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イエレンFRB議長は、9月24日のマサチューセッツ大学での講演では、改めて「年内利上げ」を表明していた(写真:ロイター/アフロ)
FRBが12月に利上げをすれば1ドル126円に BBHのマーク・チャンドラー氏に聞く
http://toyokeizai.net/articles/-/89553
2015年10月25日 大崎 明子 :ニュース編集部長
週明け10月27〜28日にはFOMC(米国連邦公開市場委員会)、30日には日本銀行の「展望レポート」の発表と金融政策決定会合が予定されている。米国の年内利上げはあるのか?日銀の追加緩和は?ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジー部門のグローバル・ヘッドであるマーク・チャンドラー氏に話を聞いた。
■3人のキーメンバーが年内利上げを模索
――FRB(米国連邦準備制度理事会)は年内に利上げできると思いますか。
FRBは慎重になりすぎている。中国経済減速の影響は、周辺諸国に広がり、米国の輸出先にも影響を与えた。しかし、米国経済は堅調だ。米国の雇用は失業率5.1%と2004年に利上げを始めた水準まで低下した。ほぼ完全雇用の状態だ。ただ、インフレ率は低いままであるため、FOMC(米国公開市場委員会)メンバーの意見が割れている。
年内の利上げはもうないと言っている市場関係者もいるが、私は、まだ利上げのチャンスはあると思っている。
理由のひとつは、12月のFOMC(15〜16日)までに、まだ雇用統計の発表が2回あることだ。10月、11月の非農業部門雇用者数の増加がいずれも17万人程度を下回って15万人程度にとどまるなら、利上げは見送られるだろう。逆に、20万人増程度が続けば、利上げは開始されるとみている。8月、9月の雇用統計はよくなかったが、一時的な統計のブレであった可能性がある。新規失業保険申請件数など雇用関連の指標は強く、22.5万件でこれは7月にも記録しているが、前回は10年前ぐらいまで溯る。
もう一つの理由はFOMCの意見が割れているとはいっても、キーパーソンはイエレンFRB議長、フィッシャー副議長、ニューヨーク連邦準備銀行のダドリー総裁であり、彼らは依然として、年内の利上げを模索していることだ。
3つ目の理由は市場のボラティリティ(変動性)が低下してきたことだ。9月の利上げ見送りの理由はについて、FOMC声明文は「金融と国際情勢」(financial and international developments)という表現をしたが、つまり中国ショックによる国際的な市場の動揺だった。ただ、足元では、市場は落ち着いてきている。
ただし、10月27〜28日のFOMCで利上げに踏み切る可能性はないとみている。カギとなる経済指標がまだ揃わないし、イエレン議長による会見もないからだ。
マーク・チャドラー(Marc Chandler)/ 2005年10月からブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジー部門グローバル・ヘッド。それ以前は、HSBCバンクUSA、メロンバンクでチーフ通貨ストラテジストを歴任
――債務上限の問題が再燃しています。
債務上限に達するとすれば11月5日頃、11月第一週だ。最終的には共和党は債務上限の引き上げを認めると見ているが、いつものことながら間際まで決まらないだろう。
問題は債務上限の引き上げをいつまで延長するかで、二つ考えられる。
ひとつは今年の12月までとりあえず延ばして、そこで再協議する2013年と同様のパターン。もう一つは大統領選に配慮して、2016年12月まで延長すること。
市場のボラティリティは、11月には一時的に高くなると思うが、2016年12月までの延長で合意できれば収束する。今年12月までしか延長できなければ、市場のボラティリティが高い状態が続き、かつ、12月に協議が整わずに政府機関の閉鎖が起きたら、FRBは利上げを見送る可能性がある。
■年内利上げができなくても、ドル下落は一時的
――FRBが年内に利上げした場合、できなかった場合の年末のドル円相場の見通しは?
12月に利上げが実施されれば、いわゆるリスクオン相場になるだろう。世界経済は米国を中心に大丈夫だという見方が市場に広がり、株が買われて、新興国通貨も買い戻されるだろう。結果的に円売りも進みやすくなり、ドル高円安相場となる。この場合、年末には1ドル=126円まで進む可能性がある。
12月に利上げが見送られた場合は、反対にリスクオフの動きとなり、ユーロや円が買い戻される。ただし、ドルが急落することはないだろう。FRBがいずれ利上げすることに違いはない一方で、日本銀行やECB(欧州中央銀行)は金融緩和を続けるか拡大する方向にある。ただ、市場は短期的には大きな反応を示す可能性があり、1ドル=114円程度までドルが下落することもありうる。
――FRBが年内に利上げできたら、そのあとの正常化のペースは、どのようなものになりますか。
2016年は大統領選挙もあるので、非常にゆっくりしたペースになるだろう。FRBのバランスシートが縮小されることによる引き締め効果が生じることも、忘れてはならない。保有証券の償還により、来年は2000億ドル縮小する予定だ。利上げは、0.25%ずつ2016年は2回、2017年は3回と見ている。2017年でまだ1.5%ぐらいで、FFレートは最終的には2%〜2.5%程度まで引き上げられるとみているが、それは2018年頃になる。
■日銀は10月に追加緩和を行わない
――BOE(イングランド銀行)、日本銀行、ECB(欧州中央銀行)の政策動向をどう予想していますか。
BOEはFRBの利上げの後に利上げするだろう。現在、完全雇用に近い状況になっている先進国は、米国、英国、ドイツ、日本だがこの中で、賃金が唯一上がっているのが英国だ。利上げの必要性は高い。年内に実施すると見る市場関係者もいるが、私は来年の5月と見ている。
日銀は10月に追加緩和に踏み切らないだろう。食品とエネルギーを除く物価の基調は加速している。景気は減速感が強まっているが、消費増税直後のような緊急性も感じられない。ただ、仮に10〜12月期のGDP(国内総生産)も含め3期連続のマイナス成長が懸念されるような状況になれば、来年1月に追加緩和を行う可能性は多少ある。
ECBは前回の理事会でスタッフによる経済見通しの下方修正もあったので、日銀よりも緩和の方向で合意がとれていると思う。どういう緩和がありうるかといえば、2016年の9月末までという期限を延長する、購入する資産の構成を変える、購入する資産の量を増やすなどが考えられる。ただし、現在の金融緩和政策にも否定的だったタカ派のドイツを説得する必要があるため、12月の実施はなく、来年まで待つ必要があるのではないか。
――2016年のドル円相場の見通しと、その他の通貨の見通しを教えてください。
ドル円はレンジが切り上がって、1ドル=116〜130円。116円を割るような円高はないだろう。ユーロはドルに対して歴史的な水準まで下落すると見ている。今年の年末は1ユーロ=1.08ドルぐらいだが、来年は1ユーロ=0.90〜1.05ドル程度までユーロは下落すると見ている。
その後もユーロは対ドルで下落を続け、過去最安値の1ユーロ=0.82を割り込むことも考えられる。新興国通貨は全般に下落トレンドだ。米国の利上げ、商品市況の低迷、中国経済の弱さに加え、新興国通貨はドルを調達して買われているため、アンワインド(巻き戻し)が中長期的に続くことも新興国通貨の下押し要因となる。
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