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70代まで働く時代に、30代後半で動かないと、40〜50代で例外なく「消える」
http://biz-journal.jp/2015/10/post_12191.html
2015.10.31 文=城繁幸/人事コンサルタント Business Journal
安倍晋三総理が発表した新たなスローガン「一億総活躍社会」が話題となっています。
一億総活躍時代に必要となるスキルはなんでしょうか。こういう場合に「将来、このスキルさえ身につけておけば絶対安心だ」といったことを言う人は、話半分に聞き流しておくことをおススメします。なぜなら、そんなことが本当にわかるのなら、みんな争ってそのスキルを学ぶし、誰も失業なんてしないからです。現実には、誰にもそんなことはわからず、失業する人が多く出現しているわけです。
筆者はむしろ、そういう“一点買い”スタイルこそ危ないと見ています。それよりも、よりメタな部分で地力を磨き、状況の変化に対応できる柔軟性を身につけたほうが合理的だというのが筆者のスタンスです。そういう意味では、筆者が強く推奨するのは、以下の3つの“スキル”です。
1.常に新しいものに取り組むモチベーションを維持する
これは特に終身雇用型の組織にいる人に顕著ですが、人間はだいたい30代後半くらいから、楽することを覚えるようになります。ある程度の経験も積んで仕事がわかってきて、頭を使わなくても惰性で処理できるようになるからです。
別に楽をすること自体は悪いことではありませんが、問題は新しい状況が出現し、新しいアプローチを考えたり他分野から学んだりしないといけなくなった場合です。楽をすることに慣れ切っていると、人は得てして新たな変化に目をつぶるか、やらなくていい理由を探すものです。誰でも社内会議で「反対する理由ばかり探すオジサン」に心当たりがあるはずです。
重厚長大系大企業や役所で、一生しがみつければいいという人はそれでもいいですが、「ビジネスで活躍したい」「体の動くうちは生涯現役で働きたい」という人は、積極的に学ぶ姿勢がなければいずれ食い詰めることになります。チャンスは常に変化の波に乗れる人のところにしか来ないからです。だからこそ、40代、50代になっても常に自分の専門領域プラスアルファの範囲くらいはアンテナを張り巡らせ、知識をアップデートし、変化に柔軟なスタンスを維持しておくべきです。
ちなみに筆者もこの辺は非常に意識しています。別に新しいことをやらなくても日銭が入ってくるようになったので、ふと気づくと、なんだかんだ日々のルーチンワークに流されている自分に気づくことが多いです。30代前半の頃のように、夢中で資料を読み込んでブログなり月刊誌なりに論文寄稿するよりも、SNSでなれ合っているほうが楽だし、ストレスも少ないからです。しかし、時代がすごい速さで動き続けている以上、動こうとしない人は例外なく消えることになります。
2.自分でコンディションを維持する
そして一億総活躍社会では、各人は自分で自身のコンディションを管理しないといけません。当たり前ですが、自分で起業したり年俸制で働いている人は、病気や体調不良のツケはすべて自分自身に返ってくるわけです。65歳まで雇用は保証するという建前になっている大企業にしても今後はどうなるかわかりませんし、まして65歳以降は市場原理の中で収入を得ねばならないので、コンディション管理は重要となります。
数年前『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』(山本ケイイチ/幻冬舎)という本が話題となりましたが、この本で書かれている通り、筆者の周囲でもビジネスパーソンとして気概のある人は、ほぼ100%スポーツジムに会費を払って通っています。もちろん筆者も10年以上ジムに通い続けています。恐らく団塊ジュニア以降の世代は、65歳以降も現役世代と同じく3割以上の医療費自己負担が適用され、なおかつ混合診療の解禁で高度医療費については自己負担となっているはずです。健康維持に注力することは、キャリアデザインに加え老後の医療費負担を抑える意味もあるわけです。
実は、筆者は家族をつくって家庭を維持することもコンディション管理のひとつだと考えています。それは筆者があえて“健康管理”と書かなかった理由でもあります。共働きというかたちで収入のチャンネルを増やしておくことはリスクヘッジにもなりますし、成人後の子供もなんらかのかたちで家計を助けてくれることでしょう。社会保障制度の整備で希薄になった家族関係ですが。社会保障制度の崩壊とともに再び揺り戻しが起こると筆者は見ています。
3.「仕事が好き」という状態を維持する
そして、筆者が一億総活躍社会でもっとも重要なスキルと考えるのが「仕事が好き」という状態を維持し続けることです。たまに、これからは年齢に関係なく働かないといけないという話をすると「そういうのはキツいから嫌だ」などと言う人がいます。たぶんその人は仕事が嫌で嫌で仕方ないのだろうと思います。だから最低限のことだけをやって、一日も早く年金受給開始日が来るのを待っているのに、それを先延ばすなんて嫌だ、ということでしょう。
仕事が好きであれば、組織の中で出世できなくても苦にはならないし、65歳以降も携わることがキツいとは感じないはずです。筆者は「なんでも言われたことをやる代わりに、雇用を保証してもらう」という価値観は、定年が55歳前後だった昭和の頃の価値観だと考えています。これからは70代まで働き続けないといけない時代で、安定性よりも仕事の中身そのものにフォーカスすべきというのが筆者のスタンスです。
(文=城繁幸/人事コンサルタント)
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