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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第146回 TPP大筋合意(週刊実話)
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/660.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 10 月 20 日 14:04:11: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第146回 TPP大筋合意
http://wjn.jp/article/detail/7679748/
週刊実話 2015年10月29日号


 10月5日、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する日米を含む12カ国は、アメリカのアトランタで開催された閣僚会合で大筋合意に達した。

 一方、農協改革が国会で議論されていたころ、新聞で報じられるのは「全中(全国農業協同組合中央会)の社団法人化」ばかりで、肝心要の「全農(全国農業協同組合連合会)の株式会社化を可能に」「准組合員制度の見直し」「農地法改正」「農業委員会法改正」など、農協改革の“本質”は一切、報じられなかった。全農の株式会社化についてはネットメディアではわずかに出ていたが、農地法と農業委員会法については報道ゼロだった。

 農協改革で(推進派にとって)重要なのは、全中ではなく全農や准組合員制度、農地法、農業委員会法なのだ。ところが、国会の審議中ですらマスコミが報道しなかったため、国民の多くは知らないままだろう(だからこそ、筆者は『亡国の農協改革 日本の食料安保の解体を許すな』を書いた)。

 今回のTPP大筋合意を受け、いよいよその「中身」がオープンになるだろうか。そうはならないだろう。

 TPP交渉のポイントは「秘密交渉」だった点である。日本国民は今も、TPPの中身について知らないままだ。「三橋は中身も知らないのに、反対していたのか」と言われそうだが、中身がよく分からないからこそ、反対していたのだ。保険契約や金融商品の購入に際し、中身が分からないまま「買う!」「加入する!」などと言う人がいるだろうか。中身が分からないなら、「中身がきちんと分からないから、やめておくよ」が普通の対応だと思うわけだが。

 というよりも、なぜTPP交渉が「秘密交渉」なのか、理由を考えてみれば誰でも分かるはずだ。国民に知られたくないからこそ秘密交渉だったのである。そうでないというならば、オープンに議論すれば済む話だ。

 今後、TPPの中身は「肝心要の部分」は伏せられたまま、批准手続きが進むことになるだろう。特に、ISDやラチェットなど、「構造改革を後戻りさせない仕掛け」については、国会で議論はされるだろうが、マスコミは報じないと予想する。しかも、中身が国民に知られ、世論が「TPP批准反対」に流れたとしても、「すでに12カ国で大筋合意したTPPを、今さら『批准しない』など、許されるはずがない」というレトリックがマスコミで繰り返され、最終的に国会議員たちも「反対ではあるが、仕方ないのでとりあえず批准」という結果になるだろう。農協改革は、実際にそうだった。

 ちなみに、筆者はTPP大筋合意後に複数の経済学者、国会議員と会う機会があり、TPPについて意見を求めたのだが、全員がそろって、「中身が分からないので、論評しようがない」という主旨で返してきたのが印象的だった。

 いまだに、国会議員ですら「中身が分からない」のがTPPなのだ。

 しかもTPPが問題なのは、今後の日本の国会で議論が進むにつれ「TPPに加盟しても構わないが、これとこれだけは例外。絶対に譲れない」が通らないことだ。あくまで12カ国の合意事項に沿い、「オールオアナッシング」でTPPを批准するか否かを決めなければならないのである。あまりにも乱暴というものだ。

 ところで、今後の日本ではTPPについて内容全般は報道せず、「TPPで(例えば)農産物の価格が下がり、消費者が恩恵を受ける」などと「消費者利益」を強調する記事やニュース、特集等ばかりが流されていくことになるだろう。

 とはいえ、今の日本では「誰か(消費者)が利益を得た」とき、必ず反対側で「損をした」人が生まれる。TPPで日本がアメリカからコメを輸入すると、
(1)アメリカのコメ農家が所得を得て、得をする
(2)日本の消費者がコメを安く買えて、得をする
(3)日本のコメ農家が所得を失い、損をする

 上記は“絶対に”そうなるのだ。理由は、現在の日本では別にコメの需要が増えているわけでも何でもないためだ。

 別に、善悪の話をしているのではなく、統計的に(1)+(2)=(3)になるという話にすぎない。

 とはいえ、穀物自給率が30%を下回っているわが国が、これ以上、穀物の生産能力を失うわけにはいかない。日本の農家には何としても生産を継続し、日本の食料安全保障を維持してもらう必要がある。

 林芳正前農水相は9月6日の閣議後の会見で、TPP大筋合意により米豪からコメを無関税で輸入する特別枠を設けることに伴い、輸入分に相当する国産米を政府が備蓄米として買い上げる方針を明らかにした。珍しく、政府が食料安全保障を重視する姿勢を見せているわけだが、「TPPでアメリカやオーストラリアからのコメの輸入を拡大する」と「日本の食料安全保障を維持する」を両立させようとすると、「税金から農家に所得を移転する」という政策をとらざるを得ないのだ。

 筆者はTPPには反対しているが、参加するならば農家に対する所得補償や買い取り保証、あるいは輸出補助金が必須だ。何しろ、アメリカは輸出補助金が巨額になっており、何と農業のGDPの65%(日本は27%)に達している。また、欧州の農家の所得の9割超は税金から支払われているのである(日本は15.6%)。

