2. 2015年10月26日 14:12:26
: OO6Zlan35k
日経平均、年内2万円回復の見方強まる:識者はこうみる[東京 26日 ロイター] - 金融相場が復活する中、日本株市場では、年内に日経平均.N225は2万円の大台を回復するとの見方が強まっている。30日の日銀決定会合で追加緩和が見送られれば、ドル/円JPY=EBSが117円程度まで下落するとの予想もあるが、緩和期待がつながれば、株安も限定的になりそうだという。 ただ、金融緩和の「裏側」にある世界経済の減速には警戒感も強い。全面的なリスクオンには進みにくいとの声も聞かれる。 市場関係者の見方は以下の通り。 <為替> ●日銀追加緩和見送り時、円高リスク警戒すべき <JPモルガン・チェース銀行 チーフFX/EMストラテジスト 棚瀬順哉氏> 今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に関しては、金融政策据え置きで、声明についても12月の利上げ開始を強く示唆することにはならず、あくまでデータ次第というスタンスを保つとみている。 一方、日銀決定会合については、追加緩和(QQE3)が実施されるか否かは、ほぼ5分5分と考えている。ドル/円相場に対するインプリケーションとしては、緩和を実施して円が売られるリスクより、緩和が見送られて、円が買われるリスクにより警戒すべきであると考えている。 円安リスクについては、1)QQE3は既に一定程度市場に織り込まれている、2)QQE1やQQE2の実施時に比べ、日本の国際収支が大きく改善している、3)日本政府が追加緩和やそれがもたらす可能性のある円安に必ずしも前向きではない──などを考慮すると、QQEが前2回のように大幅な円安を招く可能性は低いと考えられる。 年末のドル/円の予想レートは121円。 ●日銀会合後に1.5─2円変動も、「黒田フロアー」の117.39円では底堅い <三菱UFJモルガンスタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏> 日銀の追加緩和に関する外為市場での織り込みは、5分5分ぐらい。このため、追加緩和があってもなくても相場は動きそうだ。ドル/円の発射台の位置によるが、上方向にしろ下方向にしろ、1.5─2円程度の値幅は出るだろう。 とりわけ、今回会合では月末・週末の最終営業日と五・十日が重なっており、もともと、かく乱需給で荒れやすい。そこに日銀会合という不透明要因が重なるため、大きく増幅する可能性が高い。 今回見送りでもいずれ緩和に乗り出すとの観測は残るし、米国サイドでもいずれ利上げするとの観測は残る。日米金融政策の印象格差は埋まらず、トレンドは引き続きドル高/円安だろう。 年内で考えると、びっくりするような金融政策が出れば年初来高値125.86円を上抜けて126─127円に向かう可能性がある。一方、米経済指標が連続して悪化し、かつ日銀も何もしないとなれば117円への下落もあるだろう。 日銀短観で企業の事業計画前提レートが117.39円と示された。これが「黒田フロアー」として機能する可能性がある。割り込むようなら、かなり高い確率で日銀は追加緩和に乗り出すだろう。 企業業績の下振れリスクが出てくれば、物価目標の2%達成は無理になるし、物言う株主が増えている中で経営者が賃上げを飲めなくなる。 年末のドル/円予想レンジは117─127円。 <株式> ●追加緩和見送りでも日本株の影響は一時的、緩やかな戻り継続へ <SMBCフレンド証券 チーフストラテジスト 松野利彦氏> 10月30日の日銀による金融政策決定会合で、追加緩和は多分見送られるだろう。一時的な失望感が出る可能性もあるが、影響は限定的となるのではないか。もっとも、12月まで日米欧の金融政策の変更に対する思惑で引っ張られやすい。日経平均は年内は1万7500円─2万0500円の幅で推移するとみている。 日本株は欧米に比べ、戻りが鈍い状況にある。企業業績に対する懸念から事前に売り込まれてきた部分があるが、多くの企業で上期は好調。下期は慎重姿勢から変更なしという形になりそうだ。 1株利益(EPS)予想が低下しても、バリュエーション面では日本株はそれほど高いわけではない。足元ではテクニカル的な過熱感が出ているが、割安感を修正しつつ、一進一退を続けながら緩やかに戻していく相場が考えられる。 ●11月にも日経2万円視野、緩和期待継続で買い戻し優勢 <いちよしアセットマネジメント 執行役員 秋野充成氏> 11月にも日経平均2万円回復が視野に入りそうだ。欧州の緩和示唆に続き中国が利下げに動き、世界的に過剰流動性相場が強まっている。週末30日の日銀決定会合では追加緩和はないとみている。 だが、11月にはマイナス観測が出ている7─9月期GDP発表後に決定会合が開催されるため、緩和期待は当面継続するだろう。緩和見送りとなればいったん売りが強まりそうだが、緩和期待が続くなかでは下値を売り込みにくく、日経平均1万8500円程度が下値めどとなる。 一方、日経平均2万円までは買い戻しが主体であり、一段の上値はリスクオンが加速しない限り難しいだろう。 年内の日経平均レンジは1万8500円─2万0500円を予想している。 <金利> ●追加緩和見送りの場合、ベアスティープ <みずほ証券 シニア債券ストラテジスト 丹治倫敦氏> 日銀が30日の決定会合で追加緩和を実施するという方向で見ているので、これを前提にすると、カーブ全体にはブルフラットの圧力がかかるだろう。ただ、今の金利レンジからかなり切り下がるとは考えていない。 仮に追加緩和が実施された場合、国債の買い入れ増額になると見ており、付利の引き下げがなかった場合、織り込んだ部分がはく落すると考えている。となれば、中短期ゾーン金利に上昇圧力がかかることで、10年ゾーンまでの金利が連動することも考えられる。 10年最長期国債利回りが0.3%を下抜けて、0.2%台を試していく展開を見込んでいない。今から12月のレンジは0.3%─0.45%とみている。 日銀が追加緩和を見送った場合、基本的には、付利の引き下げと国債の買い入れ増額期待のはく落という2つポイントがあると思っている。カーブ全体に上昇圧力がかかるとみている。両方の影響を受けやすい10年セクターが特に安くなる形で、ベアスティープするイメージを持っている。ただ、長期金利が一気に0.4%を上抜けることはなく、0.3%台中盤ぐらいまでの上昇になるのではないか。 ●長期金利0.2%台へ、ボラティリティに注意 <メリルリンチ日本証券 金利ストラテジスト 大崎秀一氏> 前週、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、12月追加緩和を示唆。中国は追加利下げを決定した。週明けの東京市場は円安・株高とリスクオン方向に振れている。円高が進行しない限り、日銀は10月30日の決定会合で追加緩和を見送るのではないか。実質賃金がわずかながらプラスになった程度で、仮に追加緩和に踏み切ったとしても、物価上昇で消費を冷え込ませるようでは、その効果は限られる。 債券市場では、10月追加緩和を想定する参加者は少ない。日銀が10月追加緩和を見送れば、いったん売り材料になるかもしれない。しかし、10月金利低下の背景に、投資家の実需買いもある。10年債利回りが0.3%台半ば付近に上昇すれば、押し目買いが入るだろう。 中期的にみれば、日銀の大規模買い入れで需給が引き締まり、金利は低下方向の見方は変わらない。ただ、流動性が低下しているため、金利上昇の材料が浮上した場合に相場のボラティリティが高まりやすいことに注意が必要だ。 年内の10年最長期国債利回りレンジは0.20%─0.45%を予想している。 (ロイターニュース 金融マーケットチーム) http://jp.reuters.com/article/2015/10/26/market-views-nikkei-idJPKCN0SK0BH20151026?sp=true |