2. 2015年10月23日 18:49:51
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実は画期的! 新アベノミクスは世界の経済政策の「新潮流」になるかもしれない 聞こえてくるのは批判の声ばかりだが……2015年10月22日(木) 安達 誠司 〔photo〕gettyimages 「所得倍増計画」以来の画期的な構想 安全保障関連法案の改正がようやく終わり、経済政策への関心が再び高まっている。 安倍首相は、アベノミクス第二弾として、「新三本の矢」を発表したが、その実現に向けた具体策はこれからの課題という側面が強い。現段階では、「1億総活躍社会」というキャッチフレーズばかりが独り歩きし、その本質はなかなか見えてこない。 そのため、安倍首相の保守的な政治姿勢に嫌悪感を示すマスメディアの多くが、アベノミクス第二弾についても批判的なスタンスを強めている。 だが、筆者は、今回のアベノミクス第二弾で、安倍首相は、経済政策上、画期的な構想を発表したのではないかと考えている。それは、600兆円という具体的な「名目GDP水準目標」を明示したことである。このような経済成長の目標を国民に示すのは、1960年の池田勇人内閣の「所得倍増計画」以来ではないかと思われる。 今後、実現に向けた具体策をどのように策定するかにかかっている部分も多いが、「名目GDP水準」を新たな経済政策の目標に掲げたことで、日本の経済政策は(いい意味で)新たな局面を迎える可能性がある。 しかも、この「名目GDP水準目標」は、今後の世界の経済政策の"新潮流"となる可能性があるのだ。 現在の先進主要国の経済政策の枠組みの主流は、@金融政策では、2%程度の「インフレ目標」、A財政政策面では、緊縮財政(増税、及び歳出削減)、の組み合わせである(すなわち、「金融緩和・緊縮財政」のポリシーミックス)。 アメリカやイギリスはその典型例である。また、中央銀行はECBだが、ドイツも事後的には同様のポリシーミックスの下にある。 1990年代後半以降、多くの国で、金融政策は、2%程度の適正なインフレ率の実現に割り当てられてきた(「インフレ目標政策」)。特に、リーマンショックが発生するまでは、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドがインフレ目標政策の導入で極めて安定的な経済成長を実現したことから、インフレ目標政策は金融政策の「標準モデル」となった。 一方、財政政策は、リーマンショックをきっかけとした世界的な経済危機の中で積極的な役割を果たした。だが、財政赤字の累増がもたらした過去の悲惨な歴史の教訓から、経済危機のリスクが低下した2011年頃から、先進主要国は、累増した財政赤字の削減に舵を切り、現在に至っている。 インフレ率がなかなか目標の2%近傍に到達しないことから、先進主要国では依然としてゼロ金利政策が継続中である。 特に2012年以降、回復ペースが比較的早かったイギリスでは、昨年からゼロ金利政策解除の思惑が台頭、アメリカでも今年に入ってから利上げの可能性が取り沙汰されているが、現時点においてはいずれも実現していない。両国ともインフレ率が、2%の目標から下振れて推移しているためだ。 脚光を浴びる「長期停滞論」 このような状況下で、財政政策も含めた経済政策のあり方に変化の兆しが現れ始めている。 そのきっかけは、米ハーバード大学教授のローレンス・サマーズ氏(元財務長官)が2013年11月のIMFの会議で提唱した「長期停滞論」であった。 サマーズ氏は、経済危機後の世界経済が構造的に低成長状態に陥っており、経済的なショックに対し、極めて脆弱な状態にあると警戒感を示した。 この「長期停滞論」は、緩やかながらも世界景気が回復局面にあった昨年まではあまり取り上げられることもなかったが、今年に入って、再び脚光を浴びている。中国経済の先行きを巡って通貨、株式、商品市場の混乱が強まる局面で、世界経済の先行きが不透明になったためだ。 サマーズ氏の「長期停滞論」自体は定性的な指摘にとどまっていたこともあり、論争はあったが、メディア上での「言葉遊び」の域を脱していなかった。だが、今年に入ってから、マクロ経済学者の間で、「長期停滞論」を標準的なマクロ経済分析の枠組みの中で定式化し、定量的な分析を行う動きも出始めた。 