★阿修羅♪ > 経世済民101 > 321.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
世界市場混乱の真犯人は資源バブル崩壊だ 中国経済の質的変化がもたらす真の意味(東洋経済)
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/321.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 10 月 07 日 11:43:00: igsppGRN/E9PQ
 

巨大な消費市場として成熟化していく中国。内需サービスを提供する企業にとって中国ビジネスはこれからが本番だ


世界市場混乱の真犯人は資源バブル崩壊だ 中国経済の質的変化がもたらす真の意味
http://toyokeizai.net/articles/-/87283
2015年10月07日 小幡 績 :慶應義塾大学准教授 東洋経済


8月から世界の株式市場が混乱している。そして、この原因は上海と深センの株式市場の暴落と中国経済の失速にあるとされている。

これは間違いだ。中国が原因で世界の株式市場が暴落したのではない。真犯人は別にいる。そして、今後の株式市場はこの真犯人の動向による。

まず中国経済についてだが、不動産市場は再度大きな調整が入る可能性が高い。崩壊すればまた別の大事件となり、今回のような下落では済まない。中国経済は最大の危機を迎えるだろう。では不動産市場が崩壊しない間はどうか。実体経済は順調だから、株価が一直線に下落していくわけではない。

中国の実体経済は転換点を迎え、高度成長期から成熟経済期への移行過程にある。2003年までは日本の1960年代と同様、都市部と農村部の二重構造を背景に高成長を実現してきた。農村部の過剰労働力が都市部に流れ込み生産力を増大させつつ、労働力の継続的な流入により賃金上昇を抑えてきた。大幅な賃金上昇による高インフレなしに、継続的な高成長を実現することができたのだ。

これは単純な量的拡大である。二重構造を持った経済であれば、構造的に自然に実現する。その際、政策として重要なことは、無駄に経済を過熱させたりその反動で落ち込ませたりしないように、インフレを予防し物価を安定させること。そして外貨を十分に確保し、通貨の安定性を確保すること。物価も為替も要は通貨価値であり、通貨価値の保全がもっとも重要なのだ。

■3カ所で発生した中国経済バブル

21世紀に入り、この二重構造は消滅した。内陸部から沿岸部への労働力の供給がほぼ終了したのである。賃金は目に見えて上がり始めた。もはや中国は安くはない。そう言われ始め、中国を低コスト生産基地として利用していた企業は、ベトナム、バングラデシュ、カンボジアとその基地を移動させていった。

しかし、これは中国にとって悪いことではなかった。二重構造は外部にとっては消滅だが、内部にとっては解消だ。全土的な成長が本格化し、沿岸部で豊かになった労働者は消費者としても重要な存在となり、巨大な購買力として登場したのである。内陸部と沿岸部との所得格差は国内政治的には問題だが、経済的には内需主導の始まり。成熟経済の仲間入りを始めたのだ。

世界にとって中国経済の重要性が真に高まったのはこれ以降。中国は世界の工場から世界の消費地に発展したことで、需要不足に悩む世界経済の不況を一気に構造的に救うことになった。景気循環における不況を構造的に救うというのは論理矛盾だが、世界は過熱した。中国経済バブルである。

このバブルは3カ所で起きた。1つは中国消費向けへの生産、2つめは天然資源、穀物などの商品、3つめは中国不動産である。リーマンショック前に起きた欧米の金融バブルと重なったため、相乗効果でバブルが膨らんだ側面もあるが、それ以上にやっかいなのは、3つが本来は単純なバブルであるにもかかわらず、わかりにくくなり人々の認識の盲点となったことである。現在の世界の株式市場の混乱は、この3つのバブルの崩壊によるものなのだ。 

ならば、やはり中国が犯人ではないか、と言われそうである。そうなのだが、そうではない。中国が犯人となると、中国の経済成長率であり上海株式市場だ、ということになる。上海株が下がれば世界の株価が下がる、というロジックでの連想ゲームが始まり、世界中の投資家がかたずをのんで日本時間で午前10時半の上海の寄り付きを見守る、ということになる。しかし、これは間違いだ。

この誤解から、一時的に日本市場が上海市場に連動したが、意図的な誤解、確信犯により作られたストーリーと仕掛けだ。実際、混乱のピークであった8月末以外、中国の株式市場は世界の株式市場と連動していない。

