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MS&AD本社(「Wikipedia」より/663highland)
生保、業界再編は「あり得ない」? 生損保業界、序列崩れカオス状態へ突入
http://biz-journal.jp/2015/10/post_12134.html
2015.10.28 文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト Business Journal
生命保険業界が揺れている。2015年3月期決算で第一生命保険が日本生命保険を保険料等収入(売上高に相当)で上回ったことが引き金になり、国内外での買収が活発化し始めたからだ。日生は三井生命保険を傘下に収めるだけにとどまらず、豪大手銀行ナショナルオーストラリア銀行傘下の保険事業を買収する方向で返り咲きにメドをつけた。抜き返された第一の動向を含めて、これまで手つかずだった生保再編をささやく声も聞こえてくる。ただ、鍵を握るのは意外にも「生保村の住人」ではない可能性があるだけに混沌が増しそうだ。
■一社独壇場だった損保市場に烈風
「東京海上とほぼ互角の水準になった」
MS&ADインシュアランスグループホールディングスの柄澤康喜社長は9月8日に開いた会見で、こう語った。同日、英損害保険大手アムリンを総額約6420億円で買収すると発表。売上高に相当する保険料収入は単純合算で3兆3578億円にまで拡大する。国内首位の東京海上ホールディングス(HD)の3兆4136億円を完全に視界にとらえる。
かつて損保業界は東京海上HDが業界のリーディングカンパニーだったが、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険の経営統合でMS&ADが誕生し、規模では抜きつ抜かれつのつばぜり合いを演じる。
今年に入ってからも、東京海上HDが6月に約1兆円を投じて米保険会社HCCインシュアランス・ホールディングスを買収。突き放したかと思いきや、同じく買収策でMS&ADが肉薄する今、両者の次の一手の俎上に載るのが生保事業ではないかとの観測が広まる。
■動けない三井住友とあいおい
金融自由化以降、損保系生保は損保代理店が自動車保険などと一緒に医療保険などを取り扱うことで事業を拡大。
「損保は自動車保険の契約更新で定期的にお客様と出会える機会がある。これは生保の営業とは違う大きな強み」(大手損保社員)
なかでもMS&ADは、傘下の三井住友海上あいおい生命保険と三井住友海上プライマリー生命保険の保険料収入合計額が約1兆5000億円にまで成長した。中堅生保のソニー生命保険や富国生命保険をしのぐ規模を誇る。
一方、東京海上HD傘下の東京海上日動あんしん生命保険の保険料収入は7791億円。MS&ADの半分にとどまる。かつて東京海上HDは、結果としては頓挫したが朝日生命保険を傘下に収めようとした過去を持つ。損保、海外に並ぶ柱として生保事業を掲げており、MS&ADに比べて伸長余地は大きいため、てこ入れ策は常に市場の注目を集めている。MS&ADも生保事業をこれまで以上に拡大する可能性も否定できない。「名実ともにナンバーワンを目指す」と宣言するものの、売り上げはともかく利益面では東京海上HDの後塵を拝している。
重しになるのが国内の損保事業。合理化が急務だが、横たわるのが三井住友海上火災、あいおいニッセイ同和損害保険の中核2社の合併問題。中核の損保事業単体では損保ジャパンと日本興亜損害保険の合併・新会社誕生で、三井住友が3位、あいおいが4位。三井住友社長も務める柄澤社長は合併にも含みを持たせるが、2社の規模に大きな差はなく、損保ジャパンが日本興亜を事実上飲み込んだような合併は描けない。合併すれば軋轢が生まれるのは不可避だろう。
おまけに、大人の事情もそこにはある。
「人口減少、車離れの進行に伴い縮小する国内損保市場で安定して利益を見込めるのが法人向け。特に両者はそれぞれトヨタ自動車のビジネスに食い込んでいるが、合併した場合、トヨタが一社にビジネスが偏るのを嫌い、シェア調整は必至。合併で合理化効果は見込めるが、法人向けビジネスでのロスも小さくない」(競合他社幹部)。
損保事業の合併での合理化や成長戦略が見えにくい以上、ボリュームの底上げや収益性の向上には利幅が厚く、勝手を知る国内の生保事業が自然に視野に入るというわけだ。
■再編に動く理由はない?
もちろん、生保大手が合併に動く可能性はゼロではない。
「生保は破綻した生保を外資が引き継いだケースを除いて再編の歴史がない。明治生命と安田生命の合併が例外。日生の三井買収は国内首位への返り咲きというわかりやすい理由があった。ほかの生保経営者に話を聞いても、見方は一致している。業績も好調で、生保は契約期間も長くシステムも統合が難しい。再編に動く理由がない」(銀行幹部)
生保が再編に対して歴史も経験も合理的理由もない一方、損保には国内損保事業の収益が厳しいなど、好調な生保事業の市場シェアを拡大する伸びしろは大きい。海外で損保事業の買収に乗り出せば全体の収益性は変わらないかもしれないが、縮む国内事業の雇用の受け皿という別の問題も浮上する。果たして山は動くのか。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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