http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/535.html
Tweet |
巨額買収、問われるモノづくり インベブ肥大化、ビール業界変容
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151014-00000000-biz_fsi-nb
SankeiBiz 2015/10/15 08:15
世界ビール首位のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ・ベルギー)による、同2位の英SABミラーの買収が決まった。買収金額は約13兆円。時価総額は30兆円を超え、トヨタ自動車の25.6兆円をも上回る超巨大企業が誕生する。世界シェアは2014年で、ABインベブが20.8%、SABミラー9.7%。単純合算すると30.5%となり、世界で消費されるビールのほぼ3本に1本を占める計算だ。
巨大企業による日本のビール会社買収の可能性、各国の独禁法から整理していく資産の行方など焦点はいくつもある。見落としてはいけないのが、繰り返される巨額のM&A(企業の合併・買収)が、ビール産業のモノづくりを変容させていく可能性があることだ。世界のビール産業にM&A、再編の波が本格的に押し寄せたのは2000年代に入ってから。背景には世界的な“カネ余り”があった。再編の中心にいたのが、ABインベブとSABミラーだ。
リーマン・ショックと前後する08年、「バドワイザー」で知られる米アンハイザー・ブッシュを、ベルギーのインベブが約5兆円で買収し、ABインベブが誕生した。前年の07年、SABミラーが北米大手のモルソン・クアーズ・ブリューイングの米国ビール事業を統合。これがアンハイザー・ブッシュに脅威を与えたとされるが、M&Aにより創業家のブッシュ家はABインベブの経営から離れてしまう。
日本でバドワイザーは、1984年からサントリーが、93年からはキリンがライセンス生産を行っている。サントリーの幹部は「指導は厳しかったが、アンハイザー・ブッシュから多くの技術を学んだ」と振り返る。これは、少なくとも2008年まではキリンも同じだった。
キリンは正式にはコメントしていないが、複数の関係者によれば、アンハイザー・ブッシュからABインベブへの移行にともない、「経営効率を強く求められる半面、モノづくりへのこだわりは希薄になってきた」という。
買収される前は、セントルイス本社(当時)に定期的に日本で生産したバドのサンプルを送っていたそうだ。創業家から容赦のない品質チェックを受け、場合によっては技術者が日本に派遣されることもあった。
ところが、買収後はサンプル品の出荷先は米本社ではなく、技術者が駐在する中国の武漢工場に変わる。コストをより削減するためだが、かつてほどうるさくはなくなったそうだ。「ABインベブになって、モノづくりの考え方が変わってしまった」との声も漏れる。
ABインベブを率いているのは、効率経営を実践することで知られるカルロス・ブリト氏。もともとはブラジル最大手のアンベブの最高経営責任者(CEO)だった。04年8月、ベルギーのインターブリューが約1兆2000億円でアンベブを買収して、インベブが誕生。ブリト氏がインベブのCEOに就いたのは、その1年半後だった。
リーマン・ショックにより資金繰りに窮したABインベブは、中国大手の青島ビールの株式19.9%をアサヒビールに593億円で売却する。09年秋、青島の金志国・董事長(当時)は東京で会見し、「ABインベブは投資会社のようだった。営業利益率など短期的な利益確保に関心が強かった。品質管理や環境活動を指導してくれるアサヒとは違う」と話した。
米国で小規模な醸造所が造るクラフトビールの需要が急伸しているのは、ABインベブのバドやコロナといった大量生産型ビールの販売が落ち込んでいるからだ。「原料調達などで効率経営を徹底しすぎて、おいしくなくなっている」(ビール業界関係者)という。
世界首位と2位の統合の余波は計り知れないが、日本のビール会社は品質本位、ユニークな新商品開発など、今後も「モノづくり」にこだわって、企業価値を上げていくべきだろう。消費者に支持されることが、買収防衛策にもつながるはずだ。(ジャーナリスト 永井隆)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民101掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。