが、「高齢でもう引越しなんてしたくない」「近くで商売を始めてしまったし……」「だいたい新しい土地に引っ越すとしても、仮住まいするにしても学校はどうなるの?」――705世帯、それぞれの事情もある。建て替えに賛成の人ばかりではないのだ。
これをとりまとめて建て替えときまったから建て替えには3年から3年半かかるという。いま、このマンションには小学生が320人強、中学生も70人以上いる。近くの都田西小学校は増築したばかりだという。
そんな子どもたちがいる家族を、学区域が変わることなく、転居先を提示するのは難しいことのような気がしてしまう。
傾いていない棟の家族も、「こんなケチがついてしまったら、『パークシティーLaLa横浜』というだけで、資産価値も下がるだろうし……けれど、子どもたちの生活を考えたら引越しがよいことかわからない」と苦しげに語っていた。横浜市教育委員会はなるべく同じ学校に通えるように不動産業者に働きかけるという。
今年小学校1年の子どもも建て替え終わって落ち着く頃には、もう6年生ぐらいになっているのかもしれない。
〈筆者プロフィール〉
神足裕司(こうたり・ゆうじ) ●1957年8月10日、広島県広島市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代からライター活動を始め、1984年、渡辺和博との共著『金魂巻(キンコンカン)』がベストセラーに。コラムニストとして『恨ミシュラン』(週刊朝日)や『これは事件だ!』(週刊SPA!)などの人気連載を抱えながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開。復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)がある。Twitterアカウントは@kohtari
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