http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/880.html
Tweet |
カルロス・ゴーンに「最大の危機」!〜日産がフランス政府の「管轄下」に置かれる日
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46062
2015年10月28日(水) 井上 久男「ニュースの深層」 現代ビジネス
■カルロス・ゴーン最大の修羅場
「日産―ルノー連合」が成立して丸16年経過するが、その提携関係がいま、岐路に立たされている。
ルノーの筆頭株主であるフランス政府がルノーへの出資比率を引き上げ、経営の重要事項について拒否権を握ろうとしており、そうなれば、ルノーの持ち分法適用会社である日産までもフランス政府の管轄下に入ってしまいかねないからだ。
これについては日産・ルノーの両取締役会も強硬に反対している。菅義偉官房長官も10月22日の記者会見で「政府として日産とルノーの持ち株構造に変化が生じないように努めたい」などと警戒感を示しており、今後、状況次第では日仏政府を巻き込んだせめぎ合いに発展する可能性もある。
両社のCEOを務める「剛腕」カルロス・ゴーン氏にとっても、就任以来、最大の修羅場を迎えている。
ことの発端はフランス政府が昨年制定した「フロランジュ法」だ。新法によって、株式を2年以上持つ株主の議決権が2倍になった。社会党のオランド大統領は雇用政策を重視しており、フランス企業の海外移転に歯止めをかけることなどが新法の狙いのひとつとされる。
フランス政府のルノーへの出資比率は現在19・7%で、来春には株式の議決権ベースで28%を保有することになる。さらに、最近買い増した株式が2年以上経過すれば議決権が2倍となるため、近い将来にフランス政府持ち分は議決権ベースで33・3%を超える見通しだ。
経営の重要事項を決める特別決議では議決権ベースで株主の3分の2以上の賛成が必要となるため、議決権が33・3%を超えれば、フランス政府は重要事項の拒否権を持つことができる。そうなれば、ルノーと一心同体の日産の経営にも口を出すことが可能になる。
フランス政府の「もっともな言い分」
こうした動きに対抗して、日産もルノーに対して議決権を持つことを検討している。日産は現在、ルノーに15%出資している。しかし、ルノーの日産への出資比率(43・4%)が40%以上であるため、会社法上議決権がない。
日産が議決権を保有できれば、フランス政府の議決権が33・3%を超えることを阻止できる。日産が議決権を保有するためには、ルノーの出資比率が40%を超えないように下げる必要がある。
こうした対応策を両社は検討している模様だが、フランス政府は出資比率引き下げに反対しているという。
もし、フランス政府を交えて友好的な解決策が見いだせない場合、日産は提携の前提条件を見直して再交渉することも視野に入っている。ただ、これは交渉が難航したら即座に提携を解消というものではなく、提携関係を今後も存続させることを優先しての交渉となるだろう。
ここで日産―ルノーの提携の歴史について振り返る。
筆者の経済記者として最初の大きな仕事が16年前、この提携交渉を取材することだったので、当時からの経緯については、おそらく現役記者の中では詳しい部類に入るだろう。
債務超過寸前の経営危機に陥った日産は1999年、ルノーから36・8%(当時)の資本を受け入れ、約7000億円のキャッシュを得て、再生に向かった。欧州市場中心で先端技術が弱いルノーにとって、将来の生き残り戦略を考えると、技術力と市場は持つが経営力のない日産は格好の提携先だった。
是が非でも日産が欲しかったルノーだが、7000億円の出資金を自前で用意できなかった。当時、ルノーのCEOだったシュバイツァー氏はフランス政府の元官僚でファビウス政権時代の官房長官を務め、政府とパイプが太く、フランス政府の債務保証を得て何とか提携資金を調達した経緯がある。
こうしたことから、フランス政府側には、「日産を救ったのはフランス政府だ」との思いもあるのだろう。
オランド大統領の胸のうちやいかに【PHOTO】gettyimages
確かにルノーからの資金がなければ日産は倒産していただろう。キャッシュがなければリストラもできない。ルノーからの資金を引当金として計上し、ゴーンという辣腕経営者を得た日産は、過去のしがらみを断ち、部門縦割りの官僚主義から脱皮して経営改革を断行、完全に黒字体質となり、収益性は見違えるほど高い企業に変身した。
この両社の提携は、資本の論理では日産は完全にルノーの傘下だが、実務ベースでは対等に近い関係で仕事を進め、両社がお互いに学び合いながら相互補完してきたものとも言える。
また、両社の提携は、日産の技術力とルノー側の資金・経営ノウハウを交換したようなもので、自動車メーカーにとって心臓部とも言える車の開発では日産側が主導権を握っていたとも言える。
■日産の「仕送り」を期待している?
当時、日産の社長だった塙義一氏は筆者に対して、「両社の技術陣の相性が良かったことも提携につながった大きな要因」と語ったことがある。
合従連衡が盛んな自動車業界で、実は日産―ルノー連合ほど長続きしている提携関係は珍しい。その大きな要因は、微妙なバランスの上で両社がお互いを尊重して助け合うことにあったと思う。
今年9月には、独フォルクスワーゲン(VW)と軽自動車大手スズキの資本提携が解消されたが、破談の契機となったのは、VWがスズキを強引に支配しようとしたことにあった。
これまで支払ったルノーへの配当金はすでに、出資金7000億円をはるかに上回っており、ある意味で「ご恩」は返している。むしろ、最近はルノーの経営がもたついており、日産からの毎年の「仕送り(配当)」を当てにしているのが現状だ。
だから今回のフランス政府の動きは、日産にもっと「仕送り」を期待する動きとも見えなくはない。
いずれにせよ、今回のフランス政府の動きは、「円満な夫婦関係」に水を差すものと言え、合理的な判断には見えない。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民101掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。