1. 2015年10月16日 23:08:29
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焦点:米FRB、海外景気減速でマイナス金利も視野 10月15日、海外の景気減速による米経済への影響で年内利上げをめぐる不透明感が増すなか、米FRB当局者の一部は事態が悪化した場合の対応策としてマイナス金利を視野に入れ始めた。写真は9月、講演するイエレンFRB議長(2015年 ロイター/Mary Schwalm) 10月15日、海外の景気減速による米経済への影響で年内利上げをめぐる不透明感が増すなか、米FRB当局者の一部は事態が悪化した場合の対応策としてマイナス金利を視野に入れ始めた。写真は9月、講演するイエレンFRB議長(2015年 ロイター/Mary Schwalm) [ニューヨーク 15日 ロイター] - 米経済は海外の景気減速の波及を示す兆候が表れて年内利上げをめぐる不透明感が増し、米連邦準備理事会(FRB)当局者の一部は事態が悪化した場合の対応策としてマイナス金利を視野に入れ始めた。9月の米消費者物価指数(CPI)の前月比はガソリンの値下がりが響いて8カ月ぶりの大幅な下落を記録。9月卸売物価指数(PPI)の前月比も8カ月ぶりの大幅低下だった。 最近発表された雇用者数の伸びや小売売上高の数字が弱かったことも、中国など新興国の減速やコモディティ価格の下落、ドル高などの影響が表面化しつつある景気の先行き不安を強めた。 今週に入って有力なFRB当局者2人が、年内利上げの可能性を繰り返すイエレン議長などに抗う形で利上げの先送りを提唱。当局者の中には、かつてリスクが高過ぎるとして見送ったマイナス金利を再検討する動きも見られる。 過去2週間で少なくとも6人のFRB当局者が公の場で当座預金金利のマイナス化に言及。うち4人は景気回復の軌道が大きく損なわれた場合には検討に値するとの見解を示し、ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁に至っては即時導入を求めた。 スタンダード・チャータードのシニアエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は「以前は考えられないことだったが、マイナス金利は公式の場で議論の対象になっており、もう無視できない」と話した。 FRBは2008年と12年にマイナス金利を俎上に乗せたものの、投資家を脅えさせ、既に0─0.25%の政策金利が重しになっているマネー・マーケット・ファンド(MMF)にさらにストレスを掛けるとの懸念から棚上げした経緯がある。政策金利の水準は当時と同じだ。 しかしこの2年間で欧州中央銀行(ECB)のほかスイス、スウェーデン、デンマークなどの中銀がマイナス金利を導入し、一定の成果を収めた。 国内で不安定な成長や拭いがたい低インフレが続いていることから、FRB当局者の一部はこうした成果を重くみるようになり、米国が景気後退の危機に直面すればマイナス金利を導入する可能性を視野に入れ始めた。 米アトランタ地区連銀のロックハート総裁は先週の講演で欧州の「実験」に触れ、「様子を見ているところだ。他の当局者も将来必要になった場合に中銀がこうした措置を手にするかどうかの判断に関して、強い関心を持って見守っているのは間違いない」と述べた。 またブレイナード理事は12日の講演でマイナス金利を取り上げ、「(欧州の経験を)研究し、そこから学ぶことには益がある」と述べ、利上げは遅らせるべきだと主張した。 <遠のく利上げ> もちろん、FRB当局者は利下げよりも利上げの可能性の方がはるかに高いと強調している。 FRBの9月の経済見通しによれば、当局者は年内に1回の利上げが実施され、16年末までに政策金利が1%を超えると見込んでいる。 ニューヨーク連銀のダドリー総裁はテレビインタビューでマイナス金利に言及したが、導入の可能性を否定。ロックハート総裁も「短期的に(導入することは)ありそうもない」としている。 週間失業保険給付申請件数が42年ぶりの低水準となり、住宅需要が高まるなど米成長が上向く兆候が出ているほか、食品とエネルギーを除く消費者物価は9月に小幅ながら上昇した。 しかし世界経済の減速や中国経済の先行きをめぐる不安から、FRBは既に先月利上げを見送った。 プライマリーディーラーを対象とする先月の調査では、向こう半年間に景気後退に陥る確率は米国が10%、海外が20%だ。 弱いインフレや8、9月の雇用の伸びの急激な鈍化は、米国の製造業とエネルギー関連企業がドル高と原油安の逆風にさらされていることを示している。 みずほ証券USAのチーフエコノミスト、スティーブン・リチウト氏は「FRBの金融緩和にもかかわらず経済が加速していないということは、デフレのリスクが一般に考えられているよりも高いばかりでなく、FRBが利上げを想定より大幅に先送りすることを示している」と述べた。 (Jonathan Spicer記者) http://jp.reuters.com/article/2015/10/16/frb-interest-rates-idJPKCN0SA0OJ20151016?sp=true 「幻の利上げ」に揺れる市場、経済鈍化で金融相場復活 10月16日、米国の「幻の利上げ」に市場は揺れている。ワシントンのFRBビルで昨年10月撮影(2015年 ロイター/Gary Cameron) 10月16日、米国の「幻の利上げ」に市場は揺れている。