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〔AFPBB News〕中国・上海の証券会社で、株価を見て頭を抱える男性(2015年8月26日撮影)
中国株暴落を語る中国人エコノミストの苦悩 情報統制をしている限り、永久に金融大国にはなれない
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44869
2015.10.7 川島 博之 JBpress
先日、中国で保険金を運用する会社に勤める友人に東京で会った。その友人のボヤキからは、現在、中国金融界が置かれている状況をうかがい知ることができる。
■中国株暴落の裏側
──中国株が暴落したね。大丈夫かい?
「会社の金は、そんなに多く株式市場に突っ込んでいなかったから大丈夫。だけど、個人的には儲けそこなったよ」
──個人でも株を買っていたのかい?
「そんなに大きな金額ではないが、自分でも買っていたのさ。不動産市況が低迷し始めたから、不動産に流れ込んでいたお金が株に流れると読んだ。昨年の11月、上海株式指数はまだ2000の大台。そこで仕込んだ。ここまでは大成功。
その後、夏に5500にまで上昇した時に売ればよかったのだが、売るチャンスを逸してしまった。もう少し、上がると思っていたよ。売り損ねてしまったから今でも持っているよ。まあ、損はしていないけど、儲けるチャンスを逸したのは悔しいね」
──プロでも、相場を見誤るということだね。
「中国の機関投資会社の能力はそんなに高くない」
──どうして?
「運用を始めてまだ日が浅い。経験がないのさ。そもそも、庶民が保険に入り始めたのは最近のこと。アメリカや日本では保険が発達しているだろうけど、中国ではこれまで庶民が保険に入ることはなかった。
お金が余れば、保険として“金(GOLD)”を買っていたんだ。国が乱れた時代が長かったからね。内戦の時代は“金”を壁に塗り込んで隠したりしていたんだよ」
──日本とはずいぶん違うね。
「まあ“金”も買ったけど、全てを“金”として持っているのでは不便だから、庶民は余ったお金を銀行に預けた。そして、そのお金は工場の建設や土木工事のために貸し出されていた。間接金融だね。そのために、集めた資金をプロが運用する場面は少なかったんだ。中国の金融部門は日本より20年は遅れている。アメリカより40年というところかな」
■株は賭博! 風水頼みの庶民株主
──今回、株を買っていたのは機関投資家ではなかったんだね。
「庶民が買ったのさ。まあ、金持ちも買ったけど、それほど豊かでない人も買ったね。中国人は賭博が好きだから、株を賭博だと思っている」
──投資ではないんだね。
「そう、風水に頼って買ったりする。だから、相場がめちゃくちゃに動く」
──それが、暴騰した理由ということかい?
「PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)、PBR(Price Book-Value Ratio:株価純資産倍率)、庶民にはそんな数字は分からない。噂や“占いのお告げ”で株を買ったのさ。そのようなものが急速に広まるところに、中国の恐ろしさがある。
一時、上海の時価総額は東京よりも高くなった。たった半年で時価総額が2倍だよ。太平天国や義和団の乱ではないが、中国の庶民がムードに流されると、世の中が大きく変わる。当局が警戒するわけだね」
──君もその動きを読めなかったとうわけか。
「ああ、庶民の気持ちを読むことは難しい。庶民はちょっとしたことで強気になる。そして、ほんのちょっとしたことでも弱気になる。この夏は総崩れだった。プロはついて行けないよ」
──今後の見通しはどうだい?
「まあ、しばらくは今年の高値に戻ることはないだろうね。ただ、バブル崩壊後の日本政府と同じで、中国政府もPKO(Price Keeping Operation: 政府による価格維持、Peace Keeping Operation:国連の平和維持をもじられた言葉)に熱心だから、上海指数が3000を大きく割り込むことはないと思っている。一時的に4000ぐらいに戻ったら、その時に売るつもりだ」
──なかなか強気にはなれないのだね
「そうでもないよ。中長期を見れば株式市場の重要性は高まっている。中国政府は日本の国民健康保険のような制度を作ることはできないから、私的な保険を勧めている。次の20年間、中国の保険業界は大躍進するね。だから、株に向かうお金も増える。長い目で見れば、株価も上がるよ。そして、それを運用する機関投資家の役割は今後ますます重要になるはずだ」
■情報統制が市場分析を阻む
──まさに君の仕事の重要性が増すわけだね
「ああ。だけど悩みも多い。中国の金融市場がニューヨーク、ロンドン、東京のように成長するには障害が多すぎる」
──“障害”ってなんだい?
「情報統制さ。中国の企業の約4割は国営。国営企業ではなくとも、共産党の息のかかった企業は多い。その業績が正直に発表されているとは思えない。共産党は、今後、国営企業の民営化を進めると言っているけど、IPO(Initial Public Offering新規公開株、新規上場株式)をするにしても情報が少ないね。
これまで20年は右上がりの経済が続いていたから良かったけど、今後、右上がりが続くことはない。機関投資家は企業業績を慎重に分析しなければならないが、隠されている部分が多すぎる」
──分析をしようにも信頼に足るデータがないのだね。
「情報統制が及ぶのは企業業績だけではないよ。今やネットで世界の情報を集めることは常識だろう? しかし、中国でグーグルは使えない。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、それに先生が書いているJBpressの記事を読もうと思っても、当局のチェックが入るから画面が出るまでに数分かかる。つながらないことも多い。
温家宝の汚職の記事がニューヨーク・タイムズに載ったことがあるだろう。あのような記事を国民に見せたくないから、過剰に統制しているんだ。そのために、中国の機関投資家は世界の情報に疎くなってしまった」
──世界に乗り遅れると言うのだね。
「“行け行けどんどん”でやって来られた時代は終わった。これからは冷静な分析が必要になる。政府は「新常態」と言って新しい時代を築くと言っているけど、ネットの閲覧を制限しているようでは、新たな時代は遠いね。中国の機関投資家は情報に飢えている」
──だから時々東京に来ているんだね。
「ああ、東京のホテルは快適だよ。どんなサイトでも直ぐにつながる。東京にいると先進国を実感するね。まあ、中国人である俺が言うのもおかしいけれど、中国の金融界が世界に伍していくには時間がかかるだろうね。
金融は情報産業だ。だが、中国ではインターネットがつながりにくい。それが金融界に住む人にとってどんなに不自由か、日本にいると実感できないだろう。
閲覧制限は中国の発展を阻害する。この辺り、もう数年すれば中国でも問題になると思うよ。共産党のジレンマだね」
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