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原油価格下落で袋小路のサウジアラビア 在庫は積み上がるばかり、懐事情も悪化(JBpress)
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/844.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 10 月 27 日 06:46:05: igsppGRN/E9PQ
 

イランの首都テヘランのサウジアラビア大使館前で、イランからの巡礼者たちが死亡した大巡礼での圧死事故に抗議する人々(2015年9月27日撮影)。(c)AFP/ATTA KENARE〔AFPBB News〕


原油価格下落で袋小路のサウジアラビア 在庫は積み上がるばかり、懐事情も悪化
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45069
2015.10.27 藤 和彦 JBpress


「米シェール業界、近づく『厳冬』」と伝えたのは10月20日付の日本経済新聞である。生産効率を向上させ生き残りを図ってきたシェール企業だが、7月以降、原油価格が1バレル=50ドル割れの状態が続き、「シェール企業は年末から年明けにかけて胸突き八丁を迎える」との観測が高まっている。

 シェール企業の大半は、第2四半期の掘削向け支出が石油・天然ガスの売却収入を上回るなどキャッシュフロー不足が深刻化している。そのため、「1月以降、総額615億ドル相当の株式や債券を売却し、そのうち半額は融資の返済等に振り向けた」という。

 米シテイによれば、シェール企業の融資額は最大15%減少される可能性がある。シェール企業は銀行からヘッジ売りを融資延長の条件とされているが、原油安が長引いているためヘッジ目的の売り注文を出す機会も失っている(10月17日付日本経済新聞)。「来年の原油販売分についてヘッジをかけているシェール企業の比率は2割に満たず、これまでの3分の1にとどまっている」ため、原油価格が1バレル=50ドルを上回ると「先物売り」に殺到している。だが、この行為が原油価格の上値を抑えるという皮肉な結果を招いている。

 新規投資を控えざるを得ないシェール企業の事情から、米国の石油リグ稼働数は5年ぶりの低水準に落ち込み(595基)、昨年に比べ約3分の1となった。ただし米国の原油生産量は今のところかなり高い水準を維持している。9月の原油生産量は1年ぶりの低水準となったが、日量平均は900万バレルを依然として超えている。

 米シェールブームを融資によって支えてきたウォール街の銀行は、そのリスクの多くを既に投資家に分散し(10月15日付ブルームバーグ)、多額の負債を抱えたシェール企業各社に対してはコスト削減と資金調達の猶予を与えている(10月20日付ブルームバーグ)。清算日が先延ばしされたシェール企業は必死になって少数精鋭の油井で生産を行っており、そのことが原油の生産量が極端に減少しない理由であろう。とはいえ、原油価格が大幅に回復しなければ来年春の融資枠の見直しはもっと厳しいものになる。

■石油在庫が積み上がり懐事情が悪化するサウジ

 昨年末からサウジアラビアは「原油価格の下落を放置し、ライバルであるシェール企業を潰す」と息巻いていた。これまでのところ、その戦略が功を奏しているかに見えるが、サウジアラビアも深刻な打撃を受けているようだ。

 10月19日付ブルームバーグは「世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアの原油在庫が記録的な高水準となっている」と報じている。

 8月のサウジアラビアの商業用原油在庫は、7月から640万バレル増加して3億2660万バレルとなり2002年以来の高水準に達した。サウジアラビアの原油在庫は今年5月以降記録的な高水準で推移している。原因は輸出が低迷しているからである。サウジアラビアの販売価格を下回る値段で他のOPEC諸国が輸出攻勢をかけたため、サウジアラビアの8月の輸出は日量700万バレルと7月に比べて同28万バレル減少した。

 輸出量が減少したもののOPEC内の生産シェアを維持したいサウジアラビアは、過去最高の原油生産量を続けている。そのため在庫が積み上がるばかりなのである。

 政府の懐事情も予想以上に悪化している。原油価格下落で2009年以来の財政赤字に陥ったサウジアラビア政府は、同国でインフラ計画に従事している企業への支払いを6カ月以上遅らせている(10月19日付ブルームバーグ)。

 英大手石油会社BPの統計によれば、今年の原油収入はロシア、サウジアラビアともに前年比49%減となる見込みである。過去10年で最低の金額であり、減収額はロシアで名目GDP比の1割、サウジアラビアで2割に相当する。

