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労働者派遣「改正」に反対する派遣労働者
あの大企業の子会社、派遣社員の時給半分をピンハネ&解雇!違法雇用の横行許す裁判官!
http://biz-journal.jp/2015/10/post_11902.html
2015.10.11 文=北健一/ジャーナリスト Business Journal
9月30日、当事者たちの声を無視して改正労働者派遣法が施行された。同一労働同一賃金の原則もないまま、人さえ取り替えればいつまでも派遣を使えるようにしたこの「改正」によって、日本の雇用は底が抜けかねない。
この改正のデタラメさは、日本労働弁護団の声明をはじめ多くの指摘の通りだが、派遣・請負で働く人の権利を脅かすのは、政府・与党ばかりではない。「もう、ほんとうに勝てない。ほとんどまったく勝てない」とベテラン労働弁護士が嘆くように、「冷たい司法」もまた、権利を阻む壁になっている。
実例は枚挙に暇がないが、典型のひとつがDNPファイン二重偽装請負・解雇事件である。3月25日、さいたま地裁(志田原信三裁判長)は、二重偽装請負のあげく解雇された労働者、橋場恒幸さんの訴えをすべて退ける判決を言い渡した。派遣労働者が大企業に負けるのは珍しくもなく報道も微々たるものだったが、判決には重大な問題が潜んでいる。たとえていえば、「泥棒は違法だが、泥棒した財産はすべて泥棒がもらってよく、被害者には全然償わなくていい」とでもいうべき理屈になっているからだ。
DNPファインとは、日本を代表する印刷会社・大日本印刷(DNP)の100%子会社だ。事件のきっかけは、同社の工場で二重偽装請負で働かされていた橋場恒幸さん(50歳)がクビ切りされたこと。橋場さんの実質上の雇用主はDNPファインだったが、「書類上の雇用主」は日本ユニ・デバイス。ユニとDNPファインのあいだに、もう一社DNPミクロテクニカという会社が入り、DNPファインが払っていた2100円の時給を二重にピンハネ。橋場さんは1060円しか受け取っていなかった。
二重偽装請負は職業安定法44条(人出し業の禁止)に、賃金のピンハネは労働基準法6条(中間搾取の禁止)に違反する。「派遣法の生みの親」と呼ばれた信州大学の高梨昌名誉教授(故人)は生前、筆者の取材に「ぼくは、偽装請負は逮捕すべきだと労働省(現・厚生労働省)に言ってきた」と明かした。偽装請負・中間搾取は刑事罰もある“犯罪”ともいえる。
埼玉労働局は立ち入り調査の結果、偽装請負を認定。DNPファインは是正を約束するが、橋場さんが解雇撤回を求めて起こした裁判では手の平を返して違法を否定。「法違反の程度は軽い」「偽装請負があった場合となかった場合とでは……原告(橋場さん)が得られる利益に差はなく、損害は生じない」などと強弁。違法な働かせ方を居直った。さいたま地裁は5年にわたる審理を通じて事実を解明。職安法44条と労基法6条の違反を明快に認定。DNPファインなどの違法行為を断罪した。
DNPファインは、朝礼、業務指示はもちろん、偽装請負で使っていた労働者のスキルを5段階で評価し、ファイン社員・偽装請負労働者混成の班を編成し、有給休暇を許可し、QCサークルにも参加させていた(いずれも判決の認定)。契約書ではなく実態を見る限り、DNPファインが橋場さんらの事実上の雇用主であったことは明らかだ。
■矛盾する判決
ところが判決は、募集・採用業務をユニがやっていたこと、ユニとDNPファイン、DNPミクロは別会社であり、ユニはファインやミクロに労働者を送るために設立されたわけではないこと、橋場さんらに対するリーマンショック後の整理解雇は「ユニ独自の人事に関する判断」だったことなどを挙げ、DNPファインと橋場さんとの雇用関係を否定した。
だが、この評価は説得的ではない。
ユニは橋場さんらを労働者供給していた当時、ほぼDNPファイン向け専門の人出し業となっていた。リーマンショック後の解雇も、DNPファインがDNPミクロとの、DNPミクロがユニとの契約を切ると通告し、「下」の業者はいいなりに応じ「独自の判断」の形跡すらなく橋場さんらを切った。
判決は労基法6条違反の中間搾取を認定しながら、「ミクロにおける人員募集や雇用管理等の経費も含めての金額であった」などと根拠もなく「推認」して違法ピンハネ業者をかばっている。DNPファインが1時間あたりの委託労務単価2100円で出した仕事を、DNPミクロは1500円でユニにおろし、ユニは橋場さんらに1060円しか払っていなかったにもかかわらず、このピンハネを橋場さんの損害とは認めなかった。
その結果、判決はDNPファインとDNPミクロ、ユニという会社は違法な中間搾取をして稼いだが、その違法収益は全部そのまま会社がもらって構わず、違法な搾取を受け突然クビになった労働者は何の救済も受けられない、という結論を導いた。これは、「泥棒は違法だが泥棒委託契約は契約として有効であり、泥棒するにもあれこれ費用がかかるのだから、何も被害者に返す必要はない」というのと変わらない。あまりに非常識ではないか。
■偽装工作
DNPファインはDNPミクロに、DNPミクロはユニに「人出し」を頼んでいる。みかけはともかく、実質において寄せ場の手配師と変わらない。少なくともDNPファインとDNPミクロ側には、こうしたやり方がヤバいという認識があったのだろう。人出し単価を「時給」で設定しながら、発注書上はそのことを隠し、払うべき金額(時給単価×就労時間)を1パネルあたり85円の数量単価で割り戻し、「割り戻した数量分のパネルを発注したかのような外観にしていた」(判決)。違法な偽装請負・中間搾取を隠すための「偽装工作」と考えられる。
偽装を見破って重大な違法を認定しながら、最後の最後で被害者を突き放す。裁判官は、いったい何に遠慮しているのか。あるいは怯えているのだろうか。
大手派遣会社パソナの前で行われた派遣法「改正」反対行動で、橋場さんはこう訴えた。「派遣や請負で使い捨てられた若者が、戦争法(安保法制)によって戦地に送られるようなことにならないか、心配です」。
法律にも不備があるのだろう。だが、裁判官もひどすぎないか。派遣・請負をめぐる裁判を取材するたび、その感が募る。
(文=北健一/ジャーナリスト)
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