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西原氏は日銀の追加緩和を受けて来年にかけて2万3000円を試すと予想。志摩氏は緩和が実施されたとしても効果薄で、2万円接近はあってもその後は下げると予想
カリスマトレーダーが[日経平均&ドル円]大予測!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151012-00063329-hbolz-bus_all
HARBOR BUSINESS Online 10月12日(月)9時21分配信
チャイナショック以降、下振れした日経平均、ドル/円相場が硬直状態にある。これは嵐の前の静けさなのか!? 2人のカリスマが今後の相場を徹底分析!
◆上がるの? 下がるの? カリスマトレーダーがズバリ断言
6〜7月と8月後半の2度にわたるチャイナショックの傷が癒えていないのか? 株、為替ともに大きな反発もないまま揉み合いが続いている。2万1000円到達間近だった日経平均は8月24日の“ブラックマンデー”で一時、1万7000円割れ寸前まで急落。以降、1万7500〜1万8500円のレンジで推移している。
同じくドル/円は一時6円もの急落を見せて116円台前半に到達。その後は118円50銭〜121円台前半というレンジで推移しているのだ。
さらに暴落の引き金となった中国の上海総合指数は4000ポイント超から3000ポイント割れまで急落した後、反発したものの、徐々に高値を切り下げる展開。どうも、相場を見る限り年内に、もうひと波乱ありそうなのだ。果たして、上か下か……相場のプロたちの見立てとは?
「基本はドル/円、日経平均ともに強気姿勢。日経平均は来年にかけて2万3000円までは上昇すると見ています」
こう話すのはシティバンクをはじめ、数々の外銀で為替部門のチーフディーラーを務めてきた西原宏一氏。強気姿勢の背景には、安倍政権の思惑が絡んでいるという。
「注目は10月7日と30日の日銀政策決定会合。このどちらかで、“黒田バズーカ3”が放たれる可能性が高い。昨年10月31日の“バズーカ2”では、国債買い取り枠を年間80兆円に拡大し、ETFの買い取り枠を3兆円に設定するサプライズ量的緩和で、大きく日経平均を押し上げることに成功しました。
安保法案成立の影響で支持率が低迷している安倍首相としては、なんとか株価を押し上げて、少しでも支持率を回復させたいところ。9月24日の会見でも『アベノミクス第2ステージ』入りを強調して、今後は経済最優先で取り組んでいくことをアピールしていました。その一つの手段が、さらなる量的緩和。10月中に実施されなくても、年内に緩和して株価を押し上げると予想しています」
9月24日の会見で安倍首相は具体的な数字を挙げて、経済対策を打ち出していくことを宣言した。名目GDP600兆円(’14年度は487兆円)の達成を目標に、「日本1億総活躍プランをつくる」とスピーチ。このアベノミクス第2弾発動の狼煙となるのが、黒田バズーカ3だというのだ。
が、さらなる量的緩和に懐疑的な見方をしているプロもいる。ゴールドマン・サックスやドイツ証券などの大手外資系金融機関で為替トレーダーを歴任し、かつて「相場を動かす」トレーダーとしてその名を轟かせた志摩力男氏が話す。
◆日銀の量的緩和後に円安トレンド終焉?
「’13年と’14年、2度の量的緩和で日銀はそれぞれ10円近く円安方向に相場を動かすことに成功しましたが、3度目ともなるとそれほどの効果はまず得られません。むしろ、『これで4度目はないな』ということで円高に向かう可能性もある。非常にシビアな成果が求められている状況で、簡単には緩和に踏み切れないと見ています。
そもそも、どう緩和するのか? 国債の買い取り枠を80兆円から100兆円に増やすとして、その買い取った国債をいつ、どう処理するのか? 出口戦略が見えないまま国債を買い続けたら、大きな損失を抱えるリスクが拡大するだけ。ETFの買い取り枠を3兆円から10兆円に拡大する可能性もありますが、これが実現したら多くの上場企業で日銀が大株主として登場する異常事態に発展しかねない。
安倍首相の会見で何ら具体的な経済対策が示されなかったことを考えると、仮に追加緩和が実施されてもその効果は限定的で、来年にかけてドル/円、日経平均ともに下値を模索する展開となる可能性のほうが高い。そうなると日経平均は年内1万9500円が高値の目安で、下は1万6500円まで落ち込む可能性もある」
実は、同様の懸念は西原氏も抱いている。「3回目の緩和は、ドル/円を4、5円押し上げる程度にとどまる」と見ているのだ。
◆新興国通貨は完全に売り目線
もちろん、外部要因も大きく相場を左右する可能性がある。最も注目を集めているのはFRB(米連邦準備制度理事会)の出方。
「9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では米国内のインフレ率の低迷を理由に9月の利上げを見送り、中国をはじめとした海外情勢を注視する必要がある、という“ハト派”の発言を繰り返しておきながら、24日にはイエレンFRB議長から『FOMC参加者の大半は年内利上げを見込んでいる』という“タカ派”の発言が飛び出しました。ここまで言うってことは、利上げは年内に実施するという意思表明でしょう。
しかし、来年にかけて2度、3度と利上げを継続できる状況にあるかというと、インフレ率がFOMCの目標を下回り続けていることを考えると怪しい。日銀のさらなる量的緩和の余地がなくなってきていることを考えても、一時的にドル/円は125円まで進む可能性もありますが、これで円安ドル高のトレンドは終焉。中期的には115円割れを試す円高トレンドに入っていると見ています」(志摩氏)」
一方、強気の西原氏は「中期的には128円まで上がる」と見ているが、欧州の動向次第で円高に振れるとも。
「昨年の日銀の量的緩和でユーロ/円は136円から150円まで上昇しましたが、今年1月のECB(欧州中央銀行)の量的緩和で、126円まで急落してしまいました。ECBが2度目の緩和に動くと、日銀の緩和が打ち消されることになりかねない」
両者の見方がきっかり一致している点もある。それは、新興国通貨の動向。西原氏は「中国の貪欲な消費、ガソリン・鉄鉱石需要に頼っていたのが崩れてきているうえに、アメリカの利上げで資金が流れにくくなっているので、トルコ、南アフリカ、豪州、ニュージランドといった新興国通貨は売り目線」と分析。
志摩氏はさらに「豪州は11月に利下げの可能性があります。高騰してきた不動産市況が不調となれば、中期的には豪ドルはかなり下げると思う」と予想するのだ。長期的には直近0.69の豪ドル/ドルだと0.5まで下げる可能性もあるという。
総合すると、両者に共通するのは、短期的に日経平均1万7000円割れは買い場となりそうだが、新興国通貨は売り推奨。さらに、欧州や中国次第でひと波乱ある、という見方。2人のプロトレーダーの見方を大いに参考にしてほしい。
【プロの見立て】
<西原氏>日経平均は来年2万3000円、ドル/円は128円へ
<志摩氏>日経平均は年内1万6500〜1万9500円。ドル/円は来年にかけて115円を目指す可能性も
【西原宏一氏】
シティバンクなどで為替部門のチーフトレーダー等を歴任した後、独立。現在、海外ヘッジファンドの動向などにも触れた有料メルマガが好評を博している
【志摩力男氏】
ゴールドマン・サックス等でプロップトレーダーを歴任した後、ヘッジファンドマネジャーを経て、独立。現在、有料メルマガで相場分析を配信中
取材・文/高城 泰(ミドルマン) 池垣 完(本誌) 図版/ミューズグラフィック)
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