■資源バブル崩壊こそ大混乱の真犯人だ

理由は単純で、中国の株式市場と世界の株式市場では、主要な投資家が異なるからだ。中国で個人や非金融部門の企業が損失を出しても、その財務的窮地、投げ売りのスピルオーバーは世界に広がらない。中国での売りが世界での売りを呼ぶ展開にはならないのである。あるのは唯一妄想だけ。中国バブル崩壊で世界バブルも崩壊するという妄想連想ゲームが起きた場合であり、日本だけで部分的に発生した。

中国不動産バブルが本格的に崩壊すれば、世界に大きな影響を与える。リスク資産市場の損失だけに留まらず、中国国内の銀行、金融システムに大きなダメージを与え、非不動産部門に広がるからである。中国実体経済は長期にわたり停滞し消費も崩れ、世界経済も停滞するだろう。

これは将来確実に起こる大きな危機であり、サブプライム危機同様、わかっていながら実際にはじけるとみながショックを受け、大きなダメージを受ける。ただし見誤ってはいけない。サブプライム危機におけるサブプライムは単なる象徴で、世界的に壮大なリスク資産バブルが起きていたことが主因だった。サブプライム自体は真犯人ではなかったのである。

中国不動産バブル崩壊が与える世界への影響は、パニックや金融市場崩壊とは異なり実体経済を経由するため、重い危機ではあるものの、冷静に対応すればコントロールは可能だろう。そのコストが多大だというだけだ。

さて、今回の危機の真犯人は誰か。それは、資源バブル崩壊に尽きる。米国のシェールガス関連ジャンク債市場の崩壊を核に、財務的なダメージを受けたファンドを中心とする投資家たちが流動性確保のためにあらゆるリスク資産を静かに売却し、ポジションを静かに閉じようとした。それを狙った仕掛けによって、世界の株式市場は混乱したのである。

成熟国ではもっともバブルが膨らんでいた日本市場がもっとも大きな影響を受け、調整局面に入っていた米国は震源地であるにもかかわらず、日本よりもダメージが小さかった。そして、今年利益機会の少なかったヘッジファンドのCTA(商品投資顧問)などが、この機会に乗じて派手に動いていることが振幅を大きくしている。

欧米の投資家のセンチメント(市場心理)はかなり悲観的になっている。悲観こそチャンスであるから、真の投資家たちは投資機会を狙っている。しかし、彼らは流動性など関係のない市場、商品を狙っているから、上場株式の混乱はまだ続くであろう。

重要なのは、長期的な実体経済の見通しだ。今回の危機が本当に怖いとすれば、短期の乱高下ではなく、長期的な世界経済の姿だ。中国実体経済の減速が危機の背景にあるとすれば、投資家たちの流動資産への値付けの乱高下、上場株の混乱に留まらず、世界経済もダメージを受ける。

■資源価格暴落は中国経済が転換した象徴

しかし、中国経済は減速するものの順調である。そして、中国政府は減速に対する対策を取らないだろう。減速しなければいけないからだ。ここは中国の虚偽でないGDP増加率はマイナスではないかと疑っている人々の見方と異なるところだが、減速は致命的なものではない。

高度成長の量的な拡大から、成熟経済における質的な充実へ。中国経済は量から質への転換が進んでいる。経済構造、経済の発展構造が変わり進歩している。政府もその流れを止めようとはしない。為替は減価を狙わず、IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)入りを目指している。短期的にはGDP 増大に不利でも、普通の通貨になるための政策を取り続けるだろう。

中国は生産基地から巨大な消費市場となり、経済、生産、消費が質的に高度化していく局面に入った。中国をコストの安い生産基地として利用してきた企業にとっては中国の終わりであり、単なる需要不足解消のために利用してきた輸出企業も、中国依存では立ちゆかなくなる。

しかし、教育水準が高く質の高い労働力を多数抱えた生産拠点となり、サービスを中心とした成熟消費の市場となる中国は、内需サービスを提供する世界企業にとっては異なる様相を見せる。中国企業との提携を狙うM&A、ビジネスモデル投資を行う上で最大の市場となるのである。

中国市場を長期的視点から狙ってきた企業にとって、中国経済の変化は大きなプラスだ。収穫期に入ることを意味するからだ。一方、過去の中国の量的な拡大に依存してきた企業は大きな転換を迫られる。その象徴、先駆けとなったのが資源価格の暴落であり、資源国通貨の下落による資源依存国経済の衰退であり、資源依存による内需バブルが起きていた新興国経済の停滞なのだ。世界経済において、中国市場はこれまで以上に重要な存在となるだろう。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2015年10月07日 13:09:57 : nJF6kGWndY
 