ワシントンのFRBビルで昨年10月撮影(2015年 ロイター/Gary Cameron) [東京 16日 ロイター] - 米国の「幻の利上げ」に市場は揺れている。世界経済が鈍化し、米利上げ観測が後退。金融相場が復活する中で、利上げに備えていたポジションが、各市場で巻き戻されている。一方で先行きは不透明さを増し、緩和マネーを背景とした短期筋主導の相場展開が続き、一段と振幅が激しくなっている。 <市場の脅え> 米利上げが実施されたわけではない。市場は蜃気楼のような米利上げを追いかけ、そして遠退く中で、一喜一憂する展開が続いている。 「市場にとって予想は現実と変わらない」──。PIMCOのエグゼクティブ・バイス・プレジデント、トニー・ クレセンツィ氏は9月のリポートで、今年の市場でボラティリティが高まった背景に、米連邦準備理事会(FRB)の「幻の利上げ」があると指摘した。「市場は利上げ予想に脅え、世界の金融市場全般で極めて重大なイベントを連鎖的に引き起こしている」と述べた。 広告 市場では堅調な米経済やFRB当局者の強気な発言を背景に、昨年末から米利上げ観測が台頭。米金利は上昇し、ドル高を進行させた。10年米国債利回りUS10YT=RRは6月に2.5%まで上昇。昨年末に90ポイントだったドル・インデックス.DXYは今年3月に約12年ぶりとなる100ポイント台に乗せた。 その半面、ドルと逆相関関係にあるコモディティ価格は下落し、新興国通貨も売られた。人民元をドルに事実上ペッグしている中国は今年8月、人民元の基準価格引き下げに動き、グローバル市場は大きく動揺。中国経済の鈍化も重なり、コモディティ価格や新興国通貨が一段と下落。リスクポジションは巻き戻され、世界同時株安をもたらした。 <スローな経済> 足元の市場の動きは、その巻き戻しだ。株式などリスク資産の相場が反転し始めたのは10月に入ってから。9月米雇用統計の悪化が10月2日に発表されたときとタイミングが一致する。米利上げ観測の後退が、現在のリバウンド相場の原動力だ。 ここにきて、世界的に経済が鈍化。成長率だけでなく、貿易量、賃金、物価、多くの経済データがスローダウンした。米国や日本など先進国でも、好調だった内需に弱い外需の影響が及び始めており、元気だった企業業績にも陰りがみえる。 9月の米小売売上高では、国内総生産(GDP)の計算に使われる個人消費支出との連動性が最も高いコア売上高が0.1%減。小売米最大手の米ウォルマート・ストアーズ(WMT.N)が純売上高見通しを従来の1─2%増から横ばいに下方修正した。「一本足打法」と呼ばれた米国経済が弱まれば、影響は計り知れない。 ロイターがエコノミスト約90人に行った調査によると、12月15─16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げ確率は55%で、9月22日時点の60%から低下した。 市場では、来年も利上げができない可能性が取り沙汰されており、そうなれば本当に「幻の利上げ」となる。 FRB当局者も、年内の利上げについてトーンを軟化。フィッシャー副議長は11日、年内の利上げについて、依然として可能性があるとした上で「(これは)見通しであってコミットメント(約束)ではない」と指摘した。 <利上げのジレンマ> ただ、金融相場が復活したと、手放しでは喜べない。年末の株高をもたらした昨年までとは異なり、景気減速懸念は一段と強く、政策効果への期待感は一段と下がっているためだ。「これだけの金融緩和をしても、景気が良くならないとの悲観が市場には広がっており、リスクオン方向の取引は海外短期筋など限定的」(米系証券トレーダー)という。 日経平均.N225は9月29日の安値1万6901円から16日には1万8291円まで1390円反発した。 しかし、8月10日終値の2万0808円からは3分の1程度の戻りにすぎない。鉄鋼などこれまで売られていた外需株が切り返す一方、小売りなどの内需株が下落するなど、ポジションの巻き戻しが主体とみられている。 「米経済はやはり堅調だと示されることが理想的だが、そうなれば米利上げ観測が強まってしまうジレンマを市場は抱えている」とJPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は指摘する。 8月と9月の2カ月間で、海外投資家は日本株を現物と先物を合わせて約7兆円売り越したが、10月第1週は9週ぶりに3180億円の買い越しとなった。日本株は海外勢の売買に相変わらず左右されている。 米利上げ観測の後退で、いわゆる緩和マネーは再び動きやすくなった。市場では、乱高下相場で被った損失を取り戻すために、ヘッジファンドなどが彼らの決算期末に向けて仕掛ける可能性もある、と警戒されている。ただ、リスクオン材料は以前に比べて少なくなっており、波乱相場再開への警戒感は強い。 (伊賀大記 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/2015/10/16/pimco-idJPKCN0SA0NZ20151016 ユーロ圏9月CPI改定値は前年比0.1%低下、3月以来のマイナス Business | 2015年 10月 16日 19:02 [ブリュッセル 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が16日発表した9月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)改定値は前年比0.1%低下した。