分析のフレームワークはそれぞれの経済学者の問題意識に応じて様々なバージョンがあるが、これによって、具体的、かつ、定量的な政策提案が可能な状況になりつつある。 企業の過剰なリスク回避行動 「長期停滞論」には様々なバージョンがあるが、その肝は、リーマンショックのような大きな経済危機を経験すると、企業は将来のための投資に二の足を踏んでしまうという点にある。 これは、経済のわずかな変動を大きなリスク要因と解釈し、過剰にリスク回避的な行動をとってしまうためだとされる。現在、先進主要国で共通の現象となっている企業部門の「金余り」、及び設備投資の回復の鈍さは、このような企業の過剰なリスク回避行動の表れであると解釈される。 企業の過剰なリスク回避は、雇用の回復の鈍さにもつながる。また、失業率がある程度低下したとしても、1人当たり賃金の伸びの鈍さを通じて、個人消費の回復を阻害するという側面も無視できない。そして、これは結局、経済成長率全体の停滞につながる。 また、経済危機による金融機能の低下によって、借金をして将来への投資を行う若年層への資金移転がスムーズにいかなくなることで、貯蓄投資バランスが「貯蓄超」となり、これが長期金利の低位安定につながるという側面もある。 さらにいえば、同様の理由による若年層の教育投資の減少は、「人的資本の質」を低下させ、これが将来の潜在成長率の低下に波及する(もしくは、将来の潜在成長率が低下するという「予想」が現時点の設備投資に影響を与えると考えてもよいだろう)。 これらの分析結果は、リーマンショック後の所要先進国の低成長・低インフレが、標準的なマクロ経済学の枠組みの中で整合的に説明されているという点で説得力を増している。 長期停滞論者の政策提言 そして、興味深いのは、サマーズ氏ら長期停滞論者の政策提言がほぼ一致していることだ。 「長期停滞」の経済環境下では、正常時では「誤差」に近いわずかな外的ショックが発生した場合でも、経済はデフレに陥り、一旦デフレに陥るとそれが常態化する可能性が高まる。 そのため、この「デフレ均衡」を回避するためには、もはや金融緩和だけではなく、財政拡張も併用し、需要の押し上げをはかるというのがその政策提言である。 これは、言葉を変えれば、「名目GDP目標」を政府、中央銀行が新たな目標として共有すべきだとの議論にもつながる。 例えば、カーネギーメロン大学教授のベネット・マッカラムやハーバード大学教授のジェフリー・フランケル氏は、2011年頃から、「名目GDP目標」の採用を提案しており、その理由は、「長期停滞論」とほぼ同じである。 つまり、リーマンショック後の経済構造では、金融政策のみでインフレ率を引き上げようとしてもなかなか上昇しない。 また、インフレ率が上昇する局面では、名目GDP成長率も同時に上昇し、「経済厚生」上、インフレ目標と名目GDP目標は同じ意味を持つことが暗黙の前提となっていたふしがあるが、それが成立しにくくなっていることも背景にあるだろう。 経済政策の「新潮流」 このような背景の下、実際の世界の経済政策のあり方にも変化の兆しがみられる。 例えば、5月の総選挙で保守党に大敗したイギリスの労働党では、新たに党首に指名されたジェレミー・コービン氏が、経済顧問にノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏と世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者、トマ・ピケティ氏を迎えることを発表した。彼らは、所得格差の是正を主張するリベラル系の経済学者だが、金融緩和の継続と財政支出拡大による景気浮揚に積極的である。 また、10月19日に実施されたカナダの総選挙においても、中道左派の自由党が議会で過半数を獲得し、10年振りの政権交代が実現する見通しとなった。カナダもリベラル勢力が政権奪取し、財政出動で景気浮揚をはかる可能性が出てきた(カナダは、商品市況低迷による輸出減によって景気が急速に悪化しつつある)。 ひるがえって日本の状況をみると、安倍政権は、「600兆円の名目GDP水準」を2020年度までに実現する方針である。足元(2015年4-6月期)の名目GDPの水準(499.9兆円)の実績値を出発点として、2020年度末(2020年1-3月期)に600兆円の目標を達成すると仮定すると、今後、平均して3.2%強の名目成長率を実現させる必要がある。 