>中国で個人や非金融部門の企業が損失を出しても、その財務的窮地、投げ売りのスピルオーバーは世界に広がらない

わかってないね

中国の生産性(成長率)低下と、経済低迷は、様々な金融経済経路で世界中に波及する(既にしているし、資産バブルの崩壊も、その一面を示しているに過ぎない)

投資家は、当然、それを予想して売買している


>中国が原因で世界の株式市場が暴落したのではない
>世界市場混乱の真犯人は資源バブル崩壊 米国のシェールガス関連ジャンク債市場の崩壊

じゃ、そのシェールバブル崩壊は、どうして起こったのか、という話になる

いずれにせよ、こうした事象に単一要因(真犯人)など存在しない

マネーと財の流れの変化が、様々な要因によって絶えず続き、価格が変動し続け

たまに不連続的大きな変化(バブル崩壊的事象)が生じるだけのことだ



2. 2015年10月07日 22:53:12 : jXbiWWJBCA
コラム:米利上げ後退に賭ける「円買い」の罠=村田雅志氏

村田雅志ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト
[東京 7日] - 9月の米雇用統計が予想以上に弱い結果となり、米連邦準備理事会(FRB)による年内の利上げ開始は難しくなったとの声が強まっている。また、米国も含め世界景気の減速感が強まり、市場のリスク回避姿勢を背景とした円買いの動きが強まるとの見方も一部で示されている。

しかし筆者は、両者の見方に懐疑的だ。年内の米利上げ開始の可能性はそれなりに残されているほか、世界景気の減速感が強まっているとしても、米国一人勝ちの図式に変わりはなく、円買いの動きが強まると期待するのは無理があると考える。以下、その根拠を説明しよう。

<9月の米雇用統計は本当に弱かったのか>

確かに9月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比14.2万人増と市場予想(約20万人増)を大きく下回った。過去のパターンから上方修正が期待されていた8月分も17.3万人増から13.6万人増に大きく下方修正されるなど、雇用拡大ペースは鈍化した。

イエレンFRB議長は、利上げ開始の前提として雇用拡大の維持を指摘しているだけに、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ開始は難しくなったとの見方が強まったのは無理もない。

ただ、雇用の伸び鈍化が利上げ開始を難しくさせると安易に考えることは避けるべきだ。9月の米失業率は5.1%と、2カ月連続でFOMC参加者による中長期的な失業率見通し(4.9―5.2%)とほぼ同水準。失業率がさらに大きく低下することを期待するのは難しく、雇用の「のびしろ」は狭まっている状態だ。

8月、9月と雇用増ペースが鈍化したのは、米国の労働需要が減退しただけではなく、労働市場のスラック(需給の緩み)が縮小したためとも考えられる。サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は雇用統計発表前の講演で、米失業率が自然失業率に近づいていることから、雇用増ペースは今後、月10万人程度になるだろうと指摘。セントルイス地区連銀のブラード総裁も最近、雇用創出ペースが月20万人を下回る状態は将来的には通常状態になる可能性があるとの見解を示している。

アトランタ地区連銀が提供する「雇用計算モデル(Jobs Calculator)」 を使い、労働参加率が9月の水準(62.4%)で一定のまま、失業率がFOMC参加者による2016年見通しの中央値(4.8%)まで同年末に低下すると仮定すれば、月平均の雇用増ペースは14.2万人増と20万人増のペースから大きく減速する試算となる。

また、同条件のもと、2016年末まで月20万人程度の雇用増ペースが維持されると仮定すると、失業率は4.2%まで低下する結果となる。市場が期待していた月20万人増の雇用増ペースが現時点では過大なものになりつつあり、9月のペース(14.2万人増)が今後の標準的な水準であることを示唆していると言える。

弱いとされた9月の雇用統計でも、イエレン議長が重視する労働市場関連指標では改善が続いている点にも注目すべきだ。経済的理由でパートタイムの仕事に従事する労働者(非自発的パートタイマー)を含めた広義の失業率(U6)は10.0%と5カ月連続で低下し、2008年5月以来の低水準を記録。失業者のうち27週間以上職に就いていない人の割合は26.6%と、2009年初頭以降では今年6月に記録した25.8%に次ぐ低さとなった。

総じて言えば、米労働市場のスラックは縮小を続けていると判断され、賃金上昇が加速する恐れは強まっているとみるべきだろう。米国のインフレは、足元では低い伸びが続いているものの、FOMC主要メンバーの多くが想定するように、今後は目標とする2%に近づくと考えられる。

