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高級宴会禁止の弊害か、ビジネスの情報が取りにくくなっているとの指摘もある
中国ビジネスで生き残るための5つの鉄則 経済失速で高まるリスクを避けるには?
http://toyokeizai.net/articles/-/87690
2015年10月11日 中村 繁夫 :アドバンストマテリアルジャパン代表取締役社長 東洋経済
前回は反日感情の実体について書いた。今回は、中国経済が減速する中でトラブルを回避しビジネスで勝ち抜くためにはどうしたらいいのか。その心得をお伝えしよう。
■賄賂撲滅、高級宴会禁止が経済低迷の一因
コネが幅をきかせ、賄賂のやりとりが当たり前の社会と言われてきた中国。習近平政権は賄賂だけでなく、高級宴会を禁止しているが、中国における宴会は単に遊興目的だけにあるのではない。
53度と世界で最もアルコール度が高い白酒(バイチュー)は、お互いの距離感を縮めビジネスの活性化に役立っている面もある。高級宴会禁止令が出てからビジネスの裏情報が入手しづらくなったのか、何となくビジネスが低調になった気がしてならない。個人的には、毎晩の宴会責めから解放されて助かっているのだが――。
高級白酒代表のマオタイ酒の価格は一時250jをつけていたが、いまや半値八掛になっている。ニセのマオタイ用に80元で取引されていたマオタイ酒の空きビンがタダになったという、いかにも中国らしい裏話も聞く。高級酒を贈るのも一種の賄賂。裏市場で換金できるのだが、その裏市場も冷え込んでいるのだ。
習近平政権は賄賂漬けになった高級官僚などを逮捕してきたが、最近では行き過ぎて経済が低迷し始めているらしい。実際、私の関係しているレアメタルの工場などは、高級幹部が全員逮捕されたために経営に支障が出ている。共産党の目が光っているために新しい幹部も思い切った手が打てず、事業が下降線をたどっているのだ。
国民は、賄賂で私腹を肥やしてきた官僚たちが逮捕されるのを拍手喝采していたが、中には冤罪のケースもあり恐怖政治の様相も呈してきた。賄賂のやり取りというのは、誤解を恐れずにいえば一種の文化といえる面もあり、額が少なければ国民も問題にはしないのである。早い話が、賄賂はある種のマージン収入のようなもの。契約書に示せば取扱手数料だが、なぜか中国人は、袖の下やアンダーテーブルで決済するのが好きなのである。
最近の国民の反応は冷めたもので、「こんな状態は長続きしない」と思っている。習近平政権は、振り上げた拳のやり場に困っているのではないだろうか。
中国は、元の切り上げ輸出ドライブをかけなければGDP成長率を維持するのは困難なところまで追い込まれている。上海株式市場の株価暴落を受けて政府が大規模支援策を立ち上げた後も、市場の方向感が定まらず投資家の多くは様子見の姿勢を取っている。こうした金融市場の低迷ムードが、リアルなビジネスに影響を与えているのは言うまでもない。
■政治話にわざわざ突っ込まない
そこで、経済低迷によって多発するかもしれないトラブルを回避するための、「中国ビジネス心得5カ条」をまとめてみた。
第1条「中国人のメンツの文化を尊重すべし」
まずは、トラブルを未然に防ぐための心構えである。中国の「メンツ(面子)の文化」は日本の「恥の文化」でもなければ西洋の「罪の文化」でもない独特の規範である。
「メンツの文化」とは、自分の立場が無視されていないかどうかを気にする文化であり、「恥の文化」とは他人の目を気にする文化であり、「罪の文化」とは神が自分をどう見ているかを気にする文化である。大事なのは、それぞれの文化を尊重することである。
中国人がメンツにこだわるのは一種の中華思想の延長である。人前で罵倒されたり恥をかかされたりすると、いつまでも根に持つから要注意。とはいえ、度が過ぎる「メンツの文化」には付き合っていられないので、そこは「君子危きに近寄らず」だ。
