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横浜マンション杭偽装“ヒューザー”小嶋氏「国は耐震偽装事件から何も学んでいない」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151028-00000003-sasahi-soci
週刊朝日 2015年11月6日号
横浜市の大型マンションが傾斜した問題が“炎上”を続けている。国土交通省は10月23日、杭工事を請け負った旭化成建材(本社・東京都千代田区)が過去10年に杭打ちをした全国各地の計3040件を調査するよう指示。このうち41件には、横浜の物件でデータを偽装した現場責任者がかかわっている。11月13日までに提出される調査結果が注目される。
そんな中、意外な人物が口を開いた。10年前の耐震偽装事件で注目された不動産会社ヒューザーの小嶋進元社長(62)である。
2005年に発覚した事件では、元1級建築士の姉歯秀次氏(懲役5年の判決が確定)が構造計算書の耐震強度を偽装していた。小嶋氏は姉歯氏の不正を知った後にマンションを顧客に販売したとして詐欺罪に問われ、最高裁で懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が確定している。
今回の杭偽装問題に何を思うのか。小嶋氏は本誌の取材に文書で応じた。
「あってはならないことですが、姉歯のような者がいたということだと思います。一カ所や二カ所程度なら間違いもあり得ましょうが、(偽装された杭が)70本もとなると、悪意であることは間違いないでしょう」
問題が起きた背景をめぐり、「発注者からの圧力があったのでは」とか「予算が削られた結果では」といった見方も出ているが、小嶋氏の見解は違う。
「(現場責任者の)個人的な資質の問題に尽きると思います(中略)。(発注業者側に)瑕疵担保責任が連帯して負わされるので、組織的な犯罪ということは考えられません」
販売主の三井不動産レジデンシャル(本社・東京都中央区)は、全棟の建て替えや部屋の買い取り、住民の精神的負担への補償なども検討すると表明した。小嶋氏もこう指摘する。
「一人一人の希望に応じて金銭返還、仮住まい提供や建て替え支援を行うべきかと思います。特別難しいことではないと思います」
小嶋氏とヒューザーは事件後に破産。かつてはプライベートジェット機を所有するほど羽振りが良かったのに、今はマンションの清掃や管理で生計を立て、月収は約20万円という。小嶋氏は事件後も無実を訴え続け、今春には電子書籍『偽装──「耐震偽装事件」ともうひとつの「国家権力による偽装」』(金曜日)を出版。東京地裁へ再審請求をする準備をしている。
当時、事件の中心人物であるかのように報道された小嶋氏だが、一審判決の量刑の理由には「ヒューザーは耐震偽装の被害者ともいえる」とも書かれた。著書では、建築確認をした検査機関が姉歯氏の不正を見抜けなかったことについて、<国の定めた「建築確認検査」の制度上の欠陥が招いた問題>
<私は、不本意な形ではあるものの、責任を取らされた。一方、国交省は、何の責任も問われていない。このままでいいのだろうか?>
と疑問を呈している。
今回の事件でも、偽装された杭のデータは法令上、提出の義務がなく、結果的に検査をすり抜けていた。
小嶋氏の目には当時と似た構図に映るようだ。
「(事件当時の)姉歯の計算書は稚拙なもので、大臣認定ソフトで検算すれば簡単に分かったものを、検査機関はそのソフトすら持っていなかった。つまり何も審査していなかったのであって、検査機関業界の重過失でした。同様に、(今回の問題の検査機関も)中身は何も検査していなかったのではないでしょうか」
「国の責任は『耐震偽装』と同様に、何も問われないような法制度に整えられていると思います」(小嶋氏)
国や検査機関の責任がどう問われるのかも、注視していく必要がありそうだ。
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