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和民の店舗(「Wikipedia」より/Asanagi)
恐らくワタミの復活は「ない」と考えられる理由 「外食業界の星」はなぜ没落したのか?
http://biz-journal.jp/2015/10/post_11891.html
2015.10.10 文=山口芳生/ジャーナリスト Business Journal
ワタミは2日、将来の中核事業のひとつに据えていた介護事業を損保ジャパン日本興亜ホールディングスへ210億円で売却すると発表し、注目を集めた。
そのワタミの業績は厳しい状況が続いている。2015年3月期連結決算では、宅食・介護事業も厳しかったが、大きく落ち込んだのはやはり国内外食事業。14年同期は売上高699億円で19億1000万円の営業赤字だったが、15年同期には602億7000万円と売上高が減少、営業赤字は36億9000万円まで広がっている。
既存店通年実績を見ると、前期比では売上高93.4%。客単価は100.4%と横ばいながら、客数が93%と落ち込んだのが響いた。全店合計でも撤退が続いたため87.8%と大きく落としている。ちなみに期初641店だった国内店舗数は、期末段階では555店と100店近く減っている。
業態別ではやはり「和民」「坐・和民」というこれまで同グループを牽引してきた総合居酒屋業態の落ち込みが顕著だ。14年3月の実績でも、「わたみん家」「炭の鳥子」合計が前年同期比94.7%だったのに対して、「和民」「坐・和民」合計は91.4%と、大きく売り上げを落としているのである。
競合する「鳥貴族」や「串カツ田中」など専門店業態は伸びながら、総合居酒屋業態は苦戦するという居酒屋業界の構図がそのまま現れているわけだが、それにしても10年前にはあれだけもてはやされていた和民がここまで落ち込むとは、業界関係者は考えもしなかっただろう。それぐらい、和民は居酒屋業界における希望の星だった。
■革新的だったワタミ
80年代に盛り上がり、すぐに終焉を迎えた居酒屋ブームを再燃させたのがこの和民だった。最初のブームを形成した先行チェーンは、メーカー製造の冷凍食品を活用したコールドチェーンシステムで急速展開を実現。個人店生業店のものであった居酒屋のマーケットを一気に獲得した。
これに対して92年4月に東京・笹塚で開業した和民は、手づくりの料理を全面に打ち出し、サラリーマンや学生といったこれまでの居酒屋主客層だけでなく、ファミリーという新しい客層の獲得をめざした。ファミリーをターゲットにした居酒屋は今でこそ珍しいものではなくなったが、はっきり打ち出したのは和民だったのだ。
ただし、社員が手づくりしていたのではコールドチェーンの生産性には太刀打ちできない。
手づくりで生産性を高めるにはどうすればいいのか。
ワタミ創業者である渡邉美樹氏が師匠である石井誠二氏から学んだのは、主婦の力を活用することだった。例えば、刺し身の端材を別の料理に利用するなど、家庭で調理している時に当たり前のように行なっている主婦の知恵を取り入れたのである。一時期は2000人の主婦を束ね、手づくりとチェーン化の両立を図ったのである。
このまま「家庭の食卓」をめざしていたら、ここまでの店数になっていたかは別にして、和民は今でも消費者の支持は得ていたのではないか。
■「家庭の食卓」から遠のいてしまった
しかし、競争を意識し、商品にグレード感を求めるようになって、和民の商品構成は家庭の食卓とはかけ離れていった。マーチャンダイジング力も備わっただけに、いい食材を手に入れられるようになったこともそれを促した。
だが、消費者は大衆居酒屋にそこまでを求めない。素材を活かせる技術が各店舗段階までは浸透していないから、せっかくの食材の魅力も損ねてしまう。
さらに追い打ちをかけたのが、ブラック企業のイメージだ。新しいステージを迎えたのなら、新しい和民を再構築しなければならないが、その前に企業イメージの悪化が重なり、和民は消費者の選択肢から外れていった。
ワタミグループでは今年4月から、人気の日本酒「獺祭」のシリーズ商品である「獺祭 等外」を和民、坐・和民、わたみん家で発売。これを集客の目玉と考えていたようだが、和民に日本酒を飲みに行こうと考える消費者がどれだけいるだろうか。飲むのであれば、専門店に行こうと考えるのが現在の消費者だ。これまで和民が投入してきたアッパー志向の商品・食材についても同じことだ。
それを理解せず、こういう商品開発をしている限りは、和民ブランドの復活はないだろう。
(文=山口芳生/ジャーナリスト)
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