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伊藤忠商事東京本社(「Wikipedia」より/Kakidai)
「牛も豚も鶏も全部、中国に持っていかれる」危機浮上…中国との食肉争奪戦激化!
http://biz-journal.jp/2015/10/post_11958.html
2015.10.16 文=編集部 Business Journal
食肉加工業界第2位の伊藤ハムと第7位の米久が、2016年4月に経営統合する。共同持ち株会社をつくり、2社を傘下に置く。伊藤ハム株1株につき持ち株会社1株、米久株1株につき同3.67株を割り当てる。持ち株会社の社長には伊藤ハムの堀尾守社長が就く。社名や本社の場所などは11月をメドに決める。
両社は16年3月29日に上場廃止となり、設立する共同持ち株会社が4月1日に新規上場する。2社の売上高合計は6362億円。国内首位の日本ハム(同1兆2128億円)に次ぐ規模だが、ハム・ソーセージ事業の売り上げでは新会社が首位になる。
再編を主導したのは、両社の筆頭株主である三菱商事。2社の社長は、いずれも三菱商事の出身だ。
■カギ握る三菱商事
伊藤ハムは1928年、伊藤傳三氏が創業し、48年に伊藤栄養食品工業株式会社(現・伊藤ハム)を設立。ハム・ソーセージ大手の一角を占める。関西では「ポールウインナー」が有名。傳三氏が他社の商品と差別化すべく地域限定で発売した、動物の腸を使わないウインナーで、「関西のソウルフード」と呼ばれている。関西ではとてもポピュラーな商品だが、他地域ではほとんど販売されていない。
伊藤ハムには不祥事の過去がある。05年の豚肉偽装で摘発された関税法違反、08年の東京工場の水質汚染問題などで経営が悪化。創業家出身の会長と社長が退任するとともに09年、三菱商事が株式の20.0%、4965万株を取得した。
伊藤ハムは今年3月にはニュージーランドの食肉卸・アンズコフーズを子会社にした。16年に中国とニュージーランドの牛肉関税が撤廃されることから、ニュージーランド産牛肉の対中輸出の増大が期待され、これを先取りしたM&A(合併・買収)だ。
一方、米久は65年に個人創業、69年に米久畜産販売サービス株式会社(現・米久)として設立。静岡県が地盤の業務用食肉加工の大手だ。創業家の庄司一族が持ち株を麒麟麦酒(現・キリンホールディングス)に売却、99年にキリングループの傘下に入った。
07年、三菱グループ内の食肉事業再編にあたり、麒麟麦酒は保有していた米久株式を三菱商事に売却した。09年、米久、三菱商事、伊藤ハムの3社は業務提携を締結。13年に三菱商事がTOB(株式公開買い付け)を実施して、米久株式の62.5%、1801万株を手中にし、三菱商事の子会社とした。
伊藤ハムは牛と豚に強いが、大衆化路線で日本ハムに大きく後れを取っている。米久は養豚場、養鶏場を多数所有し、ギフトや高級品に強いという棲み分けはできている。伊藤ハムは伊藤家の同族経営だったこともあり、閉鎖的な会社といわれてきた。一方、米久は過去に大株主の意向に振り回された苦い経験がある。
「すんなりと経営統合できるのか」(食肉業界筋)といった見方が出るのは、こうした企業体質の違いがあるからだ。「三菱商事がどの程度、経営に関与するかにかかっている」(同)
三菱商事は「世界的な食の洋食化」を見据え、配合飼料大手の日本農産工業を買収するなど畜産系の強化に乗り出した。三菱商事の畜産事業の売り上げは4000億円規模。伊藤ハムと米久を加えれば1兆円規模となり、国内首位の日本ハムに肉薄する。
■伊藤忠主導の再編か
「次は、伊藤忠商事が大株主になっている食肉加工メーカーの再編が起こる」(市場筋)との見方が強い。業界第3位のプリマハム(伊藤忠の出資比率39.3%)と同5位で関西が地盤の丸大食品(同2.5%)、9位で高級ハム・ソーセージに定評がある滝沢ハム(同14.9%)の経営統合だ。
中核になるのはプリマハム。今年6月、公募増資と筆頭株主の伊藤忠商事への第三者割当増資で最大110億円の資金を調達。主力の茨城工場(土浦市)内でのソーセージ工場の新設に資金を充当する。同社の公募増資は80年代以降で初めてだ。
増資には財務改善の狙いもある。自己資本比率は35%で、ライバルの日本ハム(54%)や伊藤ハム(49%)よりかなり低い。今回の増資で、今年度中には同40%強に高まる見通しだ。伊藤忠は今夏、飼料大手の中部飼料と資本提携している。畜産系に力を入れているのは三菱商事と同じだ。
新興国で食肉の需要が急増している。この結果、食肉は中国との奪い合いになっている。「牛も豚も鶏も全部、中国に持っていかれる」(業界筋)と危機感が強い。三菱商事は、競争力を高めるために大がかりな再編が必要と判断。伊藤ハム、米久の経営統合に踏み切った。
プリマハムは業界3位とはいえ、伊藤ハム・米久の新会社に大きく水を開けられることになる。三菱商事グループと肩を並べるためには、伊藤忠も再編を仕掛けるしかないとされる。
【国内の主要食肉加工会社】
※以下、社名、売上高、純利益、商社(出資比率)
・日本ハム、1兆2128億円、310億円、――
・伊藤ハム、4811億円、115億円、三菱商事(20.0%)
・プリマハム、3411億円、63億円、伊藤忠商事(39.3%)
・スターゼン、2825億円、28億円、三井物産(2.5%)
・丸大食品、2223億円、18億円、伊藤忠商事(2.5%)
・S FOODS、2141億円、43億円、丸紅(15.0%)、三井物産(2.1%)
・米久、1550億円、40億円、三菱商事(62.5%)
・林兼産業、476億円、3億円、三井物産(4.2%)
・滝沢ハム、297億円、3億円、伊藤忠商事(14.9%)
・福留ハム、284億円、2億円、――
※決算期は15年3月期。S FOODSと米久は15年2月期。米久は16年から3月決算に変更。
(文=編集部)
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