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貿易統計と訪日外国人
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52744651.html
2015年10月22日 在野のアナリスト
先週行われた経済財政諮問会議で、ちょっと面白いやりとりがありました。麻生財務相が総務省所管の『家計調査』に「経産省所管の『商業動態統計』と異なる動きをしている」と苦言を呈し、高市総務相は「商業動態統計にはサービス品目が含まれていない」と反論している。正直、どっちもどっちの議論ですが、政府内でも統計に一喜一憂し、切歯扼腕している状況がうかがえます。
家計調査は各家庭で家計簿をつけてもらう、という調査の手法であり、商業動態統計は小売業などの売上高から算出します。前者は対象とする家庭の状況が大きく影響し、後者は外国人旅行客の消費も含まれる一方、対象とする小売業からサービス業の一部が抜け落ちている。そうした特性を踏まえて統計とは見なければいけない。しかしこお会議で重要なのは、政府も統計の正確性について疑問をもっている、ということです。単純に、自分たちの思惑通りにコトが推移していない、というので苛立つばかりでなく、統計の正確性とは何か? を追求する必要性があります。
9月訪日外国人旅行客数が発表され、前年同月比46.7%増の161万人となりました。言ってみれば短期的に日本の購買層が昨年と比べても0.5%以上も増えたのですから、消費が旺盛になって当然です。しかもこの増えた購買層は耐久消費財の購入も多く、積極的な消費者なのですから尚更です。商業動態統計の小売販売額にも、大きく影響し、数字を押し上げたことでしょう。
しかし気になるのは中国人旅行客が6、7、8、9月と2.7倍、2.1倍、2.3倍、2.0倍と鈍化してきており、景気後退の波は着実にこうした数字にも表れています。また9月に入ってからドル円では120円を超える日が少なくなり、中国の人民元安誘導もあって、為替面での魅力が低下しつつある。国慶節が10月初旬だったため、10月までは堅調とみられますが、浚渫にしろ、一つの節目を越えると流れが変わる可能性もあります。今後の中国人観光客の行方は、日本の消費に大きくかかわります。
9月の貿易統計は、季節要因もあってプラスとみられながら、金額ベースで1145億円の赤字でした。前年同月よりは下がりましたが、数量ベースは輸出3.9%減、輸入2.0%減と、外需、内需ともに低迷を示唆します。欧米向けに自動車は堅調、しかし鉄鋼などの素材関連は世界的に二桁以上の減を示すなど、これは将来の生産計画にも大きく影響します。つまり素材関連を加工して売る、という形態が今は停滞しており、今の最終製品を捌いた後の推移が警戒されるのです。
特に、ホンダが中国工場の新設を見送りましたが、中国向けの鉱物性燃料が77%、自動車部品が20%近く、金属加工機械が34%も落ちた。部品も加工機械も、生産性の低下を意味するものです。中国は明らかに様子がおかしい。7-9月に6.9%も成長した国とは思えないほどであって、金額ベースでさえ輸出は3.5%も減少した。中国には今後も警戒せざるを得ない点が示唆されます。
2つの統計を合わせると、中国へ輸出するのではなく観光に来てもらって購買、というのが一つの形となっていることが窺えるのです。もし今後、円高に向かっていくなら金額ベースの輸出は減少、観光客も減少、とダブルパンチになりかねない。日本は必要以上に、円高が悪影響を与える国になってしまった、というのが読み解ける。これは今後を考える上でより重要です。
株式市場は18400円を突破し、買いに弾みか? と昨日は盛んに報じられましたが、いつもの日系1社に、別の主体がのっかって水準を突破したので、今晩から始まる先進国中央銀行の会合ウィークに合わせ、買いポジションを溜める動きとみられます。来週の日銀金融政策決定会合がそのシメとなりますが、統計を正しく読み解けない中央銀行、官庁の動きという意味ではどう転ぶか、予断を許さないところであり、ケンカしている場合ではない、となるのでしょうね。
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