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傾いていることが判明した大型マンション=横浜市都筑区で2015年10月16日午前10時16分、本社ヘリから梅村直承撮影
<マンション傾斜>くい補強セメント量改ざんも 3棟45本
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151016-00000126-mai-soci
毎日新聞 10月16日(金)21時50分配信
横浜市都筑区の大型マンションが施工不良で傾いている問題で、基礎のくい打ち工事で偽装データを使った旭化成建材の親会社、旭化成は16日夜、既に明らかになっているくい打ちを巡るデータの改ざん以外にも、施工時にくいを補強するためのセメントの量を改ざんしていたことを明らかにした。二つの改ざんに関わるくいは70本に上る。
旭化成によると、セメント量の改ざんは3棟の45本。くいが強固な地盤(支持層)に届いたかを確認するデータの偽装は全4棟の38本で、計13本は二つの不正が重複していた。
旭化成建材の前田富弘社長は16日夜、住民説明会に出席して謝罪した。説明会後、報道陣の取材に応じ、くい打ち工事の現場管理者の社員がインフルエンザで休んだ2日間は、データを取っていなかったことを明らかにした。
支持層に届いていなかったなどのくい8本について、前田社長は「職員は『わからなかった』と説明しているが、本数が多く、届いていなかったことをわかってデータを操作したと言われても仕方がない」と述べた。更にセメント量の改ざんについては「今すぐマンションに危険が及ぶというものでない」と話した。施工不良とデータ改ざんについて「誠に申し訳ありません。責任を痛感している」と陳謝した。
旭化成によると、基礎のくいを打ち込む前に、ドリルで穴を開け、セメントを流し込んでくいを打ち込む。穴とくいの隙間(すきま)をセメントが埋めて補強される仕組みだが、くい打ちを担当した旭化成建材の作業チームは、このセメントの量に関するデータを改ざんしたり、他の現場のデータを転用したりするなどしていたという。くい打ち作業は2005年12月〜06年2月、旭化成建材の社員ら6人が担当した。
セメントの機能について、ある建設会社関係者は「くいが支持層まで達していてもセメントの量が少なければくいとしての役割を果たさないことになるほど重要。建設業界ではまったく考えられないことだ」と指摘した。
一方、旭化成は旭化成建材がくい打ちをした全国のマンションや商業ビルなど約3000棟の都道府県別の棟数を来週にも公表することを明らかにした。ただ、住民や所有者の同意が得られていないため、建物の名称は明らかにしない方針。
傾いたマンションは他の3棟とともに三井不動産レジデンシャルが06年に販売を始めた。住民によると、昨年9月にマンションの西棟と中央棟をつなぐ渡り廊下の手すりにずれを見つけ、同社に連絡したが、「東日本大震災の影響で問題ない」との回答だった。管理組合が11月に同社に照会し、同社は調査の結果、今年3月に最大約2センチのずれがあることを管理組合に報告。一部のくいが支持層に届いていないことがわかったのは7月下旬だったという。
三井不動産レジデンシャルは今月9日に始めた住民説明会で、全棟の建物に構造上問題となるひび割れがないことなどから、くいの是正工事で正常な状態に戻し、設計時の構造強度にする方針を示していた。しかし、15日夜の説明会では方針を大きく転換し、全4棟の建て替えを念頭に住民と協議する意向を示した。【岸達也、坂口雄亮、水戸健一】
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