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10月30日、日銀は追加緩和を見送ったが、市場の動揺は最小限で抑えられている。物価見通しを引き下げながら、政策維持というわかりにくい決定だったが、直後の株安・円高は限定的で日銀に対する信頼感は保たれたようだ。写真は、黒田日銀総裁、30日撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)
バズーカ不発に市場は動揺せず、日銀にイエレンの「助け舟」
http://jp.reuters.com/article/2015/10/30/kuroda-boj-yellen-idJPKCN0SO0VI20151030
2015年 10月 30日 17:36 JST
[東京 30日 ロイター] - 日銀は追加緩和を見送ったが、市場の動揺は最小限で抑えられている。物価見通しを引き下げながら、政策維持というわかりにくい決定だったが、直後の株安・円高は限定的で日銀に対する信頼感は保たれたようだ。
原油さえ落ち着けば物価は上昇基調に戻るという強気な見通しを疑問視する声も多いが、同じく物価に強気な予想を示した米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が、日銀にとって思わぬ「助け舟」となっている。
<切り返した日本株とドル/円>
日銀が物価見通しを後ずれさせながら追加緩和を見送った場合、最も心配されていたのは、日銀に対する市場や消費者の信頼感が低下しないかという点だ。
物価は本当に上がるのか、量的・質的金融緩和(QQE)は効果があるのか、デフレ脱却のための意気込みは本物なのか──などに対して疑いを持たれれば、デフレ脱却に最も重要なインフレ期待は低下してしまう。
10月前半に行ったロイター調査では、4割超が今回の追加緩和を予想していたが、今のところ市場に混乱はみられていない。前日発表された9月鉱工業生産が上振れし、追加緩和期待がすでに後退していたこともあるが、日経平均.N225は150円安、ドル/円JPY=も50銭程度の下落にとどまり、その後は反転した。「日銀の信認低下というムードが強まっているわけではない」(国内証券の株式トレーダー)という。
日銀の黒田東彦総裁は、決定会合後の会見で「原油価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提に立てば、2016年度後半ごろに目標の2%程度に達する」とこれまでの発言を繰り返した。物価は原油価格の下落による一時的なもので、原油さえ下がらなければ、物価は再び上昇基調に戻るという強気な見通しだ。
けさ発表された9月の全国消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は2カ月連続でマイナス。9月の実質消費支出も減少した。7─9月期国内総生産(GDP)もゼロ成長近辺の予想が多い。黒田総裁がいくら強気な見通しを示したとしても、疑問符がついてしまうところだったが、海外中銀からの「援軍」が、市場の信頼感低下を食い止めたようだ。
<「原油の影響は一時的」で日米一致>
前日発表されたFOMC声明文。「労働市場がさらに改善し、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消えれば、インフレ率は中期的に徐々に2%に向かって上昇すると予測する」と指摘した。原油価格が落ち着けば物価も上昇するという、その物価見通しは黒田総裁の主旨と一致する。
前月24日のイエレンFRB(米連邦準備理事会)議長の講演。そこでは、インフレ期待が安定している下では、輸入物価の変動など一時的なショックがもたらすコアインフレ率の変動は一時的であり、いずれ収束するとの見方が示されていた。「イエレン議長の強気な見方は、黒田日銀の援護射撃になったかもしれない」と三井住友銀行チーフ・マーケット・エコノミストの森谷亨氏は話す。
実際、原油価格の下落は昨年の夏ごろから始まっており、下げ止まったのは今年1月ごろ。あと3カ月もすれば、前年比でみた物価押し下げ要因は消える。「2%はともかく、前年比での物価は徐々に上昇して来る」(T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏)との見方も多い。
「物価の番人」たる中央銀行総裁が、強気な物価見通しに自信を示すことで期待インフレを押し上げようというのが、「リフレ政策」の1つの筋道だ。タカ派なFOMC声明文のおかげで、少なくとも12月までは円安(ドル高)圧力が維持される見通しであり、日米中銀の「連携プレー」が市場の信頼感低下を防ぐかもしれない。
<今後の追加緩和には「矛盾」も>
しかし、気を付けなければならないのは、これで日銀に対する信頼感が増したわけではないという点だろう。
当初警戒されていた海外勢の株売り・円買いが限定的だったのは、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の追加緩和を示唆する発言や、日本の補正予算編成をめぐる報道など、他方面からの「援護射撃」の効果も大きい。「2%の物価目標の早期達成は形骸化したとの見方が広がりやすい」とみずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏と警戒する。
また、複数の市場筋によると、午後になって公的年金やその他機関などいわゆる「クジラ系」と見られるまとまった株買いもみられ、そうした買いが市場の安心を誘った面もあるという。
市場では、いずれ追加緩和が実施されるとの予想は根強い。それが信頼感低下を押しとどめ、株安・円安を防いだもう1つの要因でもある。しかし、今回追加緩和を見送った理由が原油価格の影響にあるとするならば、今後、追加緩和を実施すれば矛盾が生じる。突発的な理由ならともかく、原油価格の影響は徐々に薄らいでいくというのが日銀の予想であるためだ。
追加緩和の手段が乏しくなる中で、次は「最後のカード」とも言われる。来年1月の展望レポート中間評価の発表時に追加緩和があると有力視されているが、ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジスト井出真吾氏は「手段も効果も限定的にならざるを得ない。出すタイミングが重要だ」と指摘する。
市場の信頼感を失わなず、最大限の効果を発揮させる。そうした難しい課題を黒田日銀がどうこなしていくか、市場も固唾(かたず)を飲んで見守っている。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
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