9月のFOMC声明では、「最近の世界経済や金融の動向が経済活動をいくらか抑制する恐れがあり、短期的にインフレ率にさらなる下振れ圧力を与える可能性がある」との指摘が追加され、利上げ開始が見送られた。同じ理由で10月や12月のFOMCでも利上げ開始が見送られる可能性は否定しないが、雇用増ペースが10万人を下回るといったことでもない限り、現状ペースで雇用増が続けば、労働市場のスラックは時間の経過とともに縮小が続くことになる。

10月だけでなく12月も利上げを見送り、FOMCがインフレリスクを放置し続けると考えるのは無理があると言える。年内の利上げ開始の可能性を完全に否定することはできない。

<堅調な米経済を無視した「リスクオフの円高」シナリオ>

足元で世界景気の減速感が強まっていることを理由に、市場のリスク回避姿勢の強まりを予想し、結果として円買いの動きが勢いを増すとの見方も、米景気の現状を無視した無理のあるものに思える。

確かに米国を除く世界各国景気は減速感が強まっている。日本の鉱工業生産は8月に前月比マイナス0.5%と市場予想に反し2カ月連続のマイナス。生産予測指数をもとに試算すると7―9月期は前期比1.1%低下と、2期連続の減産となる見通しだ。日本の国内総生産(GDP)成長率が2期連続のマイナスとなる可能性は高まっている。

中国景気も低迷したままだ。財新/マークイットが発表した9月の中国購買担当者景気指数(PMI)改定値は、製造業PMIが47.2と6年半ぶりの低水準となり、これまで堅調だったサービス業PMIも50.5と改善・悪化の分岐点となる50.0に近づいている。

一方、米国景気は堅調な推移が続きそうだ。アトランタ地区連銀が公表する経済予測モデル「GDPNow」によると、7―9月期の米GDP成長率は10月6日時点で1.1%増と2回連続で上方修正。4―6月期の伸びが3.9%増と高かっただけに、7―9月期の成長鈍化は避け難いが、米景気は個人消費を中心に堅調に推移している。

9月雇用統計の弱い結果に目が行きがちだが、米国の労働投入は拡大基調を維持していることを忘れてはならない。7―9月期の労働投入量(雇用者数に労働時間を乗じたもの)は前期比0.7%増と前期(同0.1%増)から加速。名目雇用者所得(労働投入量に平均時給を乗じたもの)も同1.3%増と前期(同0.7%増)から加速しており、7―9月期の米個人消費にはそれなりの期待が持てる。

10月6日に発表された国際通貨基金(IMF)世界経済見通しでは、世界の成長率見通しが今年3.1%に7月時点から下方修正されたが、米国は2.6%と小幅だが上方修正された。中国をはじめとする新興国や日本の景気減速感が強まる一方で、米国景気は堅調維持という図式が目立ち始めている。

世界景気の減速だけでなく、ドル高や米利上げ開始に対する市場の懸念が高まり、結果として市場のリスク回避姿勢が強まる可能性を否定するつもりはない。短期的には円買いが勢いづくこともあるだろう。

しかし、主要国を中心に景気減速感が強まる中、米国景気が堅調に推移する図式が続く以上、為替市場は結局、ドル買いに回帰せざるを得ない。日銀や欧州中銀(ECB)、中国人民銀行など主要国中銀が緩和姿勢を続ける中で、FRBが利上げ開始を模索しているのであればなおさらだ。

ドル円は人民元切り下げを機に急落したが、9月以降は目立ったトレンドを示すことなく、おおむね119―121円のレンジ内で推移が続いている。このため、新たなトレンド(円買いの動き)に賭ける見方が出るのも理解はできるが、世界経済の現状を無視した考えには、どうしても無理がつきまとうのも事実である。

*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。著書に「名門外資系アナリストが実践している為替のルール」(東洋経済新報社)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
 


コラム:リーマン危機と違う「緩慢なショック」進行か 2015年 10月 02日
フォルクス・ワーゲンの株価下落でトヨタも下落するのは理屈に合わない 2015年 09月 28日
オピニオン:「ドル127円」シナリオの条件=中窪文男氏 2015年 09月 15日
http://jp.reuters.com/article/2015/10/07/column-masashimurata-idJPKCN0S10ME20151007?sp=true


 

