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日銀のピーターパン物語
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/747.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 10 月 23 日 12:52:40: igsppGRN/E9PQ
 

日銀のピーターパン物語
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20151023-00050735/
2015年10月23日 9時20分配信 久保田博幸 | 金融アナリスト


日本銀行金融研究所は、2015年6月4、5日に日銀本店において、「金融政策:効果と実践」と題する 2015年国際コンファランスを開催した。その開会挨拶において、黒田総裁が中央銀行が現在直面している様々な課題を提示した上で、引用したのがピーターパンの物語の一節であった。

「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう(The moment you doubt whether you can fly, you ceaseforever to be able to do it)」

現在、「PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜」という映画が公開されているが、これはネバーランドに連れて来られた孤児が「ピーターパン」になるまでを描く作品である。この作品ではフック船長は単なる悪役では無く、かつてはピーターパンと盟友であったとの設定になっている。

黒田総裁は、盟友であったかどうかは知らないがアベノミクスという夢の王国を打ち出した安倍首相に請われて日銀総裁となった。そこで取った政策が量的・質的緩和政策であり、異次元緩和政策とも呼ばれた。ただし、この政策は2年という時を設定した。フック船長は、時計を飲み込んだワニに追われることになるが、アベノミクスの場合は時に追われているのは黒田総裁となっていた。

しかし、2年が経過しても魔法の効果は出なかった。途中まで出たような気がしていたが、何か別の力が働いていたのが要因であったようで、油の値段が下がったとたんに、期待はどこかに失せてしまったのか、目標から遠ざかってきてしまった。

魔法の効果を信じていなければ、魔法は使えなくなってしまうのか。本当にその魔法は効くのであろうかと市場参加者が疑問を抱いたことで、魔法が消えてしまったということなのか。

それならば再び市場参加者達にも魔法を掛ければ良いのか。フック船長ならぬ安倍首相は、旧三本の矢を再び取り出して磨きを掛けるという。その一本目がピーターパンならぬ日銀の大胆な金融緩和という矢である。飛べるかどうか(物価目標を達成できるかどうか)を疑う人たちに対して、新たな矢を射ることで本当に願いは叶うのか。これは今回、ECBのドラギ総裁も試そうとしている。

市場参加者は、飛べるかどうかを疑う以前に、飛べるわけがないことを知っていたのではなかろうか。ただし、飛べるかどうかはさておいて、魔法が掛けられると、なぜか株が上がったり、通貨価値が下がることがあるので、魔法そのものは掛けてほしいと願っている。しかし、それは何か起きると魔法にばかり頼ることにもなりかねない。そもそもその魔法のためには必要なものが存在するのだが、その道具にも限界がある。これはECBも同様か。

はたして日銀のピーターパン物語の続きはどうなるのか。ネバーランドでは結局、ピーターパンとフック船長は敵同士となってしまう。そんな結末も待っているのか。10月30日の魔法を決める会合への期待も出ているが、魔法を信じさせながらも限られた道具しかないなか、金融政策はネバーではないが、当分の間はそのまま据え置かれるのではなかろうかと予想される。それともドラギさんのマジックが成功しそうなので大胆なというより、やることに意義があるとして、自ら禁じ手としていた小出しの魔法を掛けるのであろうか。


久保田博幸
金融アナリスト
フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

 

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コメント
 
1. 2015年10月23日 14:51:20 : OO6Zlan35k
日銀、16年度物価見通し下方修正へ 2%達成時期も後ずれ検討
 10月23日、日銀は次回の金融政策決定会合で、展望リポートに示される2015年度と16年度の物価見通しを引き下げる方向で検討に入った。黒田総裁、日銀本店で7日撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)
 10月23日、日銀は次回の金融政策決定会合で、展望リポートに示される2015年度と16年度の物価見通しを引き下げる方向で検討に入った。黒田総裁、日銀本店で7日撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)
[東京 23日 ロイター] - 日銀は30日に開く次回の金融政策決定会合で、経済・物価情勢の展望(展望リポート)」に示される2015年度と16年度の物価見通しを引き下げる方向で検討に入った。関係筋が明らかにした。

