http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/412.html
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※ 参照投稿
「財務省は消費税増税崇拝者でもなければ財政再建至上主義者でもない:安倍政権は所得再分配強化のリベラルな所得税改革に動く」
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/465.html
「安倍政権支持率回復の秘策は「消費税増税再延期」の是非を問うかたちでの来年7月“衆参同時選挙”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/463.html
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2015年10月09日 (金) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「"GDP600兆円"内閣の課題」
竹田 忠 解説委員
「経済最優先」。今度は信じていいんでしょうか?
「一億総活躍社会」を掲げて発足した第3次安倍改造内閣。安倍総理は、その実現に向けて、GDP・国内総生産を600兆円に引き上げることを柱とする、新たな三本の矢を打ち出しました。文字通り、景気のいいスローガンなのか、それとも、そこに近づくための具体的な目標なのか?GDP600兆円内閣の課題を考えます。
▼新3本の矢は「的」?
安倍総理の言う、新たな3本の矢。それは第1の矢が、強い経済。具体的には、2020年ごろに、GDPを600兆円に拡大する。直近は、490兆円ですので、日本の経済を今より2割大きくすることになります。
第2の矢が、子育て支援。具体的には出生率を、直近の1.42から、2020年代なかばに1.8に引き上げる。
そして第3の矢が、社会保障。具体的には、親などの介護で仕事を辞めざるを得ない「介護離職」。現在年間10万人にものぼるこの介護離職者を2020年代初頭までにゼロにするとしています。
安倍総理は、この新3本の矢をアベノミクスの新たな旗印にしたい考えですが、実は経済界などからは、今回の3本の矢は、わかりにくい。前回と比べて、よくわからない、という反応が出ています。
なぜ、わかりいくいのか、従来の3本の矢と比較してみます。従来の矢は、経済再生を達成するため、まず、金融緩和と財政出動という二つの矢で、デフレ脱却の環境を整え、お金がまわるようにする。
その上で、3つ目の成長戦略で、民間企業を中心に、経済を力強く成長させる、という組み立てになっています。まさに、経済再生という的を射るための手段が、3本の矢になっているわけです。
一方、今回の新・3本の矢を見てみると、形としては、1億総活躍社会という新たな的を射るために新三本の矢がある、という位置づけになっています。
しかし、その中味はというと、GDP600兆円にしても、出生率1.8にしても、そして、介護離職ゼロにしても、これはいずれも手段ではありません。明らかに目標です。それも非常に大きな目標です。ということは、新・3本の矢というのは、実は「矢」ではなく、むしろ「的」ということになります。
一億総活躍社会という抽象的で大きな的を、もう少しわかりやすくすると、三つの具体的な的になる、ということではないでしょうか?では、新三本の矢が、実は的だとすると、その的を射る矢は、一体どこにあるんでしょうか?
そこはやはり、従来からある三本の矢、とりわけ、まだ形がはっきり見えていない成長戦略にもっとがんばってもらって、こちらの的も狙ってもらうしかない、ということでしょうか。そして、その後は、少し時間がかかりますが、これから開催するという国民会議で、新たな具体策、つまり新たな矢を急いで準備する、という流れになると思われます。
いずれにしても、やはり、重要なのは、従来からある三本の矢であって、中でも、とりわけ成長戦略を実現することが、いっそう急がれる。そういうことになりそうです。
▼実現に向けた課題は?
では、そうしたことを踏まえた上で、今回新たに提示された新3本の矢の目標には、それぞれどういう課題があるのか、見てみたいと思います。
まず、GDP600兆円。これは、内閣府の試算によると、出来ない話しではない、というんですね。どういうことかというと、2014年度の名目GDPおよそ490兆円。これが、今後、実質2%、名目3%以上で成長が続けば、2020年度には、594兆円、およそ600兆円に達することが可能だとしています。
しかし現実はどうでしょうか?第二次安倍政権発足後の実質成長率は、2013年度こそ、2.1%でしたが、14年度はマイナス0.9%、直近の今年4月から6月期の実質GDPは年率換算でマイナス1.2%に落ち込んでいます。このため、日本商工会議所や経済同友会などからは、現実的には難しいという懐疑的な声があがっています。
それでも、高い成長を狙おうとすれば、たとえば農業や医療などの岩盤規制を打破する大胆な構造改革が必要ということになります。来年夏の参議院選挙を前にどこまで痛みを伴う改革ができるのか、大きな課題となります。
▼所得再分配の意義
一方、新3本の矢のうち、第2と第3には、これまで目指していたものとは、大きく異なるところがあります。
どういうことかといいますと、従来の三本の矢は、経済全体のパイを大きくすることを目指すものでした。それに対し、この二つは、そのパイをどう分配するのか、つまり、限られた財源を、本当に困っている人にどれだけ振り向けることができるかという、「所得再分配」の意味を持っています。
格差や貧困問題が大きな課題となる中で、これまでの三本の矢では、明確ではなかった所得再分配がキチンと位置づけられたことは大きな意味があると私は思います。
しかし、所得の再分配には、多額の財源が必要になります。例えば、この出生率。ここでいう希望出生率というのは、若い世代が希望通りに子供をもった場合に想定される出生率のことです。今回はこれを1.8に引き上げようとしているわけですが、実際の出生率は、2014年で1.42。大きな開きがあります。
安倍総理は、この対策の一つとして、幼児教育の無償化の拡大をあげますが、この話しは、これまで何度も話しが出ては財源不足のために、結局、見送られてきたものです。
また、政府は、保育所などの定員を増やすため、まず、保育士の配置を手厚くする計画を立てていますが、これも財源がハッキリしていません。
一方、介護離職ゼロはどうでしょうか?親などの介護で仕事を辞めざるを得ない「介護離職者」は、年間10万人前後にのぼります。今後、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、働き盛りの人たちの介護離職が更に増えるとみられています。総理は、このままでは「経済社会が成り立たなくなる」と危機感を強めています。
しかし、介護の施設も、そして、そこで働く介護人材も不足しています。まず、緊急に必要なのは、介護職員の待遇改善です。全産業平均よりも月10万円低い、待遇の改善が必要です。しかし、これも財源のメドがたっていません。
▼社会保障と雇用の一体改革を!
さらに、この出生率と、介護の問題に共通しているもう一つのポイントがあります。それは、働き方改革、雇用改革の必要性です。育児をする人や、家族の介護をする人が、もっと働きやすい雇用環境を広めないといけません。短時間労働や、在宅勤務、長く休んだ後の復職のありかたなど、様々な検討が必要です。
政府にとって、最大の課題の一つは、膨れ上がる一方の社会保障費をどう抑制するかということです。社会保障費全体の伸びを抑えながら、子育て支援や、介護に、限られた財源をあてるためには、年金や医療も含めた社会保障全体の仕組みを見直すことが必要です。
経済的に余裕のある人には、より多くを負担してもらったり、逆にサービスをガマンしてもらったりしてその分を本当に必要なひとにまわす、そういうことが必要になります。
社会保障と雇用の大きな一体改革が政権にとっての大きな課題となってくると思います。
(竹田 忠 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/229061.html
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