 ロシアは歳入の約5割を石油とガスに依存しているが、サウジアラビアの歳入に占める原油収入の比率は9割にも上る。IMFによれば、原油価格が1バレル=106ドルでなければサウジアラビア政府の予算は均衡しない。今年の予算の赤字は約1400億ドルでGDPの20%に達する見込みだ。

 外貨準備金も月120億ドルのペースで減少していくと予測されている。公的債務のGDPに占める割合が昨年2%未満と世界で最も低水準だったサウジアラビアの財政は、今や「火の車」になりつつあると言っても過言ではない(IMFは10月21日、「サウジアラビアは歳出維持に必要な金融資産を5年以内に使い果たす恐れがある」と警告した)。

■危機意識を高め、国防費がうなぎ登りに増加

 サウジアラビアが、収入が大幅に減少するにもかかわらず支出を減らせないのには苦しい事情がある。

 中東地域におけるイランとの主導権争いは、スンニ派の盟主としてのサウジアラビア政府の面子にかかわる。そのため安全保障費は減らせない。

 サウジアラビアはこのところロシアを上回る国防費を支出している(サウジアラビアの2014年の軍事費は808億ドル、ロシアは700億ドル)。3月からのイエメンへの軍事介入などにより、その額は今年に入って「うなぎ登り」に増えていることだろう(イエメンへの軍事介入によりかかった経費は9月までに800億ドルを超えたと言われている)。

 イエメンへの軍事介入はますます泥沼化している。イスラム教シーア派武装組織フーシは10月15日サウジアラビアの最大基地の1つであるキング・ハーリド空軍基地をスカッド・ミサイルで攻撃し、サウジアラビア兵士83名を死亡させた。17日にはサウジアラビア南部ダハラン地区にある軍事基地も攻撃され、サウジアラビア軍兵士数十名が死傷、複数の兵器庫が破壊されるなど守勢に回る展開になってきつつある。

 過激派組織IS(イスラム国)も10月16日、大油田地帯が存在するサウジアラビア東部でシーア派モスクを襲撃するなど国内でのテロを頻発させている。

 さらに核問題を巡り、イランと国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた6カ国が7月に最終合意した「包括的共同行動計画」が10月18日に発効日を迎える。米国とEUは核関連制裁の解除に向けた準備に着手するなど、イランの国際社会への復帰はカウントダウンに入った。

 米国政府は10月14日インド洋での日米印の海上合同軍事演習に原子力空母セオドア・ルーズベルトを参加させたため、ペルシャ湾での米原子力空母が8年ぶりに不在となった(原子力空母ハリー・トルーマンは今年冬にペルシャ湾に配備される予定)。ロシアとイランによるシリアへの軍事介入が拡大する中で、サウジアラビア政府の危機意識は一層高まっているのではないだろうか。

■「安定」とは言えないサウジ政権

 次に内政面でも、2011年からの「アラブの春」を国内で発生させないためバラマキ予算をなんとしても維持しなければならない。

 サウジアラビアでは、厳しい宗教的規律を押しつけられる国民の間で、贅沢三昧の生活を享受する王族たちへの不満が高まっている。そのため、世界一と言われる福利厚生策を続けることは至上命題である。

 国民は所得税が課されることはなく、医療・教育費は無料、生活必需経費にも大幅な補助を受けている。しかし、格差の拡大や政権の腐敗、暴動や情勢不安を生じさせている若者失業者問題など、課題は山積である。

 9月のメッカ巡礼の際に海外から訪れた多数のイスラム教徒が圧死する事件への政府の対応にも、国民は不満を募らせている(犠牲者数は拡大を続け、10月22日時点で2200人に達した)。今月に入ってMERSの感染が再び拡大しているのも気になるところだ。

 10月8日付米ニューヨーク・タイムズは「サウジアラビアは国内の緊張のため、段階的に東・リヤド・南・北・西の5つに分断されるだろう」と報じた。ライバルの部族を力ずくでワッハーブ派の傘下に集めている現体制だが、2015年1月のアブドラ前国王の死去以降、独断専行の傾向が強い経験の浅い世代が台頭する現状を憂う専門家は少なくない。

