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海外投資家は日本株を「まだ買える」とみる 中国景気、企業業績など不安材料は山積
http://toyokeizai.net/articles/-/89559
2015年10月26日 西澤 佑介 :東洋経済 編集局記者
8月中旬に起こった世界同時株安以後、日経平均株価は1万8000円前後で一進一退し、先行きを見通すことが難しい状況が続いている。
「日本株はATM(現金自動預け払い機)だ」
最近、世界を股にかけるヘッジファンドたちの間で日本株はこう称されているという。
経済アナリストの豊島逸夫が解説する。「ヘッジファンドが7〜9月の想定以上の中国株下落や商品市況の下落による株安局面で、相当なダメージを被ってしまった」。
ヘッジファンドのパフォーマンスは、世界同時株安を受けて年央から大きく低下した。損失を穴埋めするため、値上がりしていた日本株をしぶしぶ売り、「益出し」(利益確定)をしたのだ。急場しのぎで都合よくカネを引き出す対象だったいう意味で、日本株は「ATM」と称されたワケである。
実際、今年8月以降の相場で下げ幅が急だったのは、中国リスクの大きな鉄鋼セクターよりも銀行株や不動産株。内需関連にもかかわらず、流動性の高さから益出しの対象になったのだろう。
■株安は日本固有の要因ではない
「株安は短期資金によるもので日本固有の要因でもない。中国などへの懸念が和らげば今後は回復に向かう」(アライアンス・バーンスタインの村上尚己・マーケット・ストラテジスト)と見る市場関係者もいる。
ある証券会社社員はこう打ち明ける。「お客には『もう(中国関連銘柄の株価が沸騰するような)コマツの相場は二度と来ない』と説明しています」
8月の世界同時株安時、日本の投資家は凍りついていた
内外投資家の称賛を浴びてきた安倍政権への期待感も、やや冷めてきた。SMBC日興証券の阪上亮太・チーフ株式ストラテジストはこう話す。「9月に海外投資家たちとミーティングをした際、今のアベノミクスに対し『これまで最もディサポインティング(失望)だ』という人が多かった。内閣の支持率も下がり、本当にこれまで先送りされてきた規制緩和などが進むのか疑問の声が向けられている」。
11月に発表される7〜9月GDP(国内総生産)の結果次第では、海外からの“疑い”の目は一層強まるだろう。
来年度の企業業績も、あまり期待はできない。「今年度は円安や法人減税、原油安などによって一株当たり純利益で12%ぐらいの増益要因となっている(上場企業ベース)。為替、商品市況が今のままならば、この増益ボーナスは来期には剥がれ落ちる」(阪上氏)。
■海外投資家は意外にも強気!?
では、今の日本株は「売り」なのか。週刊東洋経済の10月31日号(26日発売)の特集『日本は売りか』では、複数の有力海外投資家にインタビューを実施し、率直な評価を尋ねた。すると興味深いことに、日本株に投資する海外機関投資家の多くの答えは、反対に「買い」だった。
詳しい理由や内容は週刊東洋経済10月31日号に詳しく特集しているが、海外投資家の多くは日本政府や企業が進める改革を評価している。不透明な市場環境が続き、不安材料が渦巻いて先行きに悲観的な見方も強まる中で、株式売買高の約6割を占める外国人投資家の見方は無視できない。
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