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ラオックス本店(「Wikipedia」より/Musashikoganei)
凄まじい勢いの中国人「爆買い」が、凄まじい勢いで消滅後の惨状
http://biz-journal.jp/2015/10/post_11818.html
2015.10.06 文=編集部 Business Journal
日本を訪れた外国人旅行者が9月10日までで1342万人を超え、過去最多だった昨年1年間の実績(1341万人)を上回った。観光庁は今年の年間旅行者数が1900万人に達するとの見通しを明らかにした。政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、訪日外国人の数を2000万人にするとの目標を掲げている。
牽引したのは中国からの旅行者。1月にビザの要件を緩めた中国からの旅行者は、1〜8月に前年同期の2.17倍の334万人となり、外国人訪日旅行者全体の4人に1人を占めた。上海株式市場で株価が急落し、中国の景気減速が鮮明になったが、現在までのところ訪日旅行者の数は減っていない。8月単月でも59万人と過去最高を記録した。
■ラオックスの好調
中国人による「爆買いバブル」の恩恵を大きく受けた企業のひとつが、免税店大手ラオックスだ。同社の15年1〜6月中間決算の売上高は前年同期に比べて2.2倍の451億円、営業利益は17倍の49億円、純利益は79倍にあたる46億円で過去最高となった。中国人旅行者の「爆買いツアー」が業績に大きく貢献した。同社の月次報告を見ても、中国人の爆買いの様子は凄まじい。
(資料:ラオック月次報告より。※は観光庁発表の数字)
ラオックスは家電量販店の老舗だったが、業績不振が続き再建を断念。09年に中国の同業の蘇寧電器(現・蘇寧雲商集団)の傘下に入り、中国人向けの総合免税店へ業態を転換した。長らく赤字経営が続いたが、中国人旅行客の急増という神風が吹いた。国内の売り上げの9割が外国人旅行客によるもので、なかでも航空路線の拡大や大型客船のクルーズなどにより中国人旅行客が急増し、家電製品や化粧品の売り上げが大きく伸びた。
15年12月期(通期)連結決算の売上高は前期比79.3%増の900億円、営業利益は5.1倍の90億円、純利益は6.6倍の83億円を見込んでいる。
「爆買い効果」で、ラオックスの株価は爆騰した。株価は14年8月までは50円前後だった。14年12月期の最終損益が黒字に転換することが判明し、上昇が始まった。14年12月3日には年初来高値、326円をつけた。15年に入り、さらに株価の上昇に弾みがついた。7月24日には564円と最高値を更新。1年でざっと10倍にハネ上がった勘定だ。
だが、上海株式市場の株価急落を受け、中国関連銘柄が売られた。ラオックスの株価は9月に入り400円前後で推移している。爆買いバブルが弾けるのではとの警戒感が台頭したためだ。
ラオックスは強気だ。397億円の増資に踏み切った。増資によって得られた資金は新規店舗の設備投資に充てる。首都圏や関西、九州、北海道などに11店の大型店を出店。ショッピングモールや空港、港にも中小型店を新設する方針だ。
■企業は慎重姿勢
観光庁の調べによると、中国人旅行客の1人当たりの買い物代は10万円以上と突出している。人気商品は魔法瓶、電子炊飯器、温水洗浄便座、ヘルスケア・化粧品など。家族や友人と「山分け」するために大量に買う。「爆買い」という中国人の消費行動は、日本経済に恩恵をもたらした。しかし、商品を供給するメーカーは、増産について極めて慎重だ。チャイナリスクが、あまりに大きすぎるからだ。
12年9月の尖閣諸島国有化で、中国旅行客が激減したことは記憶に新しい。円高に振れれば、訪日旅行客の足が遠のくのは、これまでにも経験済みだ。爆買いバブルが弾ければ、また同じことが繰り返される。よってメーカーは、一時的な爆買い消費に浮かれることはない。
円安時代に韓国人や中国人の旅行客で賑わったリゾート地の観光ホテルが、円高に転じたとたんに客が激減。日本人の観光客も戻ってこずに苦境に陥ったことがあった。
集中豪雨のような爆買いバブルは、その副作用が大きいことを企業は警戒している。
(文=編集部)
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