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指定管理者選考の採点表
ツタヤ図書館騒動で話題の公共施設民間委託、デタラメな実態!もはやメリットなし?
http://biz-journal.jp/2015/10/post_11939.html
2015.10.14 文=日向咲嗣/ジャーナリスト Business Journal
公共施設の管理を民間の事業者に委託する「指定管理者制度」。
佐賀県武雄市が、ビデオレンタルショップ「TSUTAYA」を運営するコンビニエンス・クラブ&limit=20">カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に管理を委託している図書館が話題を呼んでいる。全国的にも注目され、その経済効果は20億円にも達したと報じられたが、一方で図書館業務を安易に民間委託することへの批判も少なからず巻き起こっていた。
そこへきて、購入図書の選定方法や仕入れ方法などに疑惑が湧き上がり、市民団体が同図書館のCCCへの委託を推進した前市長を相手取って損害賠償を求める事件にまで発展している。
10月12日付当サイト記事『ツタヤ図書館だけじゃない!公共施設、民間委託のトンデモ実態 違法行為オンパレード』においては、東京・足立区における指定管理者選考の実態についてレポートした。
http://biz-journal.jp/2015/10/post_11915.html
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今回は、その続きをお届けしよう。
昨年7月1日に足立区庁舎大会議室で指定管理者募集に関する説明会が行われ、そこには60人近くが参加した。受託を検討している各事業者は、2〜3人のグループで参加していたので、少なくとも20社以上が参入を検討していると見られ、今回は例年になく激しい落札競争が起きると筆者は考えていた。
実際に、説明会の後に開催された各施設への見学会にもいくつか参加してみたが、どこも大勢の見学者が訪れていた。不祥事を起こし、次期管理者から外れるとみられていたT社が現在受託している2施設については、参加者がことのほか熱心に建物内の設備を細かくチェックしたり、活発な質疑応答も行われていた。
ところが、ふたを開けてみると実際の指定管理者選考は、説明会の参加者があれだけ多数だったのがウソのような完全無風状態だった。
■8施設中7施設は競合なし
昨年12月に公表された足立区の選考資料によれば、指定管理者を募集した8つの施設のうち、複数社から応募があったのは2施設のみで、残りの6施設はすべて現在受託している業者のみの応募だった。
しかも、複数社から応募のあった2施設のうち1施設については、競合する2社のうち1社が一次の書類審査で「失格」とされたため、二次選考に進めたのは1社のみとなり、実質的には競合なしと同じだった。
残る1施設は、4社応募のうち1社が一次で落とされているものの、最終的に応募してきた3社が競合するかたちで二次のプレゼンテーション審査が行われている。
このように、8施設のうち競合したのは実質1施設のみ。これでは、いったいなんのために民間委託しているのかわからない。
指定管理者制度は、民間の事業者が切磋琢磨して競い合うことで、より低い費用でより質の高いサービスが実現できるというふれこみだが、応募が1社しかなければ競争原理など働くはずもなく、随意契約となんら変わらない。
つまり、区民には「民間委託すれば、いいことだらけ」と説明しておきながら、費用が安くなっているわけではなく、たくさん競合している選択肢の中から特別優れた事業者を選抜しているわけでもないという実態が、この経過から白日の下にさらされたのである。
地元事業者には、「ゲタ」を履かせる
では、どうして競合他社は応募しないのか。そのカギを握るのが、足立区独自の採点方式にある。
下の図を見てほしい。これは昨年実施された足立区立のあるスポーツ施設における指定管理者選考の採点結果である。「安定性・信頼度」が100点満点の大手業者E社と、60点の地元企業のY社。また、「スタッフの数・人材・内訳」等では、E社の圧勝。だが、Y社は「足立区内に本店・支店機能」があるとして42点加点されたうえ、足立区の独自制度である「ワークライフバランス認定企業」でも18点加点。この2つの項目だけで60点もY社がゲタを履かせてもらっている。
