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トヨタは環境規制を先取りし、2050年に「脱エンジン」宣言
トヨタ、2050年「脱エンジン」宣言の狙い あらゆる面でCO2の排出をなくしていく
http://toyokeizai.net/articles/-/88621
2015年10月17日 山田 雄大 :東洋経済 編集局記者
「エンジンは生き残れない」(トヨタ自動車・伊勢清貴専務)――。
自動車業界のトップ企業であるトヨタが脱エンジンを明確に打ち出した。
トヨタは10月14日、2050年に向けた環境に対する取り組み「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表した。その目玉が、2050年にトヨタが世界で販売する新車の走行時CO2排出量(平均)を10年比で90%削減するという目標だ。
この目標達成のために、ごく一部の地域を除きエンジンのみの車をなくし、ハイブリッド車(HV)、プラグインHV(PHV)、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)といった電動化車両を中心にしていくという。
もちろん、35年先の話なので、それまではガソリン、ディーゼルともエンジンの性能を上げて使い続ける必要がある。HVやPHVもエンジンを搭載するので、厳密にはエンジンをまったくなくすというわけではない。だが、遠い未来とはいえ、自動車会社がエンジンのみの車を否定した意味は大きい。「まだ35年あるというが、自動車業界にとってエンジンが減るのは天変地異に等しい」と伊勢専務はいう。
加えて、2050年に工場からのCO2排出量をゼロにする目標も掲げた。工場設備のシンプルスリム化や工程の改良、ムダにしていたエネルギーの回収によって、直接的なCO2排出量を削減するとともに、再生エネルギーによるCO2フリー電力やCO2フリー水素の利用も進める方針だ。
工場のシンプルスリム化は近年取り組んできたことだ。初期投資低減や需要変動への柔軟な対応も可能になった。結果的にCO2排出量も大きく減らしており、その路線をいっそう推し進める。
■2020年にFCV3万台以上、HV150万台
もう少し足元に近い現実的なところでは、20年にFCVを年間3万台以上、HVを150万台販売するという目標も掲げた。
昨年末に販売を開始したFCV「MIRAI(ミライ)」は、受注が殺到し納入まで数年待ちの状態だ。現段階での生産能力である年間700台を2016年に2000台、2017年に3000台にまで拡張する計画だが、3万台までは大きな乖離がある。
肝心の水素ステーションも不足気味。現状では日本国内での稼働済みが27カ所、計画中と合わせても81カ所しかない。FCVに対するトヨタの決意を改めて示すことで、政府やインフラ企業に投資を促す狙いがある。
2020年へ向けて、FCV、HVへのシフトを加速させる
FCVほどではないが、HVについてもハードルは高い。HVの販売実績は過去3年、120万台で停滞している(昨年は126万台)。12月に発売する新型「プリウス」に加え、HVへのさらなるコミットを表明したと受け取れる。
2050年という現役世代が責任を持たない長期目標には何の意味もない、とシニカルに見ることは出来る。だが、単なるポーズで打ち出したわけでもないだろう。
背景には、深刻化する環境問題に対するトヨタの危機感があるのは間違いない。各国政府は自動車に対する環境規制を厳格化していく方向にある。規制を後追いするのではなく、高い目標を自ら掲げて動き出すことでライバルに先んじることができる。
好業績の余裕もある。販売台数は年間1000万台を突破し、営業利益は3兆円をたたき出す。リーマンショックや品質問題の反省から、量的拡大を目標に掲げて突き進むやり方をすでに捨て去ったトヨタが、社内を鼓舞する「何か」を必要としたのかもしれない。
トヨタ自動車の会社概要 は「四季報オンライン」で
http://shikiho.jp/tk/stock/info/7203
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