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横浜欠陥マンション傾斜、なぜ偽装は起きた?コスト低減優先&下請け叩きのトンデモ実態
http://biz-journal.jp/2015/10/post_11991.html
2015.10.17 文=編集部 Business Journal
神奈川県横浜市の「欠陥マンション偽装事件」の余波が止まらない。
これは、三井住友建設が施工、旭化成建材が杭の工事を請け負った大型マンションが施工不良によって傾いていたものだ。調査の結果、建物を支える52本の杭のうち6本が強固な地盤の「支持層」に届いておらず、2本は支持層には届いているものの、打ち込みが不十分だったことが明らかになっている。
さらに、傾きの発生した1棟の10本を含め、4棟で計38本の杭の施工記録が、別のデータを転用・加筆したものだった。旭化成建材の工事担当者は、データ偽装について「地盤の強度データを記録し損ねた」「プリンタのスイッチを押し忘れたり、記録紙が泥で汚れたり、雨で濡れたりして、きちんと記録できなかった」と説明しているという。
オラガHSC代表取締役の牧野知弘氏は、今回の事件が起きた背景について、以下のように語る。
「マンション分譲事業は、基本的に利幅が薄いビジネスです。マンションデベロッパーが1棟のマンションを分譲した際の純利益は、5〜10%程度といわれています。そのため、少しでも利益を捻出するために建設費を極限まで圧縮したいという考えが『ゼネコン叩き』につながり、さらにゼネコンは下請け業者に負担を負わせる……という構造があります。
今回の事件も、そんな状況下で生まれたものかもしれません。今回、問題となったマンションが完成したのは2007年ですが、ゼネコンにとって06〜07年という時期は受注が少なく、利幅が薄いマンション事業でも受注せざるを得ない状況でした。
また、建物構造に直結する杭打ちは、定められたボーリング調査を行った上で正確に支持層へ打ち込みます。この部分での偽装は通常では起こり得ないことであり、極限までコストが切り詰められていたと考えざるを得ません。旭化成建材の偽装をデベロッパーである三井不動産レジデンシャルがチェックするのは限界がありますが、元請け業者の三井住友建設は詳細にチェックできたはずです。しかし、コスト削減の状況下でスルーされてしまった可能性もあります」
■消費者が“欠陥”を見極めるには?
今回、“欠陥マンション”の売主が、三井不動産レジデンシャルという大手業者だったことも、世間の衝撃を倍加させている。マンション購入の際に、消費者が気をつけるべき点などはあるのだろうか。
「消費者にとって、建物の杭が支持層に届いているかどうかなどは確認のしようがありません。強いて挙げれば、購入したいマンションの土地の歴史をよく調べることでしょう。地元の図書館で古地図などを閲覧するのも、意外と参考になります。また、一般的に地名に『沼』『池』『谷』『沢』『窪』などが含まれる土地は要注意といわれています。
土地の歴史の浅い湾岸エリアなどは、支持層までの距離が40〜50メートルもあるケースが多いので注意しましょう。また、阪神・淡路大震災や東日本大震災時に周囲の建物にどのような被害があったか、土地が液状化しなかったか、などを調べるのもいいと思います」(牧野氏)
三井不動産レジデンシャルは15日に住民説明会を開き、傾いた1棟を含む全4棟の建て替えを前提に住民との協議を進めると発表したが、「建て替え期間は少なくとも2年半〜3年はかかるでしょう。住民の生活とどこまで向き合うのか、補償費を含めて難しい課題が山積している」(牧野氏)という状況だ。
(文=編集部)
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