3. 2015年10月30日 09:31:23
: jXbiWWJBCA
米7-9月期GDP、エコノミストはこうみる米商務省が29日発表した7-9月期GDPは前期比年率換算で1.5%増加した。 PHOTO: DAVID GOLDMAN/ASSOCIATED PRESS By HARRIET TORRY 2015 年 10 月 30 日 09:02 JST 米商務省が29日発表した7-9月期国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は前期比年率換算で1.5%増加した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がまとめたエコノミスト予想に一致したが、4-6月期(3.9%増)に比べ減速が鮮明となった。 以下にエコノミストのコメントをまとめる。 −オックスフォード・エコノミクスのグレゴリー・ダコ氏 予想通り、(7-9月期の)実質GDP成長率は1.5%と弱かった。ただ、最終需要は今回も堅調な伸びを示し、内需の強さを示唆した。四半期のGDPが不安定なパターンとなる状態が続いているのは、米国経済に対する二つの相反する力を反映している。つまり、内需が堅調な一方で、石油部門(での投資支出)が低調で世界的な逆風が吹いている状態だ。 −PNCのスチュワート・ホフマン氏 1.5%の成長率は予想よりやや弱いが、詳細を見るとかなり良かった。国内の家計、企業、政府の需要な引き続き堅調であるほか、米国で生産された財およびサービスに対する需要は国内外で好調だった。大きな足かせだったのは在庫だが、これはすぐに解消され、10-12月期の成長率は回復に向かうだろう。 −BNPパリバ 最終需要が堅調な中、在庫が原因でGDP成長率が低調だったため、米連邦準備制度理事会(FRB)は最近の軟調な経済指標について、在庫循環が主因だったと考えるだろう。また、これで、28日に発表された連邦公開市場委員会(FOMC)声明が予想外にタカ派的だった説明もつく。今回のGDP統計は、7-9月期の消費が低調だったことを示しており、これは、FRBが年内利上げを見送るようなソフトパッチ(一時的な減速)に入るという当社の見解を支持するものだ。 (この記事は、この後更新します。) 第3四半期の米GDP速報値1.5%増、在庫減少響く 内需堅調 [ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)の速報値は年率換算で前期比1.5%増となり、3.9%増だった前期から大きく減速した。市場は1.6%増を予想していた。企業が前期に積み上がった在庫を取り崩したことが響いた。ただ、内需は堅調で12月の利上げに向けて連邦準備理事会(FRB)に希望を与えるかもしれない。 在庫減少は一時的なものである可能性が高く、エコノミストらは米経済の基礎的条件は力強く、第4・四半期のGDPは伸びを取り戻すと予想している。 FRBは28日の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、米経済について「緩やかな」ペースで成長していると表現。次回12月の会合に声明で言及することで、年内利上げの可能性を残した。FRBは政策金利のフェデラルファンド(FF)レートを2008年12月からゼロ近傍に据え置いている。 金融危機に伴う07─09年の景気後退が終わった後も、米国の経済成長率は年平均で2.5%を超えることがなく、伸び悩みが続いている。 BMOキャピタルマーケッツのシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は「基調的な成長は依然として力強い。少なくとも金利を危機対応のための低い水準にしておく必要がないくらいの十分な強さがある」と述べた。 GDP統計の発表後、米国債は売られ、ドルは主要通貨に対し、それまでの下落幅を縮小した。 第3・四半期に企業が積み上げた在庫は568億ドル相当で、第2・四半期の1135億ドル相当から大きく減少した。第3・四半期の在庫は、2014年の第1・四半期以来、最も低い水準だった。在庫は製造、卸売り、小売りの各段階で減少した。 GDPに対する在庫の寄与度はマイナス1.44%で、12年の第4・四半期以来、最も大きなマイナスだった。 プラント・モラン・フィナンシャル・アドバイザーズで最高投資責任者(CIO)を務めるジム・ベアード氏は「在庫減少は、健全な取り崩しの一環で今後の力強い経済成長に向けた土台をつくることになる」と話している。 在庫減少によるマイナスの影響は、力強い消費によって和らげられた。個人消費はガソリン価格が下落していることに加え、住宅や労働の市場が引き締まってきたことが追い風となっている。 