 サルマン国王の執政能力に対する信頼性も低下している。9月28日付英ガーデイアンは「年初に即位したばかりの国王が病気で、30代の皇太子が実務を代行中であるため、他の王族が現国王の退位を協議し始めた」と伝えている。

 王族内では、サルマン国王就任直後の強引とも言える人事に対する不満が高まっている。対処を誤れば「数十万人の王子の中から支配者を選択するための全く新しいシステムを構築する」という事態にまで発展する可能性がある。

 日本ではあまり認識されていないが、世界ではサウジの政権の安定性に対して大きな懸念が広がっているのだ(10月14日付ブルームバーク)。

■日本に求められるのは原油の中東依存からの脱却

 シェール企業とサウジアラビア政府にとって、危機を回避するシナリオは原油価格の大幅回復である。だが、供給過剰による在庫の積み上がりに加え、アジアの需要が細っているという「ワンツーパンチ」が相場に下押し圧力をかけている(10月17日付ブルームバーグ)。

 中国国家統計局は10月19日、今年の第3四半期のGDPが前年比6.9%増加したと発表した。リーマン・ショック直後の2009年第1四半期以来6年半ぶりに7%を下回ったことになる。サービス部門の下支えにより成長率は市場予想(6.8%)を上回ったが、昨年GDPに占める割合が46%だった固定資産投資が低迷する現状では、中国の原油輸入が今後増加することはないだろう。

 中国の国有鉄鋼商社が10月20日社債の利払いが履行できなくなるなど、社債市場の不調も顕在化している。不良債権の拡大も止まらないため、リーマン・ショック後に「危険すぎる」として国際的に凍結されている証券化商品を活用すべきとの議論が強まっており(10月15日付ブルームバーグ)、金融危機発生の確率はますます高まっている。

 ロシア中央銀行総裁は10月13日、「原油価格が1バレル=50ドルの状態が15年間続いてもそれは最悪の悪夢ではない」との見方を示した。

 原油価格が長期低迷することで、シェール企業の大量破綻による金融市場の混乱ばかりか、サウジアラビアにおける「アラブの春」勃発を心配しなければならないという段階に入ってきたと言えよう。

 日本では「中東危機=ホルムズ海峡封鎖」という図式が定着している。しかしサウジアラビアに一朝事があれば、原油輸入の3割超を依存している日本で、まさに「油断」に描かれた事態が現実化するのではないだろうか(「油断」は40年前に通産官僚だった堺屋太一氏が執筆した小説)。

「油断」では中東から石油輸入が制限されると、直ちに日本の経済システムが麻痺し、多数の犠牲者が発生する。2度にわたる石油危機を経て政府が原油の備蓄を大幅に充実させた現在、このような事態が生じる可能性は少ないが、「想定外」の事態発生で心理面で国内全体がパニックとなる可能性が高い。

 欧米の制裁解除後をにらみ、日本ではイランでの油田開発への参入に期待が高まっている。しかし日本も米国にならい、そろそろ本気になって原油の中東依存から脱却する時期に来ているのではないだろうか。

 

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コメント
 
1. 2015年10月27日 21:44:34 : v1gbxz7HNs
あれやこれやと次々と異変が起きている。
昨日は王子が大量の麻薬密輸で逮捕された。
水面下で何か起きているようだ。

2. 2015年10月28日 00:15:28 : 7xQ7Jq22Ur
今時は背景が隠し絵のように浮き上がってしまいましたので無理だろう。

悪のトライアングルはイスラエル、アメリカ、イギリス、フランスのNATOで
金主はサウジアラビアとカタールで
実行犯はトルコやヨルダンそれにチェチェン人あたりだという噂ですよ。
タリバンやアルカイダはアメリカやイギリスが作った単なるパーペットな役者の捏造団体でしかないようです。