焦点:日銀展望リポートと追加緩和、浮上した直結しない可能性

[東京 7日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は、物価の基調に強い自信を示し、30日発表の展望リポートで国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)が下方修正されても、追加緩和に直結しない可能性をにじませた。ただ、マクロ指標の弱さが継続した場合、需給ギャップのマイナス幅拡大を招き、デフレへの逆戻りリスクも浮上しかねない。日銀は実体経済と物価の基調をめぐる難易度の高い判断を求められている。

<黒田総裁、GDP・CPI見通しと物価の基調を分離>

黒田総裁は、金融政策の現状維持を決めた7日の金融政策決定会合後の会見で、日銀が今月30日に示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」における経済成長率(実質GDP)・消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)上昇率見通しと、物価の基調との関連を問われ、「展望リポートの成長率および生鮮食品を除くCPI上昇率の2つだけで、物価の基調がうんぬんされるわけではないと思う」と語った。

成長率は、新興国経済減速の影響で輸出・生産が低迷する中、4─6月期に続いて7─9月期も前期比マイナスに落ち込む可能性が民間エコノミストから指摘されている。コアCPIも原油価格下落の影響で、足元の前年比は小幅マイナスに沈んでいる。

こうした中で日銀は、展望リポートで2017年度までの経済・物価見通しを示すが、15年度を中心に下方修正が必至の情勢だ。7月に公表した同リポートの中間評価では、15年度の実質GDPが前年比1.7%増、コアCPIが同プラス0.7%が見込まれている。

市場では、経済・物価見通しの下方修正が確実視される中で、30日の金融政策決定会合において、日銀が追加緩和に踏み切るとの観測が広がっている。

しかし、この日の黒田総裁の発言は、展望リポートで実質GDPとコアCPIの見通しが下振れても、物価の基調が改善しているとの判断が維持できれば、追加緩和には直結しないとの考えをにじませたと言える。高まる市場の追加緩和観測をけん制した格好だ。

<物価の基調に自信示す黒田総裁>

日銀は物価の基調について、需給ギャップとインフレ期待、賃金動向などで総合的に判断するとの立場を繰り返している。

黒田総裁は会見で、需給ギャップについて「マクロ的な需給バランスは労働面を中心に着実に改善している」と語った。

インフレ期待に関しても、企業の価格設定行動や家計の物価観などを中心に「予想物価上昇率も長い目で見れば、全体として上昇しているという判断は変える必要はない」と断言。

日銀が新たに公表を開始したエネルギーを除いたコアCPIが8月に同プラス1.1%まで上昇率を高めていることなどを挙げ、「物価の基調は着実に高まってきている」と強調した。

<賃上げ持続なければ、期待・価格設定行動に悪影響>

もっとも、さらなる基調の改善に向け、日銀が重視している来年の賃上げは、世界経済減速の強まりを受け不透明感が強まっている。経済界の中には、新興国経済の停滞が継続すれば、企業収益の下振れ要因になるとの声も出始めている。

ただ、黒田総裁は企業収益が過去最高水準にある中で「ベアも含めてさらに加速していく余地はある。そういう状況は整ってきている」と期待感を表明。そのうえで「賃金のさらなる上昇は非常に重要な要素。どのように実現していくか関心を持って見守っている」と語った。

来年の賃上げが期待通りに行われなければ、家計のインフレ期待に悪影響を与えるとともに、消費低迷を通じて企業の価格設定行動が消極化することは避けられない。

また、黒田総裁はGDPに占める製造業の割合が20%程度であることを指摘し、生産が伸び悩んでも、過度に悲観する必要はないとの立場を鮮明にした。

しかし、中国など新興国経済の減速が長期化した場合、製造業の売上下方修正を起点に需給ギャップがマイナス方向に拡大するリスクが顕在化しかねない。

その傾向を先取りし、株価下落や円高が進めば、企業や個人の心理を冷やし、高まってきたインフレ期待に冷水を浴びせることにもなりかねない。

これらの動向次第では、昨年10月末の追加緩和のように、日銀が物価2%目標の達成に向けて強い姿勢を示す局面が出てくる可能性もありそうだ。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)


アングル:政府の携帯値下げ要請、物価上昇に影響も 市場も関心 
ゆうちょ銀、元GPIF幹部を採用 運用チームを強化=関係筋
コラム:中国から逃げ出したマネーの行方
TPP交渉、週内大筋合意の可能性=ニュージーランド首相
米ボーイング、一部737型機の最終工程を中国に移転へ=報道
http://jp.reuters.com/article/2015/10/07/analysis-boj-report-idJPKCN0S118W20151007