15年度CPI見通しは前年比プラス0.7%から同0%台前半に、16年度は従来のプラス1.9%から小幅引き下げる可能性がある。また、2%の物価上昇率の目標達成時期も、従来の「16年度前半ごろ」から後ずれするのを容認する見方が増えており、この点も議論されるもようだ。

また、中国など新興国の景気減速が鮮明になっていることを背景に、15年度の国内総生産(GDP)成長率をこれまでのプラス1.7%から1%台前半に引き下げ、16年度も従来のプラス1.5%から小幅引き下げとの見方が広がっている。

次回会合では、毎年4月と10月に公表している展望リポートを議論する。17年度までの実質GDPの伸び率と消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の見通しを9人の政策委員の中央値として公表する。

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前回に中間見直しを行った7月に比べ、1)原油価格が大幅に下落、2)中国株急落など新興国の減速が世界的に強く意識された──の2点が大きく変化した。

7月には、原油価格(ドバイ産)が1バレル60ドルから17年度末にかけて70ドルに上昇するとの前提を置き、見通しの数字を出した。

しかし、先行き試算の根拠となる北海ブレント原油の先物価格は、17年度末60ドル弱まで下落しており、今回の会合では原油価格の前提を足元で50ドル前後、17年度末60ドル前後に下方修正するとみられる。

また、日本経済の潜在的な供給力と実需の差である需給ギャップの改善も想定より遅れており、物価見通しの押し下げ要因となる。

4月展望リポートでは、需給ギャップについて「15年度前半にプラスに転じる」と見込んでいたが、新興国経済の減速を受けて4─6月期の実質GDPはマイナス成長に転落。同期の日銀試算の需給ギャップは、マイナス0.7%に沈んだ。

日銀では日本の潜在成長率をゼロ%台前半と見込んでおり、先行きもそれを上回る成長が続くことから、需給ギャップは改善傾向が続くとみている。ただ、改善ペースは想定よりも鈍く、物価見通しの下振れに作用しそうだ。

複数の関係筋によると、15年度のコアCPI見通しは、従来の前年比プラス0.7%から0.2ポイント以上引き下げ、0%台前半になるとの見方が広がっているもようだ。

16年度も従来のプラス1.9%から0.1ポイント強下方修正され、プラス1%台後半になりそうだとの声も多い。

GDP成長率は、4─6月期にマイナス成長に転落したことなどを受け、15年度見通しを従来の1.7%から1%台前半に大幅に引き下げざるを得ないとの見方が広がっている。

16年度も、国際通貨基金(IMF)の世界経済の成長率見通しの引き下げなどを踏まえ、従来のプラス1.5%から小幅引き下げの必要があるという見通しが浮上している。

一方、食品や日用品の値上げにより、生鮮とエネルギーを除いた日銀版のコアコアCPIは、8月に前年比プラス1.1%まで上昇。目先もしっかりした推移が見込まれており、日銀は物価の基調は着実に上昇しているとの認識を深めている。

ただ、物価2%目標の達成に向けて日銀が重視している中長期的なインフレ期待は、足元のコアCPI低迷などを受け、市場での関連指標やアンケート調査などにおいて、低下の兆しもうかがえる。

政府内では、企業の賃上げペースが小幅なまま、短期的な物価上昇が継続すれば、消費の減退を通じて景気が停滞から失速に向うリスクを指摘する声も出てきている。

次回会合での政策判断は、内外需の強さや先行きを検討し、足元までは堅調だった物価の基調がどのように推移するのか、慎重に検討していくとみられる。

(竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/2015/10/23/boj-idJPKCN0SH06C20151023


