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今、世界で起きているのは雇用を排除するイノベーションだ
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2015-10-13 ダークネスDUA
数々の問題を提起しながらじわじわと浸透している商業用のドローン(無人航空機)。様々な現場で浸透していこうとしているロボット。さらに人間の知的分野にまで進出する人工知能。
この3つは、今まで人手をかけてやっていた作業を機械に置き換えて人手を削減できるという意味で、企業経営者が特に注目しているものである。
企業にとって「人手」というのは最大のコストだ。
何しろ人間を雇ってしまえば昇級も必要で、ボーナスも必要で、仕事が減ったからと言ってすぐにクビにもできず、いろんな要求を聞かなければならない。
福利厚生も必要であれば、職場環境の充実も必要であれば、退職金の積み立ても必要だ。さらに、それだけ金をかけてもその人間が期待通りの働きをするかどうかは分からない。
つまり、企業にとって人間を雇うというのは常にリスクであり、リスクは減らす方向に向かうのが企業の常である。
そのリスクを削減できるという流れは企業にとって利益の拡大を意味するので、ドローンもロボットも人工知能も将来は必ず一般化していく。
■「雇用を排除する」システムが標準となっていく
「雇用を排除する」というのは、企業にとってリスクを減らすことにつながる。そして、コスト削減にもつながる。
そして、雇用を排除したシステムを他社よりも早く構築できれば、それだけ商品やサービスを格安で提供できるようになるので他社よりも競争力が増す。
そうなると、他社もまた「雇用を排除する」システムを構築するようになるので、気が付けばどんどん雇用が減少していくことになる。「雇用を排除する」システムが標準となっていくのである。
現在、世界的に雇用の減少と中間層の没落と若者の失業率の悪化が起きているが、この3つは別々の現象ではない。
1990年代から確実に広がっていったインターネットは、2000年代に入ってから爆発的に企業内に浸透して、ついにはインターネットそのものが企業活動の中心となっていった。
このインターネットもまた「雇用を排除する」中心的な存在であったのは誰もが知っている。
現場で起きていることはイントラネット(企業内ネットワーク)で上層経営者が直接把握できるようになり、それによって迅速で的確な分析が可能になり、効果的な手が打てるようになっていった。
情報の流れが速くなり、一元化されるようになった。その中で企業内に必要だった中間管理職が不必要になり、また中間管理職を補佐する社員もまた不要になっていった。
本来、こうした中間管理職こそが社会の中間層だったのだが、こうした人々が没落していったのは、「企業が不要だと判断して解雇した」からだ。
今までインターネットによって雇用の削減が起きていたとすると、今度はそれがドローン利用やロボット化や人工知能によって、さらなる雇用の削減が行われることになる。
■インターネット化は雇用の排除を加速させた
インターネット時代になったとき、インターネットの波に乗れない企業はことごとく没落していった。
インターネット化とは「アナログがデジタル化していく流れ」のことである。デジタル化することを拒絶し、アナログに固執していた企業が没落していったのだ。
たとえば、紙の媒体に依存していたマスコミは全世界で一気に経営破綻に向かっていったし、紙の媒体を売る出版社や書店という存在もまとめて危機に瀕した。
また一時期は超優良企業であったイーストマン・コダック社も「フィルム」というアナログに固執したために2012年1月、会社更生法の適用を申請するという事態に陥っている。
フィルムの写真は独特の味があると言われているが、今やフィルムを使うプロはもうほとんどいない。デジタルの圧倒的な優位さにフィルムは太刀打ちできなかったのである。
これらの没落した企業に変わって成長していったのは、インターネット化に対応してコンテンツを押さえたグーグル社や、流通を押さえたアマゾン社や、インターネットを見るための機器を押さえたアップル社だった。
こうした時代の流れの中で、アナログに固執するビジネスモデルを持つ企業が成長できるはずもない。
結局ほとんどの企業がインターネットを取り入れ、どんどん効率化が進められていった。そして、現在の姿となっている。インターネット化に乗り、「雇用を排除する」システムをいち早く構築できた企業が生き残った。
インターネット化は「雇用を排除する」という企業のトレンドを加速させた革新(イノベーション)だったが、それで終わりではない。
インターネット化が普及してそれが差別化にならなくなると、企業は「次の革新」に歩を進めることになる。
■今起きているのは、雇用を排除するイノベーション
次なる革新とは何か。それが、ドローンの活用や、ロボット化や人工知能の利用である。これらは共に「無人システム」であることに気付かなければならない。
今後はインターネットとドローン、ロボット、人工知能によってさらに無人化が進み、企業はよりコスト削減が可能になり、「儲けられる体質」になり、競争力を手に入れる。
その「儲けられる体質」というのは、「雇用を排除する」ことによって成し遂げられるので、今後の企業の成長は必ずしも人々の雇用につながっていくわけではない。
むしろ、雇用を削いで成長していくので、人々は仕事が見つけられなくなり、窮地に落ちていく確率が高まる。
単純労働の仕事をロボットに奪われ、流通もドローンに奪われ、知的労働の分野も人工知能化していく自律プログラムが働くようになって消えていく。
すでに知的な作業と思われていた「ものを書く」分野ですらも機械に取って代わっている。(人工知能が人間に答えを与え、仕事を奪い、殺人をする時代 )
そのため、最先端の企業になればなるほど、雇用する人が減っていく。
企業の経営者と、インターネット・ドローン・ロボット・人工知能で構成された企業システムと、少数の労働者というのが次世代の企業の形になっていくのだ。
その結果、企業の儲けを独占できる経営者がどんどん巨額の儲けを手にするようになり、その他は最低賃金をかろうじてもらえるしかない労働者と化して、格差もより広がっていく。
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