日銀追加緩和見送り、新興国減速の影響注視

[東京 7日 ロイター] - 日銀は6─7日に開いた金融政策決定会合で、年間80兆円の国債買い入れを柱とする現行の金融緩和の継続を決定した。新興国経済の減速で輸出や生産が悪化しており、市場の一部では追加緩和期待もくすぶっていたが、黒田東彦総裁は「デフレ状況ではない」「物価の基調は着実に高まっている」などと説明した。もっとも今後は必要ならば追加緩和を辞さない姿勢も繰り返し、市場の緩和期待をつなぎとめた格好だ。

 <市場に電撃緩和期待>

日銀が政策運営の目安とする消費者物価指数で、生鮮食品を除くコアCPIは8月前年比0.1%のマイナスに転落、日銀が掲げる2016年度前半の2%の目標達成は難しい情勢だ。しかも日銀が従来政策判断で重視してきた鉱工業生産が8月は前月比1.2%と大幅に低下し、輸出・生産の悪化で景気が下振れ、物価を押し上げる力そのものが弱くなる可能性から、市場では電撃的な追加緩和の可能性もささやかれていた。

しかし黒田総裁は会見で、「物価の基調は着実に高まっている」と説明。生鮮・エネルギーを除く新コアコアCPIが8月は前年比1.1%まで上昇したほか、日用品などの価格上昇が続いている点を指摘した。

 <人手不足による物価上昇を強調>

8月の鉱工業生産が前月比で1.2%と大幅に下落し、7−9月も2四半期連続で前期比マイナスとなる可能性が懸念されているが、総裁は「鉱工業生産は重要だが、それがGDPの大半を決める状況ではない」と説明。「需給バランスは労働面を中心に改善傾向」とし、人手不足による労働需給のひっ迫が、物価を押し上げていくとの見方を強調した。

安倍晋三首相が9月24日に「デフレ脱却は目の前」と発言し、更なる円安を懸念する政府と日銀の間でデフレ脱却に向けた姿勢にそごが生じているとの見方が市場でささやかれているが、総裁は「政府との共同声明で記された2%の目標を早期に達成する方針に変わりはない」と強調。必要とあらばちゅうちょなく政策調整行うことは変わらない」と繰り返した。「2%達成は道半ばだが、過去2年半でデフレ状況は変わった」とも付け加えた。

 <市場に一定の見方なし>

また「新興国減速の影響で輸出や生産が横ばい状態であるのは事実」とし、「そうしたことも踏まえつつ(経済)全体を見ていく必要がある」とし、輸出・生産の停滞を注視している姿勢をうかがわせた。

会見を踏まえ市場では、「10月に追加緩和をやらなければならない必要性は低い。会見では可能性を匂わせるメッセージも基本的にはなかった」(三菱東京UFJ銀行 市場企画部 チーフアナリスト 内田稔氏)との指摘や「追加緩和を否定もしていない」(大手証券)との見方が出ていた。

*内容を追加します。

(竹本能文 編集:宮崎大)
http://jp.reuters.com/article/2015/10/07/boj-meeting-idJPKCN0S106S20151007



[32削除理由]:削除人:関係が薄い長文

3. 2015年10月08日 13:06:38 : OO6Zlan35k
中国人民元、均衡点に近付いている=人民銀副総裁

[リマ 7日 ロイター] - 中国人民銀行の易綱副総裁は7日、当地で開催されている国際通貨基金(IMF)年次総会のプレゼンテーションで、人民元相場は均衡点に近付いているとの見解を示した。

同副総裁は「中国経済のファンダメンタルズは、為替相場が概ね均衡点にあることを示唆していると考えている」と語った。

人民銀行は8月11日、人民元の切り下げに踏み切り、世界の金融市場に波紋が広がった。また、人民元切り下げに伴い中国の外貨準備高は減少し、元安定化に向けた措置の持続可能性に対する疑問の声も高まった。

副総裁は人民元の切り下げは、元基準値の「小幅な調整に過ぎない」とし、引き続き「一段と市場原理に基づく相場に向かっている」と言明した。


VW、欧州でも排ガス不正操作 ドイツ運輸相が明かす
安倍首相「GDP600兆円」表明へ、介護離職ゼロ目標も=政府筋
ロシア、シリアの「イスラム国」に海上からミサイル攻撃
比較的高水準の成長率維持、十分に可能=習国家主席
仏経済が急減速、第2四半期はゼロ成長
http://jp.reuters.com/article/2015/10/07/imf-g20-china-idJPKCN0S12KW20151007