法人実効税率引き下げ、日本企業の投資活性化には疑問−ムーディーズ
2015/10/23 12:46 JST

    (ブルームバーグ):米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、安倍晋三政権が進める経済政策で、法人税の実効税率引き下げが潤沢な資金を抱える企業の投資を促す経路につながるかどうかには疑問が残るとの見方を示した。
政府は今後数年かけて30%を下回る水準にまで法人実効税率を引き下げる方針。安倍首相は9月、来年度も3.3%以上の法人減税を進める意向を明らかにしている。
ムーディーズのシニア・アナリスト、クリスチャン・ド・グズマン氏は22日のインタビューで、「アベノミクスが企業のマインドセットを変えるまでには至っていない」とし、「これまでも企業は潤沢なキャッシュを国内の投資に振り向けておらず、法人税を引き下げたところで、日本経済に恩恵をもたらすかどうかは不透明」と分析。むしろ、「法人税の引き下げが歳入に与える影響に懸念がある」と話した。
8月の機械受注統計は民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額が予想外のマイナスに転落し、3カ月連続で落ち込んだ。内閣府は基調判断を連続で引き下げた。民需の7−9月見通し(前期比0.3%増)を達成するには9月は前月比43.5%増が必要で、9月が横ばいなら7−9月は前期比12.2%減になる可能性があり、エコノミストの間では、同期の国内総生産(GDP)がマイナス成長になるとの見方が広がっている。
中国景気減速の影響注視
ムーディーズは昨年12月に日本の債務格付けを「A1」に1段階引き下げた。これはバミューダやエストニア、オマーンと同水準。その後、今年に入って、中国景気の先行き不透明感が生じており、日本経済は外需の鈍化を通じて、向かい風に直面している。また日本銀行の量的・質的金融緩和による景気浮揚の効果もそがれかねない。
同社ソブリン・リスク・グループのマネージング・ディレクター、アンヌ・ファン・プルーフ氏は22日のインタビューで、中国景気の減速をめぐっては「日本は貿易チャネルにおいて特に大きなエクスポージャーを持っているわけではない」とした一方で、「日本企業が間接的に影響を受けるという点を注意してみていく必要がある」と話した。
関連ニュースと情報:トップストーリー:TOP JK
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net;東京 Finbarr Flynn fflynn3@bloomberg.net;東京 Kevin Buckland kbuckland1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝
更新日時: 2015/10/23 12:46 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NWNKQ76K50XS01.html


2. 2015年10月23日 14:54:15 : nJF6kGWndY

あほらしい

新情報0だな


3. 2015年10月23日 15:26:23 : OO6Zlan35k
麻生財務相、30日の追加緩和に慎重 「金融でできること限られる」

[東京 23日 ロイター] - 麻生太郎財務相は23日の閣議後会見で、30日に開催予定の日銀金融政策決定会合での追加緩和の必要性について、2%の物価目標達成に金融政策だけでできることには限りがあると述べ、慎重な見方を示した。

追加緩和の必要性について麻生財務相は「基本的に、日銀に委ねられるべき判断だ」としたうえで、原油価格が低下するなかで、2%の物価目標を「金融(政策)でやれる範囲は限られる」と指摘。

物価が上がらない原因は「カネがないのではなく、需要がない」ためだとも説明。「黒田日銀総裁もそこを考え、需要が出るためには、たとえば、企業の内部留保が賃金などに回ることによって働いている人の可処分所得が増え、消費が増えることを期待していると思う。(金融政策と需要増の)両方が相まっていくことだ」と述べ、「今すぐ日銀の金融緩和だけで本来の目的にはなかなかいきにくい状況にある」と語った。

2%の物価目標の妥当性に関して「オープンエンドで進んできたその方向は間違っていない。2%目標を今この場で変えることは考えていない」と述べ、枠組みの変更は必要ないとの認識を示した。

