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(回答先: 足踏み景気(3)新興国の苦境鮮明 米中発リスクに揺れる 投稿者 あっしら 日時 2015 年 10 月 18 日 04:04:41)
足踏み景気
(4)「新3本の矢」冷めた市場 「経済重視」論より実行
「希望と夢、安心のための新3本の矢だ」。安倍晋三首相が力強く宣言した9月24日午後6時すぎ、金融市場で異変が起きた。日経平均先物がするすると下がり始め、わずか30分ほどで100円近く下落。具体性を欠くとして、市場は早々と「NO」を突きつけた。
アベノミクスを歓迎し日経平均株価を15年ぶりに2万円台まで押し上げた金融市場の熱気は冷めつつある。海外勢はアベノミクス相場が始まった2012年11月から今年7月まで日本株を20兆円強買い越してきたが、8月以降は4兆円弱の売り越しに転じた。
「早い者勝ち」
新興国経済の減速で投資家がリスクを嫌った面はあるが、安倍政権の経済重視が本物なのか市場は疑い始めた。強い経済、子育て支援、社会保障という新3本の矢は「異次元緩和や企業統治改革という軸を見えにくくした」(JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳氏)。金融大手クレディ・スイスは9月末、日本株への「期待値」を下げるよう顧客に伝えた。
皮肉にも「新3本の矢」の登場とともに景気の足踏みが鮮明になり、「旧3本の矢」の柱である財政・金融政策の次の一手に注目が集まりつつある。景気の失速がはっきりすれば補正予算や追加金融緩和も選択肢になるが、結局は時間稼ぎにすぎない。国の借金が1千兆円を超え、日銀が新規発行額を超えるペースで国債を買い進めている今、政策的な余地は大きくない。0%台に低迷する潜在成長率の底上げに正面から取り組むしかない。
環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意など、将来の成長の種もまかれてはいる。「海外投資家の日本株への関心はなお高い」(SMBC日興証券のトレボー・ヒル氏)とされるうちに、政府や企業が改革に踏み切ることが肝心だ。
「将来のための行動に移るタイミングは早い者勝ちの面がある」。日銀の黒田東彦総裁は脱デフレで金利が上昇する前に、企業は設備や人材への投資を進めるべきだと訴える。企業の現金・預金は200兆円を超え過去最高の水準。このお金が動き出せば、新たな成長のエンジンになる。
動き始めた企業もある。資生堂は2000人の契約社員を17年までに正社員にし優秀な人材を囲い込む。制御装置大手のナブテスコは米ボーイングの新型旅客機向けの部品を増産するため、100億円を投じて岐阜県に新工場を建設する。
政府も企業の前向きの動きを途切らせないように、経済界との官民対話の初会合を16日開いた。投資の拡大を促す狙いだが企業側の警戒は強い。「収益環境が悪いのに、さらに賃金や投資に回すのは説明がつかない」(経団連関係者)
優良企業も迷い
最近の企業の好業績は円安や原油安に支えられている面が大きい。「我々の競争力が本当に高まっているかは見極めないといけない」(トヨタ自動車幹部)。ベースアップで固定費を増やして大丈夫なのか、優良企業でも迷いは消えない。
首相は13日「未来への投資を拡大する上で制度的に壁があれば取り除く」と語った。ただ「脱時間給」制度を新設する労働基準法改正案が継続審議となり労働市場改革は課題が山積み。法人実効税率を20%台にする道筋を示すことも急務だ。問われるのは迅速な実行だ。(景気動向研究班)
=おわり
[日経新聞10月17日朝刊P.1]
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