これまでの日本の名目成長率の実績を考えると、この「3.2%強の名目成長」は、実現不可能であるようにみえるが、他の主要先進国の状況と比較すると、決して達成不可能な目標ではない。 例えば、サマーズ氏が「長期停滞」状態にあると指摘する米国の最近5年間(2010年7-9月期から2015年4-6月期まで)の平均名目成長率は3.7%である。また、現在と当時とで、日本の経済環境は大きく異なるが、池田勇人内閣の「10年間で名目国民所得を倍増させる」という目標も、実現不可能だとして多くの批判にさらされたが、結局、前倒しで実現した。 今回のアベノミクス第二弾の名目GDP水準目標が実現可能であるか否かは、今後の具体策次第であることは否定できないが、もし、アベノミクス第二弾が、本格的に「名目GDP600兆円」の目標にコミットするのであれば、財政政策の転換(財政支出の拡大)と金融政策の目標変更(現在のインフレ目標から名目GDP目標、及び、日銀法の改正)もあり得るのではないか。 なお、名目GDP目標は、現在のFRBの金融政策目標(インフレ率と失業率の「Dual Mandate」)にほぼ等しいものと思われる。 著者: 浜田宏一、安達誠司 『世界が日本経済をうらやむ日』 (幻冬舎、税込み1,620円) なぜ株価はこれほど上がったのか? 景気回復は本当に続くのか? ノーベル経済学賞に最も近いといわれる、イェール大学名誉教授が語る「経済の真実」とは!
amazonはこちらをご覧ください。 楽天ブックスはこちらをご覧ください。 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45957 銀行に人生設計を「お任せ」するのはやめなさい! 〜「職場NISA」「企業型DC」の正しい運用法を教えよう 2015年10月23日(金) 山崎 元 〔PHOTO〕gettyimages 「職場NISA」で、銀行員に騙されるな! 「職場NISA」と称する、名前からして冴えない、しかも利用者側から見て醜悪なビジネスモデルがある。『日本経済新聞』(2015年10月19日朝刊)によると、みずほ銀行は、この職場NISAを170社に導入したと報じているから、それなりに普及しつつあるようだ。 職場NISAとは、金融機関(主に銀行)が取引先企業に働きかけて、社員のNISA口座を取り込もうとするスキームだ。 例えば、導入企業毎に銀行が専用のホームページを作って、社員が簡単にNISA口座を開設したり投信を購入したり出来るようにする。 金融機関側から見ると、既に別の金融機関でNISA口座を開いてしまった社員は取り込めないかも知れないが、未だNISA口座を開いていない社員をまとめて取り込むことが出来る。 会社によっては、財務部が取引銀行との関係改善を意図して、社員に職場NISAでNISA口座を開くことを奨励ないし強制することもありうる。 端的に言って、財務部が、銀行に社員を「売る」わけだ。 しかし、みずほ銀行には申し訳ないが、銀行でNISA口座を開くことは、投資家にとって少なくとも最適ではない。銀行では取り扱いがないため、目下コストが最も安い運用手段であるETF(上場型投資信託)で運用することが出来ないからだ。 日経の記事には、「企業から要望があれば、投資教育のセミナーも検討する」、「初心者向けの投信としては、運用会社が独自の判断で資産配分を変えるお任せ型ファンドや、米ブラックロックが運用する低コストのインデックス投信などをそろえている」とある。 ブラックロックが運用する低コストのインデックス投信があるのは大変いい。しかし、マネーリテラシーの乏しい利用者が「運用会社が独自の判断で資産配分を変えるお任せ型ファンド」に投資することが心配だ。 この種のファンドは、NISAの税制優遇効果を最大化できない点で、NISAには不向きだとハッキリ言えるものであると同時に、手数料が割高な運用になる。 実際にセミナーを取材していないので想像の域を出ないが、「投資教育のセミナー」では、このお任せ型ファンドが、無難で適切な商品だと思えるような「誘導」が、さりげなくなされているのだろう。 「バランス型のファンドは、税制優遇の効果を最大限に活かせない点でNISAにはハッキリ不適切ですし、そもそもお得な商品ではありません」といった投資家にとっての真実は教えないはずだ。