速報値と同じだった。 エネルギー価格の大幅な下落を背景に、CPI伸び率は3月以降で初のマイナスに陥った。欧州中央銀行(ECB)に対して、物価の押し上げに向けて国債買い入れを強化するよう、求める声が強まりそうだ。 9月のユーロ圏CPI改定値は、前月比では0.2%上昇だった。 統計局によると、ミルク、チーズ、卵が値下がりしたほか、暖房用油と輸送用燃料が前年同月比のCPI伸び率を約1%ポイント押し下げた。一方、レストラン、カフェ、野菜、たばこの各種価格は上昇した。 価格変動の激しい未加工食品およびエネルギーを除いたコアインフレ率は、9月は前年比0.8%上昇し、速報値の0.9%上昇から若干の下方修正となった。前月比では0.4%上昇した。 中国経済の鈍化や商品安などを背景に、長期のインフレ期待は、ECBの国債買い入れが始まる前の2月以来の低水準に落ち込んでいる。 http://jp.reuters.com/article/2015/10/16/euro-cpi-sep-idJPKCN0SA0ZW20151016
アングル:ドル/円に年初来安値更新の警戒感、需給均衡崩れる余地も [東京 16日 ロイター] - ドル/円下落に対する警戒感が、外為市場で浮上してきた。大型のM&A(合併・買収)や年金基金、投資信託による外国株買いなどの「円売り」需要は根強いものの、経常黒字拡大や円ショート巻き戻しなどの「円買い」規模が急拡大。円高が進みやすい年末にかけて、年初来安値の115.85円を更新して円高が進む可能性もささやかれている。
<M&Aの円売り、経常黒字の円買いと相殺> 今年に入って、日本企業による海外企業を対象にした大規模なM&A案件発表が相次いでいる。 これまでに発表された案件のうち、「2.8兆円分は既に買収手続きが終了したが、残り約4.5兆円以上はプロセスの途中にあり、今後、関連の円売りが発生する可能性がある」と、JPモルガン・チェース銀行のチーフFX/EMストラテジスト棚瀬順哉氏はみている。 1―8月の対外直接投資に伴うネット流出額は10.4兆円だが、この全てで円売りが発生するわけではない。 一方で、日本の1―8月の経常黒字は累計で11.6兆円と、昨年の0.2兆円から大幅に拡大した。 「今年は、経常黒字に起因する円買い圧力が明らかに高まっているが、海外M&Aを含む対外直接投資と、堅調な対外証券投資に起因する円売りが、これを大部分相殺しているとみられる」と棚瀬氏は言う。 結果的に実需のフローは、ドル/円が今年のレンジ(115.85―125.86円)にとどまることを示唆しているが、「ドル/円相場は第4・四半期にボトムを付けることが多く、下落トレンドは8月中旬ごろから始まるのが平均的なパターンであり、今年もそのパターンを踏襲するとすれば、114円半ばまで下落する余地がある」と棚瀬氏は予想する。 <警戒される根雪の円ショート巻き戻し> 短期筋の円ショートポジションは、8月24日にドル/円が1日で6円急落し116.15円を付けて以来、急激に縮小している。 米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物によると、投機筋(非商業部門)による円の売り持ち高は前週の23.0億ドルから18.3億ドルへと3週連続で縮小した。 「IMMはほぼフラット(売り持ち、買い持ちとも大きな偏りがない状況)なので、円ショートの巻き戻しからくる円買い圧力は限定的だろう」(外銀)という。 ただ、IMMはあくまで一部のヘッジファンド等のポジション動向を示す指標であり、為替市場全体の需給を表すものではない。 「M&Aや対外証券投資で、日本から兆円単位の円売りが出ているにもかかわらず、ドル/円は119円前半で値幅が抑え込まれ、ある意味で、不自然な価格が続いている」(国内運用機関)との指摘も出ている。 背後には「膨大な規模の円買い/ドル売りがあると考えらえる。いわゆる根雪のように積もった円ショートの巻き戻しが発生しているのだろう」(同)という。 <「ミセスワタナベ」のドル/円先高観に揺らぎ> ドル/円は15日、118.06円まで下落し7週間半ぶり安値をつけた。安値付近では、日本の個人投資家「ミセスワタナベ」による逆張りのドル買い/円売りがドル/円の支えになった。だが、足元では逆張り戦略の一枚岩が崩れてきたとの指摘もある。 個人投資家の間ではドル/円の先高観が支配的だったが、米年内利上げの思惑が後退する中で「ドルショート勢も増えており、前日も売買が交錯した。これほど見方が割れるのは珍しい」(外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏)という。 16日朝方は、ドルが値を戻す中で118円後半から早々に利益確定売りが出てきていたという。 ひとまず118円割れを回避したことで、118─122円のレンジは引き続き意識されそうだという。先行き118円前半に下落する局面があるなら、再び個人のドル買い/円売りが入るとみられるが「このところ個人投資家のドルロングの残高が膨らんでおり、買い余力は少しずつ落ちてきている」(神田氏)との指摘もある。その下支え力も試されそうだ。 (森佳子 平田紀之 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/2015/10/16/cftc-idJPKCN0SA0IA20151016?sp=true
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