商売がうまくいかず資金不足になると、取引相手に飲み食いをさせて「俺のメンツを立ててくれ」と泣きつかれることも増えるはずだ。景気が一気に冷え込んできたときは、”事故”の確率が高くなる。借金を申し込まれても、担保がない限り拒否すること。
第2条「経済合理性を優先したビジネスに特化せよ」
「郷に入れば郷に従え」で「政治談議よりも金儲けが大事」なのだから、政治話に頭を突っ込まないこと。歴史問題や靖国問題の話題が出たとしても、「私は戦後の生まれですからわかりません」と相手にしないほうが、もめなくてよい。
ビジネスの交渉では、けんかになっても「カネで解決」できるが、政治の世界では後を引く。「見ざる、言わざる、聞かざる」に越したことはない。まして反日運動や少数民族問題に義憤を感じて口出ししても、一銭の得にもならない。「触らぬ神に祟りなし」と割り切ること。
第3条「信頼しても信用するな」
理解しがたいかもしれないが、中国では「だまされるやつが悪い」と考えるのが一般的である。日本人の多くは交渉嫌いで相手を疑うことを知らない環境で育ってきているので、中国で日本にいるのと同じように振る舞っていると危険極まりない。日本人の道徳意識は通用しないのである。
日本人には「信頼関係至上主義」とみられる一面があり、「何でもOK」となりやすい。しかし、経済環境が変われば取引条件を見直すのが当たり前。仲のよい友だちだからといって「何でもOK」とせずに、「ビジネスはビジネス」と割り切ってシビアに対応すること。
バブルが本格的に崩壊しているのに「相手を信用して従来と同じ条件」でビジネスを続けて事故にあったとしても、「だまされるやつが悪い」と切って捨てられるだけ。信頼していた相手を恨んでも「覆水盆に返らず」である。
第4条「現場、現物、現実を旨とすべし」
3現主義による第1次情報に徹すべしということだ。トラブルで多いのは、「間接情報を鵜呑み」にして、思い込みで商売をするケース。私も幾度となく経済事故や詐欺事件に巻き込まれてきたが、3現主義に徹していればいずれも回避できたトラブルだった。
いわゆる「人を欺く文化」に対しては、注意の上にも注意が必要だ。中国における信用調査や他人の風評はほとんど役に立たない。うわさ話を信じて安易な取引を行っていると、現在のように経済環境が悪化したときに、詐欺にあったり債権回収が遅れたりということが頻発する。必ず「現場」に行って、「現物」を確認し、「現実」的な対応をする。リスクのない取引であるかどうか自ら確認すること。
第5条「日本人特有の主観的観念を捨てて客観的事実を重んずべし」
日本人の思い込みやあいまいさが、トラブルの原因となることも多い。なにしろ、契約書をよく読んでいない日本人が多い。欧米人やインド人は、契約書にすべて細かく盛り込んだうえでビジネスや交渉に臨むが、何故か日本人は契約書を軽く扱う傾向にある。欧米企業と比べて、中国企業との裁判で敗訴するケースが圧倒的に多いのは、契約書の不備が原因だ。
バブルの崩壊はこれからが本番である。中国政府はあの手この手で人為的な経済復活政策を打ち出すが、しょせん対症療法でしかない。長い時間をかけて膨れ上がったバブルは、弾けない限りさらに膨れ上がるし、抜本策を先延ばしにするほど悲惨な結果が待っている。リスクを抱えている企業ほど楽観的な情報だけを信じがちだが、客観的な事実を注視することだ。
以上、参考になっただろうか。トラブルに巻き込まれるのは、相手だけに非があるのではなく、自分たちにも落ち度があることを忘れてはいけない。私は、日本人と中国人は兄弟のような関係にあるとみている。ある時は日本が兄貴で、ある時は中国が兄貴というように、長年培ってきた歴史があり、それ故に「甘え」もある。
日本は成熟した民主国家でソフトパワーを発揮できる技術大国。中国は世界第2位の経済大国。両国の協力がアジア圏のみならず世界経済の発展に資するという使命感と覚悟を共有できれば、怖いものはない。
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