4. 2015年10月08日 18:25:38 : OO6Zlan35k

ユーロ圏のインフレ率、2%回復はしばらく先=クノットECB理事
By ARCHIE VAN RIEMSDIJK
2015 年 10 月 8 日 17:42 JST

 【アムステルダム】欧州中央銀行(ECB)のクノット理事(オランダ中央銀行総裁)は8日付のオランダ紙フィナンシエール・ダフブラットのインタビューで、ユーロ圏のインフレ率がECBの目標とする2%弱まで回復するのは、しばらく先になるとの見方を示した。

 「2%という目標には何も問題はないが、その達成を目指す中期というのは、以前と比べてやや長いかもしれない」とし、「インフレ率が1年半以内に2%まで回復しないのは明白だ」と述べた。

 ECBは今年3月、ユーロ圏のデフレ転落を防ぐため、量的緩和と呼ばれる月額600億ユーロ(約8兆1000億円)の資産買い入れ策を開始し、少なくとも16年9月までこれを続ける方針を示した。この期限までにインフレ率を目標水準まで押し上げることができなければ、ECBは量的緩和の拡大に踏み切る可能性がある。

 量的緩和の拡大を支持するかどうかについては、それを考えるのは早すぎるとクノット理事は答えた。

 「量的緩和策はまだ計画の3分の1しか完了していないことを指摘しておきたい。今後さらに7000億ユーロを超える資産を買い入れる予定だ。現行策の効果を最大限引き出すことが万人の利益になろう」と語った。


ドイツの貿易黒字、8月は縮小−輸出が7年ぶりの大幅減
By NINA ADAM
2015 年 10 月 8 日 17:32 JST
 【フランクフルト】ドイツ連邦統計局が8日発表した8月の貿易黒字(季節要因・稼働日数調整済み)は196億ユーロ(約2兆6400億円)と、7月改定値の224億ユーロから縮小した。輸出が約7年ぶりの落ち込みを記録したことで、予想の225億ユーロにも届かなかった。

 輸出は前月比5.2%減の977億ユーロと、下げ幅は2009年1月以来の大きさとなった。

 輸入は3.1%減の782億ユーロ。ただ、統計局のエコノミストは季節調整方法をめぐり、夏の休暇の影響を捉えきれていない可能性があると指摘した。

 一方、経常収支(未調整)は8月の黒字額が123億ユーロとなった。これもエコノミスト予想の162億ユーロを大幅に下回った。昨年8月は111億ユーロだった。

 
焦点:ユーロ安予想外に進まず、米利上げ観測遠のき

 10月7日、期待外れの米雇用統計の発表で、米国の利上げ予想時期に修正が加えられ、ユーロ圏と米国の金融政策の方向性が異なるためにユーロが対ドルで急落するとの予想に冷や水が浴びせられた。マドリードで3月撮影(2015年 ロイター/Sergio Perez)
[ロンドン 7日 ロイター] - 期待外れの米雇用統計の発表で、米国の利上げ予想時期に修正が加えられたため、ユーロ圏と米国の金融政策の方向性が異なるためにユーロが対ドルで急落するとの予想に冷や水が浴びせられた。

米欧の金融政策が異なる道筋を辿るという期待感が強まり、ユーロ/ドル相場は2014年5月の1ユーロ=1.40ドルに対し、欧州中央銀行(ECB)が1兆ユーロの量的緩和策(QE)を開始したことし3月には12年ぶりの安値水準となる1.05ドル割れまで下落した。

ゴールドマン・サックスを含む各社はECBのQEがユーロを対ドルでパリティ(等価)を下回る水準まで押し下げると予想していたが、数カ月間にわたり予想に反する値動きが続いたことを受けて一部は予想を見直している。HSBCは現在、ユーロの対ドル相場の予想を7日時点の1.1220ドルに対して年末に1.15ドルとみている。

HSBCのストラテジスト、デービッド・ブルーム氏は「ユーロ/ドルに関しては一方に米連邦準備理事会(FRB)、他方にECBという2つの変動要素がある。FRBはタカ派、ECBがハト派とみられている」と指摘する。

ブルーム氏はその上で「現在われわれは、真実は正反対だと考えている。即ちFRBがタカ派的予想を実現できず、利上げサイクルは仮に実施されるにしても浅く短期にとどまるというものだ。他方、ECBは超ハト派にはなりきれない。従って市場は、さほどタカ派的ではないFRBと抑制的なECBを織り込んでいき、ユーロは上方向に修正されるだろう」との見方を示した。

