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中国、3倍速で崩壊?7%の成長は困難 下げ止まらない株価、倒産企業続出か
http://biz-journal.jp/2015/10/post_12179.html
2015.10.30 文=渡邉哲也/経済評論家 Business Journal
10月19日、中国国家統計局が2015年7〜9月期の国内総生産(GDP)を発表した。その数字は、物価変動の影響を除いた実質GDPで前年同期比6.9%増である。今年4〜6月期の7.0%増から減少した上、リーマン・ショック後の09年1〜3月期の6.2%増以来、6年半ぶりに7%を下回ったことが話題になった。
中国政府は「今年のGDP成長率は7%が目標」としているが、中国経済の減退は今後も続くことが予想されており、目標達成に暗雲が立ち込めている。そもそも、中国は長らく「保八」という政策目標を掲げてきた。これは「成長率8%以上を維持する」というものだが、ここ数年の中国は保八を割り込んでおり、14年の成長率は7.3%だった。
そして、保八が達成できないどころか、今度は7%にも届かないかもしれないわけだ。ただ、当連載でお伝えしているように、中国は政府発表の数字も信用性が低いため、本当に今年7〜9月期の成長率が6.9%なのかすら疑問である。
英米のシンクタンクなども、3%前後ではないかという推定をしている。また、9月の貿易統計で中国の輸入は前年比マイナス20%であり、この数字からすれば、すでにマイナス成長に入っていると考えられるのだ。いくら資源価格の下落が起きているといっても、輸入が20%減少する中で、経済の規模を示すGDPがプラスであることはあり得ない。貿易統計は相手があるため、ほかの指標と違ってごまかしにくいのである。
中国において、不動産や株式のバブル崩壊の連鎖が起きていることは、すでに述べてきたが、問題はそのスピードが速すぎることにある。通常、金融面でのショックやバブル崩壊の影響が、不動産やほかの市場に波及するまでに最低2〜3カ月、実体経済に影響が出るまでには6〜8カ月かかる。
例えば、日本のバブル崩壊を簡単に振り返ってみよう。まず、日経平均株価が3万8915円のピークを記録したのは、1989年12月だ。よく、「バブル崩壊は91年から」といわれるが、景気が悪くなってきた実感を持ち始めたのは、93年頃という人が多いのではないだろうか。そして、97年には北海道拓殖銀行の破綻と山一證券の自主廃業があり、同時期に多くの金融機関が経営破綻に陥っている。
このように、数年単位のタイムラグがあるわけだ。
■3倍の猛スピードでバブル崩壊が進む中国
しかし、今回の中国のバブル崩壊はどうだろう。
まず、6月中旬からの株価急落により、約3週間で3割以上が下落した。これは、GDPの3割に相当する3兆ドル以上が一気に失われた計算になる。7月6日から、政府の意向を受けた証券会社が2.6兆円規模のPKO(プライス・キープ・オペレーション)を行ったが、株価下落を抑制することはできなかった。
7月8日には、株価暴落の抑制策として、上場株式の半数以上が売買停止になった。売買されない限りは株価が決まらないため、損失が出ないという目論見だったが、これも株価下落を抑えきれなかった。
そして、8月11〜13日に人民元の対ドル切り下げを行い、同月18日から再び実体経済の悪化懸念による株の暴落が起きている。この間、実に2カ月足らずだ。
株による利益は、消費に向かいやすい傾向がある。約13億人の人口を抱える中国は、内需が旺盛なことで知られるが、これはいわゆる“あぶく銭”を元手にしたものが大きかったといえる。しかし、その原資であった株による儲けがなくなったため、内需の減速が起きるのは当然といえるだろう。
内需の縮小と同時に、銀行の財務バランスも大きく崩される。不良債権などが大量に発生することにより、銀行の融資姿勢は貸し渋りや貸し剥がしをせざるを得ない方向に進む。そうなると、企業の倒産が相次いだりして、実体経済の悪化が顕著化するわけだ。中国の場合、この一連のプロセスが、通常より3倍程度も早いといえる。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
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