それで何か不自然に裏でチョロチョロしているしIS戦士はここらあたりから供給されているようです。
IS戦士の主役は名前を変えただけで出てくるから直ぐに分かる。

金になるから髭も伸ばすしISの国旗や機関銃も振り回す。

ピンポイント攻撃されてIS戦士の親分さんが簡単に殺されてプーチンは本気だと分かったら髭をそり落として難民になり元のトルコやヨルダンに一目散で逃げて帰るそうです。

原油が売れないからやむ追えずサウジアラビアは国債を発行して国家予算をお決めになる。

これだけ世界中でいろんな場所から天然ガスや原油がわんさか出てきたら無理だろう。

石炭と同じで発掘場所から消費地までいかに低コストで運べるかだけがポイントになる。

ガスを液化天然ガスに代えて送るなどは愚の骨頂でしょう。

この意味ではユダ菌のパワーが下がったらサウジアラビアという国の地政学的な位置関係は不便で悪いから競争力は無くなるしアメリカのシェールガスやシェールオイルとも同じでしょう。

救いようの無いアホな投資家は速やかに逃げるだけ。

あるいは地下深く再起不可能まで勝手に沈めばいいだけでしょう。


3. 2015年10月28日 12:27:02 : OO6Zlan35k

干上がるオイルマネー 原油安で財政難、売り手に
証券部次長 山下茂行
2015/10/28 2:00
日本経済新聞 電子版
 サウジアラビアなど産油国の政府系ファンド(SWF)が売り手に回ったとの観測が強まっている。巨額のオイルマネーに物を言わせ、日本株も含めたグローバルな金融資産を2014年は2700億ドル(33兆円弱)買い越したものの、原油安が響いて今年は1000億ドル(約12兆円)の売り越しに転じると米JPモルガンは試算している。

 「SAMA銘柄の動きがおかしい」。世界の株式相場が大荒れとなった8月下旬以降、市場関係者がこんなセリフを口にすることが増えた。SAMAとは「サウジアラビア通貨庁(Saudi Arabian Monetary Agency)」の略称。同庁はサウジの中央銀行で、オイルマネーを外貨準備やSWFを通じて運用する「メガ投資家」だ。

 サウジが資金の出し手とされているのが「サジャップ」や「ジユニパー」という名のファンド。これらが大株主の銘柄には下げがきついものが目立つ。海外投資家が日本株の売り越しに転じた6月以降だと、ロームやナブテスコ、安川電機は2〜3割程度下落し、日経平均株価(8.7%安)に大きく見劣りする。

 27日もSAMA銘柄にはさえないものが散見された。例えばマツダは15年4〜9月期に過去最高益を更新したと伝わったにもかかわらず、午前中に買いの勢いは途切れ、結局は5日ぶり反落で終えた。
 底流には原油安による産油国の財政悪化がある。国際通貨基金(IMF)によるとサウジの国内総生産対比の財政赤字は15年に22%と14年の3%から急拡大する。この穴埋めにサウジはSWFなどで保有する金融資産を最大で700億ドル程度売却したとの観測がある。北欧の産油国、ノルウェーも資産を取り崩す方針だ。
 米調査会社SWFインスティチュートの推計ではSWF全体の資産規模は7兆ドルを超える。08年の金融危機後に米国などが大規模な金融緩和を続けた結果、あふれた資金が原油相場を押し上げ、オイルマネーも急拡大した。
 今では世界の運用資産の1割前後を占めるほどの規模に達し、ひとたび売りに回れば影響は計り知れない。日本株市場では9月に欧州投資家の売越額が約1兆8000億円と過去最大を記録した。中東の投資家は欧州経由で売買注文を出すことが多く、日本を含めた世界の市場が8月下旬以降に大荒れとなった背景に「オイルマネーによる売りがあったのではないかとの見方がある」(大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジスト)。
 足元では中国の再利下げなどを受け、「世界的な緩和長期化の期待から、日本株は回復が続く」(東海東京調査センターの中井裕幸専務)との楽観論も戻ってきている。とはいえ、世界的に株価が反発している間も原油がじりじりと下落しているのは不気味だ。いずれにしろ、原油とオイルマネーの動きを抜きにしては株式相場の先行きを考えられなくなってきたのは間違いないだろう。
http://www.nikkei.com/content/pic/20151028/96958A9E93819594E0E59AE3E18DE0E5E3E2E0E2E3E7979CE3E2E2E2-DSXMZO9330850027102015EN1001-PB1-9.jpg 

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