http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/812.html
Tweet |
雑感。TPPと農業
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52744854.html
2015年10月25日 在野のアナリスト
菅官房長官が講演し「TPPを機に攻めの農業にしたい。農地集約化がすすむよう税を含めたインセンティブを…」と語っていますが、必要なことは農家の法人化です。つまり今は農地が個人所有となっているため、所有者が亡くなると相続税が発生する。子供が多いと分割され、全員が農業をやるわけでもないため、相続した土地が遊んでしまったり、貸すにしろ地元から離れてしまえば管理も行き届かず、そうやって農家は徐々に解体されていく仕組みになっています。
仮に、話し合いで農家を継ぐ人間一人に相続したとしても、今度は多額の税金がかかる。これが農家が高齢化していく一つの原因です。しかし法人とすれば、個人が亡くなっても税金は発生しないばかりか、農家を継ぐなら経営権の譲渡という形になります。しかしこれは財務省がもっとも嫌がる策です。相続税収が減るばかりか、法人税減税などとなれば尚更、農家の収入も低い税制に合わせられる。大企業は20%台に下げることが検討されていますが、中小零細企業は今でももっと税制は低いのですから、農家の収入をそちらに合わせると減税効果がより大きく働くのです。
TPPの大筋合意した内容が発表されていますが、さすがに全容は見きれていませんが、農林水産物で81%、工業品は100%の関税撤廃、と伝わります。しかし気になるのが『大筋』合意である点で、それにしてはやけに詳細です。日本だけやけに農林水産物の関税撤廃率が低いのに、よくこれで合意がとれたもので、裏を返せばまだ何か明かされない条件が潜んでいるのでは? と勘繰りたくもなる。関税は撤廃しないけれど、お米のように輸入枠を設定するなど、最終的な合意の段階で分かることがまだまだあるのではないか、との疑いすら抱いてしまいます。
そもそも、TPP合意で「安くなる」と盛んに喧伝されますが、日常的に買う製品で安くなるものは、ほとんどありません。お米は枠を拡大しただけですし、小麦は米、豪、カナダに枠を設定しますが、国家貿易の枠内で輸入差益を9年かけて45%削減となるだけで、その分が国民に還元されるのか? 単純に関税撤廃、その分を国民に還元、という仕組みではないのです。そもそもですが、関税を撤廃すれば国民には減税効果も期待できますが、国としては税収減であり、今の財政規模を維持できない、となるのですから、どこかで帳尻を合わせなければいけません。消費税増税は増える社会保障費に…というなら、国が歳出削減をするか、新たな増税を模索しなければならないのであって、決して「安くなる」とはいえない可能性の方が、十分に高いのです。
農家を法人化するメリットは、例えば大規模集約化にも役立ちます。法人間の契約で土地の賃貸ができるからで、個人で契約すると、その人が亡くなったときに改めて契約を結びなおす、などの手間がかかりますし、それこそ相続でもめたら借りていた側は手出しできない、ともなりかねない。もし経営者が亡くなっても、法人との契約は継続するのですから、そうした弊害もなくなります。農家それぞれを法人として扱うことには、メリットの方が多いといえるのです。
ただそうなると、JAは解体せざるを得ない。農家個人をJAとして管轄する意味がなくなるからです。むしろJAが企業化し、農家と契約を結ぶような形態に変わらざるを得ない、とも言えるのでしょう。ただ、安倍政権がそこまでの決断ができるか? といったら無理でしょう。何より、先に示したように財務省にとってメリットがないからです。麻生財務相が「河野太郎とかけて釧路ととく。その心は湿原(失言)が多い」となぞかけをしていますが、麻生氏は「口は軽いが、税率を軽くする(軽減税率)のは嫌」という御仁です。そんな財務省に命運を握られている安倍政権では、改革なんてできるはずもない、という意味では湿原どころか実現も難しいとなってしまうのでしょうね。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民101掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。