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わかばやし・えいし●1966年、京都大学法学部卒業、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。同行ニューヨーク支店為替次長などを経て、ファイナンシャル・コンサルタントとして独立。近著に『異次元経済?金利0(ゼロ)の世界』(集英社刊)。
"伝説のディーラー"が予想! 「円高進み株価は目先1万2500円懸念も、20年に3万円へ」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151007-00087179-shikiho-biz
会社四季報オンライン 10月7日(水)17時6分配信
ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ代表取締役の若林栄四氏は、「伝説のディーラー」として為替市場の関係者の間では有名な人物だ。黄金分割とペンタゴン(正五角形)を用いた独自のチャート分析で、「2012年2月に1ドル=74円をつけて円高局面は終わる」と事前に予測、ほぼ的中したことでも知られる(実際の相場は11年10月の75円台と12年2月の76円台のダブルボトムとなった)。その若林氏が予測する相場展開は。
――年初から若林さんは、米国の利上げどころか米国株急落と米国のデフレ入りを予想していました。今後の相場展開についてはどのような見通しを持たれていますか。
まず米国の株価について言うと、ダウ平均株価が景気先行き不安から10月中に、足元の1万6000ドル前後から1万5000ドルを切るところまで下がるとみている。その後、12月にかけていったん値を戻す。だが、そこから来年初めには1万1000ドルくらいまでの第2弾の下げがやってくる。FRB(米国連邦準備制度理事会)は利上げなどできないはずだ。
日本にも当然影響は及ぶ。円高が進み、日経平均株価も下がる。
ドル円は1ドル=100円が抵抗線になりそうだが、93円程度までの円高は十分ありえる。75円から125円台まで進んだ今回の円安相場は、いったん終わったと見ていい。昨年10月末の日本銀行の追加緩和後に進んだ円安はあまりにもスピードが速すぎた。「相場のスピードが速くなったら終わり」、あるいは「終わりに近づいたら速くなる」というのは相場の鉄則だ。
日経平均の下落は1万2500円くらいでとどまるならいい。1万円の大台割れも覚悟しておくべきかもしれない。株式市場などの市場関係者の心理に訴えるアナウンス効果はあったものの、本源的にはほとんど効果があるとは考えられない量的緩和策の「化けの皮」が剥がれてくるということだ。
結局のところ、FRBや日銀など中央銀行の金融政策には平時のように景気を刺激する効果がほとんどなかった。今、米国の利上げ開始をめぐって市場関係者が右往左往しているが、それも「ばか騒ぎ」にすぎない。
■ 日本以外は「株式の死」の時代に入る
――ダウ平均が1万1000ドルという水準は、今年3月の高値1万8000ドル台からすると約4割の下落となります。そこまでの調整がこれから起こるということですか?
過去120年間、米国株は20%超の調整なしに62カ月以上上昇したことがなかった。それが09年3月から始まった今回の上昇相場は、62カ月を超えて予想以上に持続した。
相場と経済は一定の波動を示す。上がりすぎると下がり、下がりすぎると上がる。本来調整すべきところを頑張れば頑張るほど、後で悪い状況が訪れるのが相場というものだ。
一方、米国の長期金利には40年周期の波動が見られる。1941年から81年までは金利が上がり続けたが、今は81年から2020年過ぎまでの金利低下局面にあると見ている。現在進行中のマーケットの動乱も米国がデフレに突入する前触れと考えている。
71年のニクソンショック以降、金(ゴールド)の裏付けを持たない通貨となったドルというマネーの膨張と80年代以降の金融業の肥大化によって、ここ40年のインフレ局面が形成された。それが終わり、膨張したマネーと高騰した資産価格があるべき水準へと戻る過程にあるわけだ。
この間は株価も低迷するだろう。ダウ平均は73年に当時の高値をつけた後、翌年にかけて4割超も下がった。その後、80年代に入るまで「デス・オブ・エクイティ(株式の死)」と呼ばれる時代を迎え、73年の高値を上回ることはなかった。
これからは同じことが起きる。ただ、日本は長期デフレを先に経験し脱却した国として注目され、行き場を失った世界の資金が日本株に流れ込むと考えている。
――日本はデフレから脱却していると?
それが私の判断。経済の先行きを示す為替や株価の波動が、そろって11年に転換点を迎えたことからそういえる。
加えて、米国など世界は今後デフレに突入していく一方で、原油の暴落など日本経済にとってのメリットも生じる。自分たちはもうこれ以上デフレにならないというのは最高の状態だ。
今後にもつながる世界デフレの始まりだといえるリーマンショック直後の08年10月に、底を打った資産市場が2つあった。それは日本株と金だ(日経平均は08年10月28日に6994.9円の安値)。
世界デフレが明らかとなる中で先進国のファンドマネージャーは何で運用すればいいのか悩むことになるが、少し時間を経た後に投資先は日本株か金くらいしかないと気づくだろう。それがわかるまでは日本株も一緒になって下落するので、みんな苦労する。
■ 20年ごろには日経平均3万円も
――過去、若林さんがここまで日本株に強気になったことはないのでは?
確かにあまりない。ただ、その前に株価急落があるとみている。日銀のETF(株価指数連動型投資信託)買いや、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資産構成見直しに伴う日本株買いが「クジラ」ともてはやされた。こういった需給の話はみんなにわかりやすいが、このような話が出たら相場は終わり。今回のようにはしゃぎすぎると反動も大きい。
日本株は17年1月ごろに底を形成してから、上昇へと転じるだろう。日経平均は2万1000円の節目を超えたらダッと上がっていくと考えている。米国がデフレから抜け出す20年ごろに、2万8000〜3万円に達しているのではないか。なお、金は20年に1トロイオンス(約31.1グラム)当たり2070ドルと予想している。
相場を需給論で考える人は多いが、相場というのは誰かが買うから上がるのではなく、上がるから誰かが買うもの。私に言わせれば需給など無視していい。
ドル円については、少なくとも今回つけた1ドル=125円という円安は当分ないだろう。株急落が落ち着き、円高が一服しても上限は110円くらいとみている。
(聞き手:『週刊東洋経済』編集部 緒方欽一)
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
緒方 欽一
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