GDPの3分の2以上を占める消費者支出は3.2%増。第2・四半期は3.6%増だった。貿易や在庫、政府需要を除いた国内の民間需要も3.2%増と堅調に伸びた。 比較的健全な労働市場とインフレ率の低さが家計の購買力を押し上げ、消費者支出を引き続き下支えすると予想されている。家計の可処分所得は第3・四半期に3.5%増え、前期の1.2%増から伸びが加速した。 この日、米労働省が発表した週間の失業保険申請件数は、1973年12月以来の低い水準となった。 ドル高が続いていることが影響して、輸出は第3・四半期に伸び悩んだ。ただ、輸入も減速したことで、輸出の伸び悩みは相殺される形となっており、第3・四半期の経済成長に貿易はほとんど影響しなかった。 エネルギー産業の支出カットも経済成長に悪影響を及ぼした。原油価格の急落はシュルンベルジェ(SLB.N)やハリバートン(HAL.N)などの油田関連企業に設備投資の削減を迫っている。シュルンベルジェは今月に入り、17年まで原油需要の回復は期待できないとし、油田探査や原油生産のための支出は今年も減少するとの見通しを示した。 鉱物探査や油田開発のための投資は46.9%減った。第2・四半期は約68%の減少だった。住宅を除くインフラ設備投資は4.0%減。商業やヘルスケア関連のインフラ投資の弱さが響いた。 内需が力強いにもかかわらず、ドル高とガソリン安の影響で物価は上昇率を縮小した。個人消費支出(PCE)物価指数は前期の2.2%上昇から1.2%上昇に減速した。変動の激しい食品とエネルギーを除いたベースでも、1.3%上昇にとどまった。 *内容を追加しました。 http://jp.reuters.com/article/2015/10/29/us-3q-gdp-idJPKCN0SN1WM20151029?sp=true 米成長率1.5%に減速 7〜9月期、輸出や設備投資停滞 2015/10/29 22:02 【ワシントン=河浪武史】米商務省が29日発表した2015年7〜9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、年率換算で前期比1.5%増にとどまった。新興国経済の停滞で輸出が伸び悩み、設備投資も下振れして前期の3.9%増から減速した。ただ在庫調整を優先した側面があり、堅調な個人消費を軸に先行きは回復ペースを取り戻すとの見方もある。 7〜9月期の実質成長率は市場予測の平均値(1.6%増)もやや下回った。成長率が伸び悩んだ要因は輸出の停滞だ。世界経済の下振れ懸念から中南米を中心に貿易が伸びず、輸出は前期比年率1.9%増と、4〜6月期の5.1%増から急減速した。企業部門が慎重姿勢に転じたため設備投資も2.1%増と伸びが鈍った。 企業が在庫を減らしたことも成長率の減速要因だ。成長率の寄与度でみると、在庫調整による押し下げ効果が1.44%分もある。増産ではなく在庫を取り崩して需要に対応すると、GDP統計上は成長率の下振れ要因となる。 ただ、家計支出などは自動車販売などが好調で前期比年率3.2%増と底堅く伸びている。住宅投資も6.1%増と、家計を中心とした消費支出などは引き続き堅調だ。 国際通貨基金(IMF)の予測では、米国の実質成長率は15年も2.6%を保ち、16年には2.8%に高まるとみている。米国は雇用情勢が弱含むなど新興国経済の停滞の影響を受け始めている。米景気が一時的な減速にとどまるかは、個人消費の伸びを維持できるかにかかっている。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM29H7P_Z21C15A0000000/ 米利上げ、雇用下振れなど難関 市場は12月警戒 2015/10/30 1:07日本経済新聞 電子版 【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で再び利上げを見送った。ただ、12月の次回会合で利上げする可能性をにじませ、市場も金融引き締めに身構える。雇用情勢の下振れや、経済成長率の減速をどう克服するか。9年ぶりの利上げには課題も残り、市場の懸念を払拭するイエレン議長らの説得力が求められる。
「次回会合での利上げが適切か、雇用と物価を見極める」。利上げの大幅な先送り観測もあった市場では、28日のFOMC声明に驚きが広がった。「次回会合」と時期を特定して、利上げの可能性を示唆したからだ。次回のFOMCは12月15〜16日に開かれる。