ECBが必要なら追加緩和も辞さないと表明しているにもかかわらず、今年初めに過去最高のユーロ売りポジションを抱えていた投機筋もユーロに対する弱気見通しを徐々に後退させている。

ECBのQE開始から7カ月が経過したが、ユーロは対ドルで4.5%も上昇し、実効レートEUREER=ECBFでみても3.5%値上がりした。

これは、FRBの利上げが来年に入ってかなり経過した時期までずれ込むとの見方が広がったことが一因だ。9月の雇用統計によってこうした予想は一段と強まった。

<QE2はユーロ安につながるか>

過去2カ月間のユーロの上昇は、中国の人民元切り下げを契機に世界的な景気減速懸念が広がり、低金利通貨を借りて高利回り資産に投資するキャリートレードの巻き戻しが起きたことにも起因する。

通貨高は、ユーロ圏のインフレ率を目標の2%弱に加速させようというECBの取り組みを実現困難なものとする。輸入品の価格が下落すれば、総合指数でみたインフレ率は押し下げられるからだ。

パイオニア・インベストメンツの欧州フィクストインカム部門の責任者Tanguy Le Saout氏は「ECBがユーロ安をQEプログラムの主な帰結と見なしていたことを考えれば、最近のユーロ高はECBにとって頭が痛いはずだ。当社の見方では、ECBは既存QEプログラムの延長についての検討を来年初めまで待ちたいだろうが、ユーロ高が進めば延長を余儀なくされるかもしれない」と話した。

通常、QE拡大の観測が高まればその国の通貨は下落するが、ユーロ相場にはほとんど変化が起きていない。

SEBの通貨ストラテジスト、リチャード・ファルケンホール氏は「QEの第2弾がユーロに大きなインパクトを与えるかどうかは疑わしい。結局、FRBと日銀のQEは通貨の価値を下げるのに限定的な結果しか残せなかった」と指摘する。

日銀が2014年10月に追加緩和を行った後、円は10%下落したが、13年4月の量的・質的緩和の開始時から17%下落したのに比べて小幅にとどまっている。

同様に主要通貨に対するドル指数.DXYはFRBが08年後半にQE1を実施した後に8%下落したのに対し、10年11月のQE2開始後は上昇している。

ECBがQEを拡大する場合、自ら設けた債券保有制限によってデュレーションと規模が限られるという要因もあるだけに、第一弾を開始した時のようなユーロ下落は起こらないとアナリストは見ている。

INGの通貨ストラテジスト、Petr Krpata氏は「当社の見方では実現可能性は非常に低いが、仮にECBが月額の資産買い入れを現在と同じ規模、つまり600億ユーロだけ増やしたとしても、ユーロに対する影響は初回のプログラムに比べて小さいだろう」と話している。

(Anirban Nag記者)


焦点:経済対策の判断前倒しへ、政府で強まる世界経済減速への危機感
ロイター調査:S&P500の株価予想切り下げ、世界経済と米利上げに不透明感
韓国サムスンの第3四半期見通し、営業益は前年比8割増 予想上回る
復興財源確保へ大型IPO、東証が郵政上場を承認
中国経済減速の影響は「全くない」=柳井ファーストリテ社長
http://jp.reuters.com/article/2015/10/08/analysis-euro-idJPKCN0S20IR20151008


 
ドイツ銀株が下落、戦後復興期以来の無配転落の恐れ
2015/10/08 16:46 JST 

    (ブルームバーグ):8日のフランクフルト市場でドイツ銀行の株価が下落。第2次世界大戦後の復興期以降で初めて無配に転落する恐れがある。ジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)はこれ以上の増資を避けながら事業を立て直そうとしている。
同行は2大部門の事業価値を償却するとともに、法的費用に備えた引当金を積み増す結果、7−9月(第3四半期)が62億ユーロ(約8380億円)の赤字になる見込みだと明らかにした。少なくともここ10年で最悪の赤字となる。同行の株価は一時3.6%安となり、フランクフルト時間午前9時12分現在は1.5%安。
原題:Deutsche Bank Drops as Cryan Moves to Scrap Dividend After Loss(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Nicholas Comfort ncomfort1@bloomberg.net;ニューヨーク Michael J. Moore mmoore55@bloomberg.net;ニューヨーク Hugh Son hson1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Peter Eichenbaum peichenbaum@bloomberg.net Katherine Chiglinsky, Jun Luo
更新日時: 2015/10/08 16:46 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVVNCU6S972U01.html



  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民101掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民101掲示板  
次へ