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「醜悪な国、日本」…移民は困るが安い労働力は欲しい安倍政権の“奴隷制”推進とは
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151022-00055357-playboyz-pol
週プレNEWS 10月22日(木)6時0分配信
続出する失踪・セクハラ事件、跋扈(ばっこ)する悪徳ブローカー、そして超低賃金での労働…。国際的に評判が悪く、国連からも再三の改善勧告を受けている「外国人技能実習制度」について、安倍政権は今年6月、制度の継続はおろか、さらなる拡充を閣議決定した。
途上国の労働者を企業の実習生として受け入れ、日本の技術を習得してもらい、国際貢献をしていこうというのが制度の元々の意図だった。しかし実習生を支援する団体などに寄せられる相談には「最低賃金以下の給料しかもらえない」「住環境が劣悪」「不満を言えば強制帰国」など悲惨な現状が寄せられる。
実際に国連をはじめとする国際社会からも「現代の奴隷労働」「人身取引に等しい」と批判されているほどだ。
ところが、安倍政権は国際社会からやり玉に挙がっているこの制度を見直すどころか、さらに充実させようと動いている。「実習期間の3年から5年への延長」「実習生受け入れ人数の拡大」などだ。実習生の実情に詳しい指宿(いぶすき)昭一弁護士がこう反発する。
「この制度には3つの問題点があるのです。(1)制度の建前と実態が大きく乖離(かいり)していること、(2)実習先を変更する自由がないこと、(3)中間搾取が横行していることの3点です」
以下、3つの問題点をひとつずつ解説してもらおう。まず、(1)について。
「技術移転に協力し、国際貢献するなんてウソっぱちです。本当の目的は不足する労働力の確保。日本人がやりたがらない3K(きつい・汚い・危険)の低賃金労働を外国人労働力で賄(まか)なおうとしているだけなんです。そんなウソはもうやめて、外国人実習生を労働者として処遇し、きちんとした労働条件で働いてもらうべきです」
確かに、JITOCO(国際研修協力機構)が実習生を受け入れている団体に行なったアンケート(調査対象2132機関で回答数1103)でも、受け入れ目的は「人材確保」とする答えが63.9%を占めている。
「外国人技能実習生権利ネットワーク」の鳥井一平事務局長もこう怒る。
「実際には実習生は外国人労働者だと、政府も受け入れ先の企業もみんなわかっている。なのに、表向きは国際貢献だと言い繕(つくろ)う。先進国でこんな姑息な労働政策を取っている国はありません。恥ずかしいと思うべきでしょう」
それでは、(2)については?
「研修先は一企業だけと定められ、実習生には職場を異動する自由が認められていない。これでは労働条件に不満があっても、実習生はなかなか文句を言えません。不満を口にすると、『それなら帰国すれば?』となりかねない。だから、実習生の多くは泣き寝入りするしかない。労働条件が守られない場合などには実習生が職場を選べるようにするべきです」(前出・指宿弁護士)
最後の(3)について。実習生は外国の送り出し機関→日本国内の監理団体→実習先企業というルートで日本にやって来る。指宿弁護士が続ける。
「この送り出し機関や監理団体が中間で多額のお金を搾取しているんです。例えば、中国の送り出し機関は応募者から4、5年分の年収を保証金や違約金名目で取っていました。また、日本にある監理団体は企業から実習生の監理費として、ひとり当たり月に3万円前後を徴収しています。
ある監理団体は400人の実習生を集め、月に1200万円もの監理費を企業から受け取っていました。当然、企業はその金額を経費に計上し、実習生の給与から差し引くことになる。実習生にすれば、これは立派な中間搾取です」
しかも、外国の送り出し機関と国内の監理団体はグルになっていることが多いという。
「中には、監理団体の理事長が海外の送り出し機関の実質的なオーナーという悪質なケースもあります。この二者が結託して、実習生に『日本でどんなひどい処遇を受けても労働基準監督署に駆け込むな。弁護士やマスコミと接触するな。もし、そんなことをしたら多額の違約金を払う羽目になるぞ』と脅すんです。
こうなると、実習生はがんじがらめになり、雇用主に対して強い従属関係が発生してしまいます。千葉県で女性の実習生が雇用主からセクハラや強姦被害を受けるという事件もありましたが、その背景にはこうした従属関係があるのです」(指宿弁護士)
第1次安倍政権で、安倍首相が多用したフレーズは「美しい国、日本」だった。だが、外国人実習生の実態が映し出すホスト国・日本の姿は決して美しくない。むしろ醜悪といってよいほどだ。
なぜ、安倍政権は国際社会から「奴隷労働」と批判されながら、この制度を手放そうとしないのか? 前出の鳥井事務局長がこう指摘する。
「安倍政権になって政府の公文書から『外国人労働者』という表現が消えてしまった事実に注目しています。代わりに登場したのが『外国人材』という言葉です。『外国人材』ならば、高いスキルを持つ研究者やビジネスマンなどのイメージがあり、成長戦略としての受け入れを国民に説明できる。しかし、『外国人労働者』となると、単純労働のできる移民の受け入れを意味しかねない。安倍政権は移民の受け入れを嫌っているのでしょう。
とはいえ、少子化で国内の労働力はどんどん減っている。実習生は安い給料でその穴を埋めてくれる。しかも、3年後には必ず帰国します。だから、安倍政権は『外国人技能実習制度』を手放せないのです」
外国人実習生は現在、約16万人。その多くが日本の地域産業を支えている。そんな実習生に奴隷労働を押しつける制度は一刻も早く廃止すべきじゃないのか?
(取材・文/姜誠)
●週刊プレイボーイ43号(10月13日発売)「なぜ安倍政権は外国人技能実習制度をやめられないのか?」より
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