麻生財務相は16日夜放映されたNHKとのインタビューでも「今すぐさらに金融緩和という状況ではない」と述べていた。

(吉川裕子 編集:田中志保)
http://jp.reuters.com/article/2015/10/23/aso-idJPKCN0SH07Y20151023


4. 2015年10月23日 15:27:13 : gZYEad6DUg
「・・・黒田は、中央銀行が世界的な経済と金融的なシステムを保つために、文字通り、おとぎ話に頼っている事を認めました。少なくとも彼は、この件に関しては正直な様です・・・」
http://songcatcher.blog.fc2.com/blog-entry-1033.html

5. 2015年10月23日 15:28:17 : OO6Zlan35k
8月改訂景気動向指数、一致指数は前月比‐0.9ポイント=内閣府

[東京 23日 ロイター] - 内閣府が23日発表した8月景気動向指数CI(コンポジット・インデックス)一致指数の改訂値は、前月と比べて0.9ポイント低下の112.2となった。2カ月連続で低下した。速報段階(0.6ポイント低下し112.5)から低下幅は0.3ポイント拡大した。

先行指数の改定値は前月比1.5ポイント低下の103.5と2カ月連続で低下した。速報値(前月比1.5ポイント低下の103.5)と変わらずだった。

CI一致指数を踏まえた基調判断は「足踏みを示している」として、速報段階の表現を据え置いた。
http://jp.reuters.com/article/2015/10/23/economy-idJPKCN0SH0DD20151023


6. 2015年10月23日 20:10:23 : OO6Zlan35k
コラム:10月追加緩和は期待薄、統計精度に課題=岩下真理氏 SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト
[東京 23日] - 筆者にとって10月と言えば、日銀追加緩和の問い合わせに忙殺される日々だ。それは9月にリーマンショックが起きた2008年以降の7年間で、2009年と2013年以外の年は全て10月の金融政策決定会合(2回のうちのいずれか)で追加緩和が決定された実績が物語る。

10月は「日銀秋祭り」なのだ。特に昨年のハロウィーン緩和はサプライズ決定であり、黒田日銀総裁の言葉を額面通り受け取れない気持ちを、市場参加者に植え付けた。

そして今年も、市場は追加緩和観測に振り回されながら、30日会合の結果を待つことになる。過去の事例から、結果発表が13時30分を過ぎると政策変更の可能性が高いようだ。

筆者は前回コラムで、「日銀が追加緩和を検討せざるを得なくなる状況とは、2つの重要指標(生産統計と日銀短観・9月調査)が筆者予想より悪いものとなった場合や、外部環境で中国が今後何も対策を講じず、米連邦準備理事会(FRB)が年内利上げできないとの見方が強まって株安・円高が進行する場合に限られるのではないか」と指摘した。

前者の2つの指標は、弱い生産とほどほどに良い9月短観となり1勝1敗。後者の海外情勢では、26―29日開催の中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)で5カ年計画の重点施策発表に伴って景気対策を講じる姿勢が示されれば朗報だろう。一方で米国では、年内利上げ観測は一段と後退したが、幸いにも極端な株安・円高は進行していない。

黒田総裁は7日の定例会見で、展望レポート経済・物価見通しについて、実質国内総生産(GDP)、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の数字は下方修正となっても、物価の基調の判断とは異なると説明した。また、昨秋との相違点として、企業の価格設定行動の変化と賃金の2年連続上昇を挙げているが、1番目は短期間に変わり得るものではないし、2番目は春闘待ちと言われたに等しい。

10月前半に景気判断を変えなかったので、緩やかな回復シナリオは維持と見るべきだろう。経済・物価見通しを下方修正し、2%の物価目標達成時期を後ずれさせても、追加緩和の検討には至らないとの明確なメッセージだ。筆者は、追加緩和なしとの予想を維持する。