9月の前回声明に盛り込んだ「世界経済と金融環境が米経済を幾分抑制しそうだ」との文言も今回は削除した。市場に広がっていた「中国など新興国の経済や金融市場の動揺が収まらない限り、FRBは利上げに動けない」との見方を自ら打ち消した。声明を受けて12月の利上げを見込む声が増え、28日のニューヨークは株価が乱高下するなど大きく揺れた。 7〜9月期の米GDP速報値 金額 (億ドル) 増減率 (%) 国内総生産 163,942 1.5 個人消費支出 112,686 3.2 民間設備投資 22,221 2.1 民間住宅投資 5,318 6.1 民間在庫投資 568 ― 純 輸 出 ▲5,362 ― 輸 出 21,275 1.9 輸 入 26,637 1.8 政府支出 28,690 1.7 GDPデフレーター 1.2 (注)金額は季節調整済み、年率。2009年基準価格。増減率は前期比年率。▲はマイナス (出所)米商務省 ただ、足元の景気指標が改善しているわけではない。FOMCの直後に米商務省が29日発表した7〜9月期の実質経済成長率は、年率換算で1.5%に減速した。新興国経済の下振れが米国のエネルギー部門や製造部門の停滞を招き、在庫調整の影響もあって成長率を押し下げた。 FOMCが重視する雇用も弱含んでいる。 非農業部門の就業者増加数は2カ月連続で節目の20万人を大きく下回った。堅調なのは商業やサービス。高賃金の鉱業や製造業は、ドル高や資源安で就業者数が減少に転じた。2008年の金融危機前は4%前後だった賃金上昇率(前年比)は足元で2%程度にとどまり、インフレ率自体も1%台前半と伸びが鈍い。 FOMCがあえて次回会合での利上げの可能性を明示したのは「金融市場や世界経済がどう反応するか試したかったからだ」(ムーディーズ・アナリスティックスのジョン・ロンスキー氏)との見方もある。 低利のマネーが集まっていた新興国からは、米利上げ観測で逆に資金が流出して世界経済全体の不安要因となっていた。市場が利上げ観測に耐えられれば、8月の世界同時株安の再来のようなリスクを回避できる。実際、28日のニューヨーク市場の株価は前日比198ドル高で終わり、その後も平静を保っている。 09年7月から続く米国の景気拡大は、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費が支える。ガソリン安の影響で新車販売の伸びは力強く、7〜9月期の耐久財消費は年率換算で前期比6.7%増えた。もっともゼロ金利の解除で景気が腰折れすれば、FRBは中銀としての信頼を大きく損ねる。利上げには、米雇用の回復と金融市場の安定をぎりぎりまで見極める必要がありそうだ。 今回の声明 9月の声明 【金融政策の見通し】 次回会合での利上げが適切かは、雇用とインフレ率の進展を見極める ← ゼロ金利をどれだけ維持するかは、雇用とインフレ率の進展を見極める 【米経済】 米経済は緩やかなペースで拡大してきた ← 米経済は緩やかなペースで拡大している 家計支出、民間設備投資は堅調。住宅部門もさらに改善、輸出は弱含み ← 家計支出、民間設備投資は緩やかに増加。住宅部門もさらに改善、輸出は弱含み 就業者数の増加は鈍化、失業率は横ばい ← 就業者数の増加が堅調、失業率も低下 市場で測定したインフレ値は幾分低下した ← 市場で測定したインフレ値は低下した 【世界経済】 世界経済と金融環境を注視していく ← 最近の世界経済と国際金融市場の動向は(米国の)経済活動を幾分抑制 【米市場関係者の見方】 クリストファー・ラプキー氏(三菱東京UFJ銀行ニューヨークのチーフ金融エコノミスト) 雇用統計、決断を左右 今回の声明文の前回との大きな変化は、12月の利上げを選択肢として明確に言及した点だ。特に「次の会合で利上げすべきか」との直接的な表現は注目に値する。 次のFOMCまで2回ある米雇用統計がFRBの利上げ決断に非常に重要な材料になる。FRBのイエレン議長は、失業率が完全雇用状態とされる4.9%まで低下するのが望ましいとみているようだ。 世界経済に懸念を示した9月の声明文をみて、市場関係者は「FRBだけが知っている悪いニュースがあるのでは」との懸念を強めた。今回の声明文でそうした懸念が払拭された。(ニューヨーク=伴百江) ガイ・ルバス氏(ジャニー・キャピタル・マーケッツのチーフ債券ストラテジスト) 12月なければ遠のく 10月の声明では中国など海外市場に対する懸念部分が削除され、「次回会合」という言葉が加えられ、市場では若干「タカ派」な内容と受け止められた。 12月の利上げは今後発表される経済データよりも、FRBのイエレン議長とフィッシャー副議長が残りのメンバーを、賃金とインフレ率の上昇がこれから実際に起きると説得できるかにかかっている。 12月利上げの可能性は高いとみている。しかし、もし12月に利上げしなければ、実際にインフレ率が2%に届くであろう来年の年央まで待たなくてはいけない。来年6月まで利上げは難しいだろう。(ニューヨーク=平野麻理子) http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM29H2J_Z21C15A0EA2000/
|