ＨＴＣが発売するＳＩＭフリースマホ＝１日、東京都渋谷区（宇野貴文撮影）
　格安料金の通信サービスの充実やアジアメーカーの本格参入で、同じ端末で利用者が通信会社を自由に選べる「SIMフリー」に対応したスマートフォン市場が急速に拡大している。台湾のスマホメーカー、HTCも今月、カメラの「自撮り」機能を充実させた高性能機種と、機能を簡素にしてデザインにこだわった機種を発売し、市場に参入した。メーカー間の競争が過熱する中、SIMフリースマホの存在感が高まりそうだ。

　HTCが発売した高性能機種「デザイアー　アイ」（想定価格、税別5万2800円）は、肌を美しく撮れるほか、2つのカメラを使って撮影者と被写体を1枚の画像に組み合わせるなどの機能を搭載。旅先の景色と自分の表情を同時に撮影することができる。

　一方、個性的なデザインの「デザイアー　626」（同2万9800円）はポップで明るいツートンカラーが特徴。壁紙の写真に合わせて画面の色を自動調整できる。

　調査会社のBCNによると、平成26年9月〜27年8月の1年間のSIMフリースマホの販売台数は前年同期比で3倍以上に増加。スマホ全体に占める割合は4月以降10%台を維持している。

　背景にあるのは、格安料金で通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者（MVNO）の増加だ。MVNOは通信会社の通信設備を借りて使用するため、設備投資はあまりかからず、通信データの量や通信速度を制限することで料金を安くできる。

　調査会社のMM総研によると、独立系MVNOが提供するサービスの契約数は27年3月末に前年比88%増の326万件だった。SIMフリースマホ市場のシェアは台湾のエイスース、韓国LG電子、中国のファーウェイのトップ3が75%以上を占めている。

　HTC日本法人の玉野浩社長は「市場が伸びる余地はある」とみる。

　SIMフリースマホは機能に改善の余地があり、BCNは「競争の激化を背景に、機能の強化がさらに進むことになりそうだ」としている。
http://www.sankei.com/economy/print/151019/ecn1510190034-c.html