 もっとも、わが国で農家への助成を手厚くしようとすると、「農家をこれ以上、保護するのか!」的なルサンチマンに染まった国民が騒ぎ立て、財務省がこれ幸いと予算拡大を拒否するかも知れない。すると、日本の食料安全保障は凋落の一途をたどることになる。

 そうなれば、わが国の国民は食料について「自衛」を迫られてしまう。最終的には、農産物輸入が滞った際に「富裕層は生き延び、貧困層は飢えて死ぬ」社会になるわけだ。

 何とも心温まる、素晴らしい新世界だと思うのだが、いかがだろうか?

みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。

 

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コメント
 
1. 2015年10月20日 15:12:07 : nJF6kGWndY

>なぜTPP交渉が「秘密交渉」なのか、理由を考えてみれば誰でも分かるはずだ。国民に知られたくないからこそ秘密交渉だった

停戦交渉などもそうだが、政治力のある既得権集団による圧力で

全体としては利益のある交渉の破綻が高い確率で起こる場合、当然の処置だろう

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E4%BA%A4%E4%BA%A4%E6%B8%89
ただし、国内世論や国際的な信頼、軍事的威嚇などの外部的な要因により、共通の利益がしないにも拘らず外交交渉に参加することはありうる。また交渉の広報的な影響を重視して外交交渉に臨むこともありうる。これはマスメディアの発達に伴って見られるようになった現象である。


2. 2015年10月20日 15:20:19 : OO6Zlan35k

>筆者はTPPには反対しているが、参加するならば農家に対する所得補償や買い取り保証、あるいは輸出補助金が必須だ。何しろ、アメリカは輸出補助金が巨額になっており、何と農業のGDPの65%(日本は27%)に達している。また、欧州の農家の所得の9割超は税金から支払われているのである(日本は15.6%)。

こういうのが愚民の発想

せっかく、米国が補助金をタダで使わせてくれるのだから、

検査体制を強化し、国内に生産緑地を確保した上で、フリーライドすれば

その間は、農水産業による環境汚染や貿易摩擦も回避できるので一石3鳥


そして自国民には、高付加価値産業に従事してリッチになってもらうのが賢い統治者


スイスやシンガポールに限らず、愚民国家を活用し、豊かに暮らすための智慧と言える



3. 2015年10月23日 05:51:55 : jXbiWWJBCA
TPP大筋合意の陰で、進まない米とEUの自由貿易交渉

2015年10月23日(金)The Economist


 欧州が危機に見舞われていなかったのは一体いつのことだったろう。それを思い出すのがだんだん難しくなってきた。

 EU(欧州連合)はギリシャにおける”火事”を消し止めたものの(とはいえ燃えさしはまだくすぶっているのだが)、今度は対応しきれないほどの数の難民の流入に直面することになった。ロシアがウクライナを侵略したことで既に深刻化していた対ロ関係は、ロシアがシリアに軍事介入したため、さらにややこしさを増している。そして英国がここ数年目指してきたEU加盟条件の再交渉は、「Brexit(ブレキジット=英国のEU離脱)」という結果になりかねない一か八かの事態に展開しようとしている。

 この「恐怖の巣窟」は別にして、貿易協定の締結は容易なはずだった――。欧州のリーダーたちは2013年、EC(欧州委員会)に対して米国とのTTIP(環大西洋貿易投資協定) 交渉を始めるよう指令を出した。そのとき彼らは協定の締結には難なくこぎつけるだろうと考えていた。EUは大きな成長を必要としており、米国はうってつけの相手だ。欧州の労働者を蝕む安価な商品についても、論争は起こらないはずだった。

 だがTTIPは抵抗の壁に突き当たっている。世論調査によれば、一部の国ではTTIP反対派が半数以上にのぼる。欧州中の地方自治体は(無意味なことながら)自らが「非TTIP圏」だと宣言している。10月10日には少なくとも15万人のドイツ人がベルリンでデモ行進を行い、不賛成の意思を表明した。

「規制における協力」は罠

 彼らは何を懸念しているのか。賛成派も反対派も一様に指摘するのは、「TTIPは祖父母の代の貿易協定ではない」点だ。米国と11カ国が最近、大筋合意に達したTPP(環太平洋経済連携協定)と同様に、TTIPの場合もその重要性において関税の軽減が占める割合は比較的小さい。現行よりさらに関税を削減できる商品がほとんど残っていないからだ。

 モデル化するのは困難だが、ECの考えではこの「野心的」な協定は2027年までに欧州のGDP(国内総生産)を0.5%押し上げる可能性があり、そのうちの5分の4は非関税障壁を大幅に減らすことで得られる。非関税障壁とは、食物やクルマの安全性などに関する「同等ではあるが互換性のない」規定などのことだ。こうした規定は米国と欧州双方のメーカーが相手の市場で事業を運営する際のコスト要因となっている。

