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日本オリンピック委員会が所在する岸記念体育会館(「Wikipedia」より/Saka kk)
五輪ボランティアを炎天下で酷使、陰でJOCと電通は濡れ手で粟の大儲け
http://biz-journal.jp/2015/10/post_12171.html
2015.10.30 文=小石川シンイチ Business Journal
「オリンピックそのものに対して、ボランティアで対応できるエンジニアが必要で、今後5年間で4万人のエンジニアを育てなくてはいけない」という一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)会長の荻原紀男氏(新業界団体『日本IT団体連盟』呼びかけ役 豆蔵ホールディングス代表取締役社長)の発言がブラックではないかと物議を醸している。
「五輪委員会やオフィシャルスポンサーだけでなく、日本の電気やガス、交通といった社会インフラが狙われる可能性がある。国の重要インフラを破壊されるのは、戦争と言わずになんというのか。これは最悪のシナリオであることには違いないが、日本の政府や業界、企業は、それに対する危機意識が低すぎる。
そして、これを守るためのエンジニアが不足しているのは明らかだ。そのためには人材を育成しなければならない。それが4万人。今から教育をしなくては間に合わない。だが、国はそれに対して費用を出す計画がない。
新たに設立する日本IT団体連盟では、業界がひとつになり、大きな力で国に提言するという狙いがある。まずは、サイバーディフェンスを担うエンジニアを育成するための予算を獲得する。そこで育成されたエンジニアが2020年に開催される東京五輪の開催期間中の1カ月間でもいいから、ボランティアで働くという仕組みを提案した」(「『五輪にはボランティアで働けるエンジニアが必要』発言の真意を聞く」より)
「メリットがないものに国は予算をつけない」「1カ月間、国のサイバーディフェンスのために、ボランティアで働いてもらうことで恩返しをするというのがひとつの提案だ」といった趣旨のなかでの発言なのだが、ネット上では慢性的な人材不足のブラック業界ならではの発言ではないかと指摘する声も相次いだ。
たとえば、元博報堂社員で作家の本間龍氏は「これって、五輪で莫大なカネを稼ぐ電通はじめ各企業と同じ発想。ボランティアの善意に頼って自分たちは荒稼ぎですか」とツイートする。
■400億円ぼろ儲けの電通とJOC
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの大会運営に必要なスタッフは約8万人、それを交通費などの実費程度のボランティアで集めようと計画され、着々とボランティア募集キャンペーンが展開されつつある。ボランティアの善意を利用するオリンピックビジネスについて、本間氏に詳しい話を聞いた。
「そもそもオリンピックはアマチュアスポーツの祭典として利益度外視で開催されるものでした。その当時は、手弁当のボランティアの協力なくしてはできないものだった。しかし、1980年代以降、オリンピックのビジネス化が進み、今では巨額のマネーが動く巨大なショービジネスになった。本来ならばボランティアではなく、労働の対価となる報酬のあるスタッフとして雇うべきなんです」
オリンピックの運営は約400人の組織委員会の下、通訳や誘導など8万人のボランティアが実働部隊として働く予定だ。東京オリンピックの会期は17日、パラリンピックは13日、合計30日間。この間、報酬は出ず、弁当と会場内交通費の実費が支給される程度だという。東京オリンピックの開催時期は真夏だ。炎天下の案内となれば体力的に厳しいボランティアになりそうだ。
「1998年の長野冬季オリンピックの際のボランティアは約3万人で、そのうちの3800人は県外からでした。宿泊費のみ補助したようですが、それ以外は無給。極寒の中で深夜までの外での労働や、悪天候による競技中止で混乱が起き、観客と長野冬季オリンピック組織委員会(NAOC)の板挟みとなって蹴られるなどのトラブルに遭ったボランティアもいたそうです。2020年東京五輪は真夏の開催ですから、さらに大変でしょうね。一方で、ボランティアに指示をする組織委員会はエアコンの効いた部屋で快適に過ごし、さらに出向元の企業から月給どころかボーナスまで出るでしょう。もちろん、大手広告代理店の電通がかかわっているので、マスコミは実態を一切報じません」(同)
最前線のブラックな現場は無給のボランティア、一方で、組織委員会で中心的な役割を果たす電通は広告費でのボロ儲けが始まっている。
電通は日本オリンピック委員会(JOC)のスポンサー企業である「ゴールドパートナー」を集めている。現在、ゴールドパートナーにはアシックスやみずほ銀行など14社が名を連ねているが、この契約金は1社140〜150億円。このうちの約20%を電通は管理進行料として得ることができるから、現在でも単純計算で400億円になる。このほかにゴールドパートナー、オフィシャルパートナーのCM制作、放映を独占的に扱い、それらもすべて別料金で電通の懐に入るのだ。
「ボランティア8万人に開催期間中、日給1万円を支給したとして240億円。ゴールドパートナー14社のうち2社の契約金を回してもお釣りがくる。カネは十分にある。そのカネはJOCと電通の内部に消えていくのでしょう」(同)
実際のボランティアの募集は16年から始まる予定だが、すでに、着々と「誰もが『日本代表』」「ボランティアで『おもてなし』」などと、ボランティアをPRするようなニュースが目立つようになっている。
東京オリンピックでブラックボランティアとは、ブラック企業が横行する日本の縮図ともいえそうだ。
(文=小石川シンイチ)
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