22日の欧州中央銀行(ECB)理事会後の会見では、ドラギ総裁が低インフレ予想の長期化、新興国の景気減速懸念を背景に、「金融政策の緩和度合いを12月の理事会で見直す必要がある」と発言し、追加緩和の可能性を示唆した。さらに中銀預金金利について「今回は議論した」と言及、昨年9月にマイナス0.2%に引き下げた当時の「政策金利は全般に下限に達した」からの方針転換がサプライズだった。

市場は12月の追加緩和催促相場となり、ユーロ安、欧州発の株高・債券高となっている。ECBの姿勢を踏まえて、一部に日銀が追随するとの見方も出ているが、足元の株高・円安進行なら、むしろ日銀は追加緩和をする必要はない。ECBがするなら、日銀も付利を引き下げると考えるのはあまりにも短絡だ。

日銀の付利引き下げは、量的・質的金融緩和の国債買い入れ目標額を円滑に実施するのを難しくさせ、金融機関の収益低下により、金融仲介機能を損なうリスクがある。黒田総裁が7日の会見で付利引き下げを強く否定しており、わずか3週間後に方針転換するようでは、中央銀行の信認低下を招くだけだろう。日欧の金融市場構造の違いもあり、日銀とECBのマイナス金利に対する考え方は明らかに異なる点は留意したい。

<弱い生産統計に死角あり>

それよりも、気になるのは国内統計の精度だ。8月の鉱工業生産指数は速報値で前月比マイナス0.5%と市場予想の同プラス1.0%を大幅に下振れ、8月の輸出動向よりも弱かった。その後、確報値で前月比マイナス1.2%とさらに下方修正された。

経産省によると、9月の大型連休の影響で速報段階では調査できなかった企業があり、新興国経済減速の影響と天候要因で改定幅が広がったという。2013年6月以来の低水準となり、2014年4月の消費増税後の「当面の底」と見られた2014年8月の水準も下回った。これでは、鉱工業生産指数は消費増税前の2014年1―3月期にピークをつけ、すでに下り坂との解釈も可能だ。

しかし、今回の弱い生産統計にはチグハグ感がある。第1に、生産統計は季節調整での異常値処理方法が生産と出荷では異なるが、両者に乖(かい)離が出ている(加えて生産と輸出にも、かい離が広がりつつある)。第2に、昨年に続き8月の生産が弱めになるパターンが続いている。第3に、日銀の企業聞き取り調査に基づく生産予測と経産省の実績値とのかい離が出始めていることだ。

想定される状況は2つ考えられる。まずは日銀が以前、独自に季節調整をかけ直した生産指数を作ったように、季節調整の歪みが生じている可能性だ。もう1つは、製品サイクルの短期化、基準年からの経過に伴う生産構造の変化により、2010年基準の採用品目、そのウェイトが実態から徐々にかい離、実際の生産活動が十分に反映されていない可能性だ。

2000年代前半にも、新三種の神器と呼ばれた製品の生産増にもかかわらず、古い基準年の生産統計では強さが示されず、関連統計とのかい離が問題視された時があった。その説が正しければ、聞き取り調査とのかい離も納得できる。

日銀は景気判断で生産統計を重視しており、急に尺度を変えるはずはない。経産省の生産指数にはテクニカル要因があり、それを差し引きすれば、横ばい圏内との判断に至ったと推察される。

<冴えないGDP統計は実力通りの姿か>

経産省の生産指数では、2四半期連続の前期比マイナスは確実で、7―9期の実質GDPもマイナスの可能性がやや高いものの、まだ決め打ちはできない。9月貿易統計では、輸出よりも輸入の伸びが大きく、外需のマイナス寄与度が1.0%程度と大きくなる見込みだ。

それでも輸入増加は、堅調な内需を示す。8月分家計調査では、実質消費支出(除く住居等)が猛暑効果もあって前月比プラス1.5%と2カ月連続プラス、7―8月平均が4―6月対比プラス1.1%と強めになり、薄日が差した。すでに発表された9月の各種販売統計はシルバーウィーク効果により好調であり、大雨の影響が多少あっても9月家計調査(30日発表)における実質消費支出の前月比プラス、7―9月期のプラスは期待できるだろう。

