http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/818.html
Tweet |
追い込まれた中国の「大胆な金利引き下げ」〜世界経済に与える影響はいかに
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46030
2015年10月26日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
■中国はどこまで本気なのか?
10月23日、中国人民銀行は、一連の金利引き下げを発表した。具体的には預金金利の上限をなくし、貸出金利を0.25%引き下げるとともに、預金準備率も引き下げた。
今回の金融緩和の目的は、貸し出し意欲の刺激と資金流出への対応による景気下支えだ。それに加えて、金融の自由化を進め、新常態下での改革の方向性を示す意図も含まれている。今後も、景気支援を目的に、さらなる利下げや自由化が進む可能性は高い。
こうした対策が、中国国内の一部の資産価格に影響を与えることが想定される。全体的な経済の動きは弱含みやすいが、不動産などの反発が今後の株価、為替レートにどう影響するか、注意深く中国経済を見守る必要がある。
中国人民銀行が金融緩和を打ち出した理由は、景気の減速を食い止めたいからだ。逆に言えば、緩和策実施に「追い込まれた」ということだ。石炭や鉄鋼業界での過剰な生産設備の問題もあり、財政支出を打ち出してインフラ開発を大々的に進めることは容易ではない。そのため、これからも金融政策への依存度は高まるだろう。
19日に発表された実質GDP(国内総生産)成長率の落ち込みは、利下げに大きく影響した可能性がある。第3四半期の成長率は前年同期比で6.9%、2009年第1四半期以来の6%台の成長率に落ち込んだ。
7%前後の成長率目標を達成するという意思を示すためにも、景気刺激への強い姿勢を示すことは重要だ。
9月の消費者物価(CPI)の伸び率は前年比1.6%、生産者物価指数(PPI)はマイナス5.9%と、物価も低迷している。9月の輸入は前年比マイナス20.4%となり、市場予想以上に弱い内容だった。中国のマクロ経済は依然弱いことは明らかだ。そのため潜在的に利下げ期待が高まりやすい状況も続いている。
景気支援に加え、今後5年間の経済運営計画をまとめる「五中全会」を控え、金融の緩和や自由化という改革の方針を内外に示すことも、利下げの重要な動機だろう。
また、ロンドン訪問中の習近平国家主席が「新常態下の中国経済はハードランディングに直面しない」との見方を示したことも影響しているはずだ。
■なんと住宅価格は上昇中!
中国人民銀行は、昨年11月から6回にわたって金融緩和を行った。それにも拘わらず、中国経済の減速に歯止めがかからない。鉄鋼やセメント、化成品など、これまでの成長をけん引してきたセクターが落ち込んでいる以上、景気の減速は避けられない。
一方で、資産価格が上向いているセクターがあることも事実だ。たとえば、中国の新築住宅市場では、5カ月連続で価格が上昇している。マクロ面の弱さばかりに目をとられると、こうした反発、その影響を見落としがちだ。
23日の利下げ発表後、欧州、米国の株価は上昇し、米金利の上昇、円安が進んだ。このように、中国の利下げ、景気刺激策は国内外の資産価格に影響を与えやすい。
主要中央銀行が金融緩和の意志を強くしていることも軽視できない。ECBは12月の理事会でマイナス金利の拡大を含め、あらゆる措置を検討している。22日、ドラギ総裁がこの考えを示すと、世界的に株価は上昇した。中国、ユーロ圏で積極的な金融緩和が進みやすい中、投資家はリスク愛好的に動きやすいだろう。
全体的な経済の方向感として、中国経済は減速しやすい。FRBでさえ、中国経済の動向に配慮して9月の利上げを見送った。もし金融緩和などの措置が資産価格の上昇につながるのなら、その効果が一時的にマクロ面の弱さへの関心を低下させやすいことには注意が必要だ。
中国が緩和的な金融政策を志向している以上、景気が軟調であっても株価などは上昇しやすくなっている。その影響が各国の金融政策にも影響を与える点は軽視できない。中国の景気刺激策が資産価格に与える影響は慎重に考えるべきだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民101掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。