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ジャネット・イエレンFRB議長 〔Photo〕gettyimages
年内の米国利上げはもうない!?高まる市場の期待、しかし本当にそうなのか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45887
2015年10月18日(日) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
■FRBの利上げは来年以降?
米国の利上げが後ずれするとの見方を受けて、為替市場ではドル安・円高方向に動いている。10月15日、ドル・円相場は118.07円台にまで上昇した。
また、株価も先行きの低金利を見越して上昇している。多くの投資家は、FRBの利上げは来年以降にずれ込むと考え始めているようだ。
こうした見方の背景には、FRB(米国連邦準備制度理事会)関係者が利上げに慎重な見方を強めていることがある。特に、タルーロ、ブレイナードらの理事は、失業率の低下が期待インフレ率の上昇につながっていないとして、年内の利上げが適切ではないとの見方を示したことは大きい。
ただ、こうした見解の通りに金融政策が進むのかはわからない。確かにFRB理事の発言は重要であり、経済指標も弱含んでいる。しかし、FRBが依然として、金融政策の正常化を強く望んでいることに変わりはない。利上げの可能性は慎重に吟味すべきだ。
■高まる金融市場の利上げ後ずれの期待
10月に入り、FRB高官の金融政策に対する考えが変化している。特に、タルーロ理事などが、年内の利上げが適切ではないという考えを表明した。
それによって金融市場の参加者は、FRB内部の意見がまとまっておらず、利上げのための議論が進まないという見方を強めている。
米国の景気動向も不安定になっているだけに、FRB関係者、市場参加者とも利上げの後ずれを志向しやすいのは確かだ。米国の小売り、消費者物価は予想を下回り、地区連銀からはドル高による景気圧迫も報告された。
また、これまでの景気回復の中で、失業率が低下しても、期待インフレ率は有意に上昇してこなかった。足許では景気先行きの不透明感が高まっているだけに、利上げに慎重な見方が増えるのは仕方がない。
これらの動きを背景にドルの先高観が低下し、円が買い戻されている。円売りのポジションも徐々に圧縮されており、為替相場の参加者は徐々にドル高からドル安の動きに備えつつある。
■不透明要素あり早計な判断は禁物
注意しなければならないのは、利上げはFOMC(連邦公開市場委員会)の判断を待たなければならない点だ。
景気が不安定になりつつあるからと言って、年内の利上げなしという具合に政策の方向性を決め打ちすることには慎重になった方がいいだろう。
特に、金融政策の動向を反映しやすいと言われる、米2年物国債金利は非常に不安定になっている。10月14日には2年金利が0.62%程度から0.55%にまで低下し、その次の日には再度0.60%台に上昇するなど乱高下している。これは、トレーダーやファンドマネージャーらがそれぞれ異なった時間軸、景気認識を持っている証拠だ。
つまり、“利上げタイミングの後ずれ”という一般的な論評と異なり、市場は「利上げがあるかもしれないし、ないかもしれない、時期も近いかもしれないし、先かもしれない」というジレンマに陥っている。「利上げが遠のいた」と考えたいが、FOMCを待たなければいけないという心理的な葛藤を表している。
潜在的に、足許の市場にはもろい部分がある。低金利が続いてきただけに、それに浸りたいという希望と、利上げへの懸念が交錯している。足許はFRB理事の発言と指標が一致しているだけに、期待が先行し株高、ドル安、円や新興国の通貨高が進んでいると考えられる。
この状況は、市場が金融政策に依存しすぎていることの裏返しだ。イエレン議長は資産価格の割高さに言及し、金融政策の正常化の意義を示した。それは、未だなおFRBの問題意識であるはずだ。利上げが遠のいたという論調は慎重に吟味すべきだ。
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