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日本は敗戦後すぐに航空禁止令を布告され、存在する飛行機は破壊され、航空機メーカーと航空会社は解体され、大学授業からも航空力学の科目は排除された。
北朝鮮が衛星の打ち上げに難癖を付けられているように、軍事技術の最先端の一つである航空機の開発に日本が近づかないようにしたわけだ。
(日本企業の航空機運航や航空機製造が全面解除されたのは52年の独立からさらに5年を経た57年)
この制約のため、戦前・戦中を通じて実践的に鍛えられた航空機設計者と製造技術者が数多くいたが、バイクや自動車など別の製品の開発・製造に転身するほかなかった。
航空機開発からの排除が、自動車の革新的発展や家電製造の隆盛など民生品製造の覇者につながったとも言えるが、より高いレベルの産業技術とより広い裾野を持つ航空機産業は思うように育成できなかった。
悲願の国産旅客機として開発されたYS11も、構想が発表されるや、米英の航空機メーカーは自社機のライセンス生産を持ちかけ潰されそうになった。
YS11の開発も、MRJと同じように困難を極めた。
「三舵問題」と呼ばれた操縦性の悪さと空力特性を改善するためにより多くの時間を要し、アメリカ連邦航空局の型式証明を取得する審査の過程でも問題が指摘され、メディアは「飛べない飛行機」と酷評した。
64年の東京オリンピックの国内聖火輸送に間に合わせるかたちで国内の型式証明がおりた。YS11は総数で182機生産し、1973年に生産終了となった。そして、構想されていた後継機YS33の開発計画も頓挫して国産旅客機製造は長いトンネルに入った。苦労して開発製造販売にこぎ着けたYS11の貴重な技術の継承も限定的なものになってしまった。
今回のMRJ開発が遅れた要因として、上の表にはないがエンジンメーカーの対応遅れもあった。これは、開発を遅らせただけでなく燃費の優位性も消滅させてしまった。
とにかく、世界に向けて輸出しなければ採算が合わないが、そのためにはアメリカ連邦航空局の型式証明が必要だから、米国が、日本の航空機産業に対して生殺与奪件権をもっていると言える。
MRJを民間旅客機開発再開の第一歩と考え、今後は、日本単独ではなく旅客機分野で立ち後れている旅客機需要が大きい国との共同開発に向かわなければ、YS11の二の舞になってしまう可能性が高いと思う。
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MRJ初飛行、5度目の延期 三菱航空機「詰め」に甘さ[日経新聞]
2015/10/24 0:30
国産ジェット旅客機「MRJ」を開発中の三菱航空機(愛知県豊山町)は23日、26〜30日の予定だった初飛行を11月9〜13日に延期すると発表した。延期はこれが5度目。操舵(そうだ)部品を改修する。改修しなくても初飛行に問題はないが、安全性や完成度を優先する社内意見を重視したという。背水の陣で臨んだ初飛行を前に「詰め」の甘さがあらわになった。
初飛行の離着陸に使う愛知県営名古屋空港(豊山町)。「25日から11月1日まで展望デッキを閉鎖します」。延期発表前の22日に航空機ファンの殺到による混雑や事故を防ぐためこう呼び掛けたが、肩すかしを食った。
延期の理由はコックピット内の操舵ペダルの部品改修だ。ペダルを踏むと、垂直尾翼の後部に取り付けられた「ラダー」と呼ぶ舵(かじ)が動く。ラダーが左右に動き舵を切る。この可動範囲を広げるため、ペダルの機構を改修するという。
なぜ広げるのか。飛行中に悪天候になり、2基あるエンジンのうち1基が停止する状況に陥った場合、ラダーの可動範囲が広ければ機体の傾きを安定させやすくなる。
ただ、この改修は「初飛行のタイミングでは必要のない作業」(三菱航空機)。初飛行は晴天を狙って飛行や離着陸の基本性能を確認するもので、そもそも雨天では実施しないからだ。
このため初飛行後に改修する予定だったが、急きょ「前倒しで直した方が安全」との意見が浮上。関係者間の事前のコミュニケーション不足が、初飛行を心待ちにしていた航空会社などの期待をそぐ形になった。
4月に4度目の初飛行延期を発表した際、三菱航空機は「初飛行後の改修点を減らすため、完成度の高い機体にすることを優先した」と説明。親会社の三菱重工業が開発部隊のお目付け役として4月に送り込んだ森本浩通社長も「10月に飛ばす」と明言していた。目標必達に向けて関係者の足並みがそろっていなかったとのそしりは免れない。
MRJの初飛行は最初は2011年の予定だったが、設計や製造工程の見直しなどで延期を重ねてきた。今回の延期で初飛行は2週間程度の遅れになる。装置やシステムの不具合ではないため、17年春の型式証明取得、同年4〜6月を予定しているANAホールディングスへの引き渡し時期に変更はないという。
今月26〜30日には飛行許可を得るため、国土交通省の審査を受ける。その後、高速で陸上走行試験を実施。「いつでも初飛行できる状態まで持ってくる」(三菱航空機)
「予想外のことが起きてもおかしくない」。開発トップの岸信夫副社長はこう言ってはばからない。今回は軽微ですんだが、どこに落とし穴が潜むか分からないのが航空機の開発。新参者の三菱航空機ならなおさらだ。生みの苦しみは続く。
(上阪欣史)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ23HPR_T21C15A0TI1000/?dg=1
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