両社の最終的な総合点の差が53点であることからすれば、もしこれら地元企業優先採点がなければ、Y社はE社に負けていたのだ。
2015年度からは、地元企業優先加点の採点方式は少し緩和されたものの、それでもまだ地元優先の基本は変わらないため、こうした情報を詳細に検討する大手事業者は、落札できる可能性の低いところに応募する無駄な労力はかけないのだろう。
■図書館分離なら大手の圧勝
また、昨年1施設で区外の大手業者B社、C社と区内業者Y社が競合したが、その選考過程をつぶさにみていくと、少なくとも図書館に関しては、受託したY社が指定管理者として一番ふさわしいとは到底言い難いことが判明した。
経営の安定性では、B社、C社が共に満点だったのに対して、Y社は半分以下。一次審査ではB社より高得点だったものの、C社には大差をつけられている。二次審査のプレゼンテーションにおいても、「図書館の取り組み方針」や、実績をみる「図書館事業」の採点では、Y社はB社に大きく水をあけられている。
ところが、一次の「足立区内に本店・支店機能」と「ワークライフバランス認定企業」の区内優先採点のほか、二次のプレゼンでは地域学習センター事業の実績で加点され、結局Y社の勝利に終わったのである。
■わざと空席つくる談合疑惑
T社が一次審査で受託中の2施設ともに「資格なし」とされた昨年の指定管理者選考会において、もうひとつ驚いた出来事があった。
それは、指定管理者が募集された8施設のうち、ある1施設には、1社の応募もなかったことである。正確にいえば、1社のみ応募はあったものの、その会社が一次審査で失格となったために、完全空席で「応募なし」の扱いとなり、その施設のみ、また再度ゼロから指定管理者の募集がかけられる異例の事態になった。
応募なしだった問題の施設は従来、Y社が別のNPO法人との共同企業体(JV)として指定管理者となっていたから、これまで通りそのJVで再度応募してくると誰もが考えていた。しかしどういうわけか、この施設には応募せずY社単独でT社が受託している施設に応募したのだ。その後、結果的には再募集をかけられた施設は、JVが指定管理者に選定された。
ちなみに、もうひとつT社が指定管理者となっていた施設については、G社しか応募がなかったため、自動的にG社に決定。この会社は数年前、館長雇い止め事件を起こしており、そのときも区からはなんのお咎めもなしだったうえ、今回はT社の失態によって漁夫の利のごとく受託できたのだから、きっと笑いが止まらないだろう。
■誰が図書館を殺すのか
以上のような経過により、不祥事を起こした地元金属加工業のT社が退場した後、ガソリンスタンド運営のY社、バス修理業のG社、そしてスイミングスクール運営のM社の地元3社によって、足立区内の図書館併設センターを分け合う体制に変わった。
4社とも、本業はまったくの異業種からの参入だが、指定管理者制度が始まる以前の一部委託の時代から、図書館等の現場に人材を派遣(形式は請負だが)してきた業者たちだ。
善意に受け取れば、その時代に図書館等の運営ノウハウをみっちり培ってきたともいえるが、正社員をほとんど雇用してこなかった彼らが、どうやってノウハウを毎年蓄積していったのか、大いに疑問が残るところである。
公共図書館に求められている社会教育機関としての使命について、指定管理者となったこれら民間事業者の経営者がどれほど深い見識と高い関心を抱いているのかも、はなはだ心もとない。
一方で、低賃金のうえ、いつ切られるかわからない不安定な状態のなかでも誠実に働いている、図書館司書の人たちの個人的ながんばりを「民間委託の成果」と偽る役所のほうが、もしかしたら罪は深いのかもしれない。
人件費を低く抑えた分が、そっくりそのまま事業者の利益になるだけの民間委託は「無料貸本屋」はつくれても、地域の文化を育む公共図書館づくりは、どだい無理な話だと思うのは、果たして筆者だけだろうか。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)
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