 以上はたいして面白くもない話かもしれない。だがTTIPの反対派はこのような「規制における協力」は巧妙な罠であり、塩素漬けの鶏肉を欧州の人間が食べたり、フラッキング(シェールガスやオイルを得るための水力圧搾法)のポンプが欧州の土壌を貫いたりすることを許すものだと主張する。EUのある官僚は、こうした不満に対処することは「ロシアのプロパガンダと戦うようなものだ」とため息を漏らす。

 だが通説を捨て去ったときに見えてくる真実は、なかなかに手ごわい。つまり、TTIPのように関税より規制を重視する「新しい世代」の貿易協定は、雇用や福祉受給権を破壊しようと企む企業による奪取につながるのではないか、という国民からの疑念に弱いのだ。

 こうした懸念の高まりを受けて、EUで貿易を担当するセシリア・マルムストローム欧州委員は TTIPの交渉に乗っているある取り決めに関して部分的な撤退を余儀なくされている。この取り決めは、企業が貿易相手国の政府を相手取った訴訟を起こすことを可能にするものだ。

 しかも、TTIPの規定は曖昧なため、信頼できる経済予測は困難だ。TTIPへの反対の動きが最も激しいのはドイツとオーストリア。どちらも強力な社会保障制度を持ち、失業率も低い。失うものは多く、得るものは少ないということだろう。

TTIPは単なる経済連携ではない

 そこでTTIPの支持者たちは現在、関連する2つの戦略的議論を強調している。1つは、TTIPは不安定な時代において、世界の主要な民主主義国家による連携を強固にするということ。TTIPは「経済的NATO(北大西洋条約機構)」だとする声が一部にある。

 2つめは、共通の、つまり相互に受け入れることができる基準を世界の2大消費者市場で確立すれば、(労働や人権といった問題においてさえも)残りの世界はそれに倣うしかなくなるという点だ。そして、世界の経済生産に占める欧州と米国の割合が減少しているのなら、なおさら今のうちに“交通規則”を打ち立てる必要があるという議論である。

 マルムストローム欧州委員が10月半ばに立ち上げたEUの新たな貿易戦略は、詳細はまだ不明だが、オーストラリアやニュージーランドなどの国と結ぶ新たな協定をTTIPで確立したルールに則ったものにしようとするものだ。

 こうした主張には一理ある。オーストリアなど反対の強い国でTTIPに賛成する勢力は、この協定が民主主義国同士が連携するためのものとして示されれば、反感を持つ人たちも見方を変えるかもしれないと言う。

 ロシアがTTIP交渉の弱体化を目指して全力をあげていることを考えると、交渉担当者たちには何らかの目論見があるのかもしれない。ドイツのアンゲラ・メルケル首相はTTIPに関して経済的な主張よりも説得力を持つ戦略的主張にたどり着いたといわれている。今までのところ同首相はドイツ国内の懐疑的な有権者を取り込む努力はほとんどしていないのだが。

 とはいえ危険も多く存在する。2国間協定や地域協定が、経済的な理由よりも価値観を重視すれば、そこから外れるものを除外してしまう恐れがある。そのようにして作る協定は既に弱っている欧州の多国間体制に害をなすことも考えられる。「経済的NATO」という話も、現行の軍事協定をよく思わない人にとっては魅力を欠くものかもしれない。彼らは大西洋をまたぐ関係強化を喜ぶのではなく、これに尻込みするだろうからだ。

 最後に、英国がEUを離脱する可能性が存在する。英国は2017年末までに脱EUの是非を問う国民投票を行うことになっている。英国内の欧州懐疑派はたいして仕事もしないEUの官僚を当てにするよりも独自で貿易協定を締結した方が首尾よくいくと主張している。TTIPが行き詰まれば英国民の一部は自分の考えが正しかったとほくそ笑むだろう。

貿易協定は凶器になり得る

 TTIP交渉は停滞している。たやすいと思われていた関税撤廃の協議でさえ蝸牛の歩みだ(米国とEUは10月下旬、米国のマイアミで行われる交渉で新たな提案を議論することになっている)。最近のワシントンでの会合では進展が図られ、交渉担当者たちはオバマ米大統領が任期を終える2017年1月までに何らかの協定がまとまることを期待している。それに失敗すればホワイトハウスの次の住人が他の優先事項を見出すかもしれない。そうなれば交渉はフランスとドイツの選挙で“人質”になる可能性がある。

 そのような事態になれば、まだこれから有効性が証明されるべき欧州のアプローチは弱体化するだろう。外交政策とは異なり、貿易はEUが本来の権限を行使できる分野だ。だがEUの専門家が扱うのは植物検疫基準や文書化要件であり、大規模な戦略ではない。EUが2013年に学んだように、貿易協定は凶器となり得る――このときEUの専門家たちがウクライナに提示した協定を、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は地政学的見地から見た攻撃と解釈し、ウクライナにおける革命と戦争のきっかけとなった。

 EUが貿易を外交政策のツールとしてより真剣に考え始めたことは、あのときの教訓をきちんと学んだことを示している。それでもEUは種々のリスクを心に留めておくべきである。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/102100038/


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