7―9月期のGDPを総括すると、弱い外需と弱含みの設備投資に対して、堅調な消費と公共部門の綱引き状態でゼロ近傍の成長率となりそうだ。しかし、日本の潜在成長率が低下し、0%台前半と目される状況では、実力通りの姿と言える。それを高めるため、政府は新3本の矢に取り組む必要がある。

なお、米国の定義では実質GDPの2四半期連続のマイナス成長が景気後退とされるが、日本の場合、景気動向指数のヒストリカルDIで認定されるため、生産関連の山・谷の位置が重要となる。筆者は現在の足踏み状態から先行き持ち直しを見込んでおり、当面は景気の山・谷の説明は難しい時期が続こう。

*岩下真理氏は、SMBCフレンド証券のチーフマーケットエコノミスト。三井住友銀行の市場部門で15年間、日本経済、円金利担当のエコノミストを経験。2006年1月から証券会社に出向。大和証券SMBC、SMBC日興証券を経て、13年10月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/2015/10/23/column-mariiwashita-idJPKCN0SH0OP20151023?sp=true


7. 2015年10月23日 22:47:14 : OO6Zlan35k
アジア減速、邦銀経営への影響を注視 現時点では限定的=日銀

[東京 23日 ロイター] - 日銀は23日、金融システムの現状と展望をまとめた「金融システムリポート」を公表した。夏場以降の中国株急落などをきっかけにした金融市場の不安定化や、中国など新興国経済の減速が国内銀行の経営に与える影響を分析し、今のところ影響は限定的とした。

ただ、動向次第ではリスクと財務基盤のバランスなどへの影響に注視が必要としている。

大手行を中心に海外向け貸出の増勢が続くなか、最近の中国をはじめとした新興国経済減速や市場変動が邦銀経営に与える影響も懸念される。

リポートによると、アジア経済の減速懸念の強まりを受け、これまで高い伸びが続いてきたアジア向けの貸出が鈍化するとともに、足元では「関連融資の審査や中間管理を慎重に行う動きも見られる」という。

ただ、経営への影響では、信用コストの目立った上昇は見られていないなど、「金融機関の健全性への影響は今のところ限定的」と分析。株安とボラティリティの上昇を受けて9月末の金融機関の有価証券評価益は3月末に比べて11.9%減少するとともに、株式リスク量は19%増加したが、39.6兆円のリスク量に対して53兆円の自己資本を保有するなど「リスク量対比でみて資本基盤が充実した状況にある」としている。

もっとも、金融市場のボラティリティの高まりは「その度合いによっては、金融機関のリスクと財務基盤のバランスに影響を及ぼし得る」と指摘。アジア経済のさらなる減速も「金融機関の貸出ポートフォリオの質にも影響する可能性がある」とし、適切なリスク管理を促している。
http://jp.reuters.com/article/2015/10/23/boj-system-report-idJPKCN0SH15L20151023

 

日本政府、消費税率引き上げで税収拡大を=S&Pアナリスト

[東京 23日 ロイター] - 格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は23日、日本は2017年に予定通り消費税率を引き上げて税収拡大を図り、債務を圧縮する必要があるとの見解を明らかにした。

S&Pの日本ソブリン格付担当、キムエン・タン氏はインタビューで、一部の食品に軽減税率を適用することは、増税が一般に受け入れられやすくなるとして評価する考えを示した。

ただ、軽減税率を適用することで企業や政府にはシステム対応などのコストが生じると指摘した。

同氏は「税率引き上げが歳入増をもたらし、債務水準の引き下げにつながることが重要だ」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/2015/10/23/sp-analyst-japan-tax-idJPKCN0SH19F20151023


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