加えて、本来は、初心者にこそ中身の把握が難しい「お任せ型」は不向きな商品なのだ。 賢い読者は、もうお分かりだろう。「職場NISA」は、主に銀行が取引関係を梃子にして取引先企業の社員を取り込み、投信の手数料をむしり取る悪だくみであり、「投資教育セミナー」は親切を装った、セールスの場なのだ。 ついでに申し上げておくと、給与振り込み口座を持っていたり、定期預金を預けていたりする個人のメインバンクで投資信託などを買うのは不適切だ。 銀行側から見て、お金の動きが丸裸であり、定期預金の満期近くといった「お金がないから」と断りにくいタイミングで、運用商品のセールスを浴びることになる。銀行員は、素人が相手をするには手強すぎるセールスマンだ。 4つのポイントだけ押さえよ 職場NISAと似て、社員が自ら運用方法を選択しなければならない仕組みとして、確定拠出年金(以下「DC」)がある。 DCでは、投資教育の提供が必須とされるが、無料であることと売り手側が熱心であることから、DCの取り扱い金融機関ないしそのグループ会社に社員向けの投資教育を丸投げするケースが多い。 この場合にも、「バランス・ファンドが無難」という印象を植え付けられて、社員が手数料の高いバランス・ファンドに誘導されてしまうことがよくある。 職場NISAやDCの手続き面の案内は導入に関わった金融機関にある程度任せるのが適当な場合はあろうが、「運用」や「投資教育」に際しては、金融機関及び同グループの社員による研修を避けて、ビジネス的に当該金融機関から独立した外部講師による研修を強くお勧めしたい。 筆者は、ある大手企業のDCの資産運用をテーマとするセミナーに呼ばれ講師を務めたことがあるが、導入に関わった部署も含めて、適切な運用法を知らない社員があまりに多いことに驚いた。 NISAとDCの運用に関しては、以下の4つが重要なポイントだ。 (1) リスクの大きさは自分で決める。 (2) 年齢や投資経験にこだわらない。 (3) 全体の中の一部としてリターンの高い商品をNISA、DCに割り当てる。 (4) 手数料が安いインデックスファンドのみに投資する。 以下、それぞれの項目を簡単に補足していこう。 (1)リスクの大きさは自分で決める 節税運用が出来るNISAやDCでリターンが低い元本保証商品に資金を置くことが全くつまらない非効率的な運用であることは、容易にご理解頂けよう。同様に、運用の中身に債券や現金が入ってくるバランス型の運用をする「お任せ運用商品」は、制度を十分利用できていない点で失格だ。 投資信託のファンドマネジャーも金融機関のセールスマンも、顧客にとって適切なリスクなど分からない。また、金融機関に人生相談をすることは、資産を丸ごと営業ターゲットにされる愚かな行為だ。 リスクを取る対象に自分の資産を合計いくら投資するかは、自分で決めるべきだ。後述のように、内外の株式のインデックスファンドに投資するなら、1年後に「期待値としては5%程度利回りが高いが、これを中心に最大4割くらい上下にぶれる可能性がある」と理解してリスク資産への投資額を決めよう。 もちろん、リスクを取る投資商品は優先的にNISAやDCに「割り当てる」(方法は後述)。 (2)年齢や投資経験にこだわらない 多くの投資教育では、投資家のタイプ別に適切な運用商品が異なると教えられるのではないか。しかし、投資家の年齢や投資経験の多寡で投資に適した商品が決まるというのは、金融商品の売り手側がビジネスのために発信している作り話だ。 若くても、高齢者でも、初心者でも、ベテランでも、なるべく小さなリスクで、資産を効率よく増やしたいという目標に変わりはない。 運用に求める状況の個人差は「運用商品の選択」ではなくて、「リスク商品に投資する金額」でコントロールするべきであり、これが盲点に入りやすいポイントなのだ。 「高齢になったら低リスクの商品がいい」とか「高齢者ならインカムゲイン(配当や分配金収入)重視で」とか「初心者はバランス型(債券と株式と両方が入ったお任せタイプ)の商品がいい」というのも、全部ウソだ。 真理はシンプルであり、最も効率的な運用を「自分にとって適切なリスク」の量だけ行うことが誰にとってもベストなのだ。 (3)全体の中の一部としてリターンの高い商品をNISA、DCを割り当てる 例えば、金融資産を2千万円持っていて、そのうち3割、6百万円を半分ずつ内外の株式に投資したいと考えている人がいて、この人がNISAに3百万円、DCに3百万円の資金を持っているとしよう。 リターンが高いと思って持っている株式を、NISAでもDCでもない一般口座で持つのは運用益にかかる税金分だけ損だ。 この場合、手っ取り早く結論を言うと、NISAではTOPIX連動型のETF(上場投資信託)を、DCでは外国株式(先進国株式でいい)の株価指数に連動するインデックスファンドに投資するのがいい。 運用管理手数料(信託報酬)の最も安いETF(上場型投資信託)は、DCでは利用出来ないのでNISAで使うのが賢く、そうなるとDCは外国株のインデックスファンドを割り当てることが適当になり、同時に、DCには市販の投資信託よりも運用管理手数料が安い外国株式ファンドがある(企業型の場合は会社により、個人型の場合は個人が選んだ運営管理機関により異なる)という場合が多いのだ。 NISAやDCだけでは、株式に投資したい金額が消化出来ない場合は、残りを一般口座でさらに投資するといった形で、運用資産を割り当てることで、殆どの場合最適な運用状態を作ることが出来る。 「自分の運用資産全体を最適にして、NISA、DCに最適なものを割り当てる」という考え方が重要だ。 尚、銀行にNISA口座を開いてしまった投資家の場合、ETFが利用出来ないが、ネット取引専用のインデックスファンドを利用すると、被害(ベストな運用との差)を運用金額100万円当たり年間数千円に納めることができる。 (4)手数料が安いインデックスファンドのみに投資する リスク資産に投資する部分の配分は、現在の金融環境では、内外の株式に50%ずつ程度でよい。外国株を60%にしたり、一部を新興国株式に割り当てたりする方法もあるが、どれがいいかはプロでも容易に結論が出ない。 外国の債券は為替リスクが大きい(株価指数の半分程度ある)一方で期待出来るリターンが小さいので持たなくていい。円安になった場合のメリットは、外国株式でも取れるし、国内株式も円安の際に値上がりする傾向がある。 国内株式と外国株式を半々に投資する時、具体的な運用商品は、共に株価指数に連動し低コストのインデックスファンドがいい。 ファンドマネジャーが市場平均以上のリターンの運用を「目指す」アクティブファンドは、運用管理手数料が高く、リターンは平均的にインデックスファンドに劣り、どのアクティブファンドがいいのか事前には分からない(過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスと無相関だ)ことから、投資対象として検討に値しない。 趣味と割り切った個人が、個別株投資や、アクティブファンド選びをするのは止めないが(筆者は証券マンでもある)、他人へのアドバイスとして勧めることができるのは、インデックスファンド迄であり、商品の選択基準は「手数料の安いもの」だ。 「タダより高いものはない」 常々不思議に思うのだが、DCの投資教育で、アクティブファンドやバランスファンドのような複雑なものを加入者に正確に理解させることは難しい。こうした商品を並べて、責任ある投資教育が出来ているとは思えない。 はじめからインデックスファンドだけを商品ラインナップに並べておくこと(あと法令上、元本保証の商品が必要だが)が、加入者が間違えにくいという意味でも、正しい見識だと思う。一部には、企業型のDCでそうしたラインナップになっている、社員にとって恵まれた会社がある。 一方、確定拠出年金を既にスタートしてしまった会社で、玉石混淆の商品が並んでしまっている場合、利用者のいる商品をラインナップから外す手続きは手間と時間が掛かる。 DCを導入した金融機関と関わりのない外部の講師に「正しい投資教育」を何度もやって貰うのが、現実的な対処になるだろう。くれぐれも、商品を提供する側からの「タダの投資教育」に頼らないことだ。 「タダほど高いものはない」という諺は、こうした愚行を戒めるためにある。 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45977
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