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10月5日、新興国通貨の対ドルでの下落が、日本企業の収益を圧迫している。リオデジャネイロで9月撮影(2015年 ロイター/Ricardo Moraes)
焦点:新興国通貨安が日本企業の収益圧迫、円安効果目減り要因に
http://jp.reuters.com/article/2015/10/05/real-idJPKCN0RZ0C220151005
2015年 10月 5日 15:08 JST
[東京 5日 ロイター] - 新興国通貨の対ドルでの下落が、日本企業の収益を圧迫している。これまで米利上げ観測の強まりでブラジル・レアルBRL=やロシア・ルーブルRUB=などが下落してきたが、部品や材料の調達が「外国から外国」の場合、基軸通貨のドルに対する下落はコスト増となる。
現地での販売が多ければ、価格転嫁も簡単ではない。米金融政策の見通しは揺れているものの、円安下でも思わぬ利益圧迫要因となりそうだ。
<現地生産化のメリット・デメリット>
ホンダ(7267.T)は歴史的なレアル安に直面している。年間12万台の生産能力を持つブラジルの四輪車工場では主にドル建てで部品を調達しており、ドル高/レアル安によって一台あたりの部品調達コストが上昇する。生産車両のほとんどはブラジル国内で販売しているため、コスト上昇分を販売価格に転嫁することはなかなか難しいという。
「現地生産が増えて、良くも悪くもドル/円の変動に対する影響は受けにくくなったが、足元は新興国通貨安のダメージがある」──。ホンダの関係者はこう漏らす。
7月末に公表した2016年3月期の営業利益見通しでは、ドル/円のプラス効果が680億円となる一方、対ドルでのレアル安、カナダドルCAD=D4安、メキシコ・ペソMXN=安などが1040億円のマイナスになる。ドル/円よりも、ドル/その他通貨ペアからの影響の方が大きい構図だ。
同社の今期ドル/円想定レートは現時点で115円。円安が1円進めば、営業利益ベースで年間約110億円のプラス要因になる。ドルは7月初めから9月末までの終値平均で122.10円台となった。
一方、同期間にレアルは対ドルで20%超下落、過去最安値を更新した。カナダドルは5%超、メキシコ・ペソも6%超それぞれ下がっている。東海東京調査センターの自動車担当アナリスト、杉浦誠司氏は、ホンダの7─9月期の為替影響について「新興国通貨の対ドルでの下落が、ドル/円の円安メリットの大半を相殺してしまう可能性がある」と指摘する。
<JTはルーブル安を懸念>
JT(2914.T)は、対ドルでのロシア・ルーブル安が懸念材料となっている。ロシアで生産・販売するたばこの原材料の一部は、ドル建てで輸入。対ドルでルーブルが安くなれば輸入コストが上昇し、原価率の悪化につながる。
ロシアにおけるルーブルでの売り上げはいったんドル換算される。ルーブル安が進めば、ドルベースでの売り上げが目減りしかねない。 JTの中間期の売上高に占めるロシアの割合は市場の推計で10%強。決算上の前提為替レートを1ドル=57.5ルーブルとしているが、足元は66ルーブル近辺。「ルーブル安がさらに進行すれば、当然利益に厳しい影響を及ぼす可能性もある」(クレディ・スイス証券のリサーチアナリスト、森将司氏)との声も出ている。 JTは9月29日、米たばこ大手レイノルズ・アメリカン(RAI.N)から、たばこブランド「ナチュラル・アメリカン・スピリット」の米国以外の事業を約6000億円で買収すると発表した。
翌日30日の株価は一時10%超安。買収額が割高と受け止められたこともあるが、米国以外の事業の買収であり、新興国通貨下落の影響拡大が懸念された面もあるとみられている。 一方、電機メーカーによると、新興国通貨安の影響はそれほど大きくないという。ソニー(6758.T)は基本的にドル建てベースで部材を調達しているが、為替変動の影響は価格設定によって吸収。日立製作所(6501.T)も「ほぼドル建てで取引が完結しており、大きな影響はない」としている。
<グローバル化は依然進展中>
国内市場が縮小するなか、日本企業のグローバル化は拡大の一途をたどっている。調査会社IHSオートモーティブがまとめたライトビークル(乗用車および車両総重量6トン未満の商用車)の販売予測によると、日系自動車メーカーの全世界販売に対する新興国比率は、2005年の28%から15年に45%まで上昇。25年には55%まで高まる見通しだ。
生産面では、超円高を教訓として現地生産へシフトしており、新興国での生産も増えてきた。ただ、部品の現地調達は過渡期にあたり、各拠点で「自己完結」できていない企業も多い。現時点では新興国通貨安は日本企業の採算悪化につながるケースもある。
新興国通貨を占う上で最大の注目点は、米国の金融政策だ。2日の9月米雇用統計が弱い内容で、利上げ時期の後ずれも指摘されている。
だが、第一生命経済研究所の主席エコノミスト、西浜徹氏は「年内利上げ観測が強まれば、短期的に新興国・資源国通貨も安くなりやすい」とし、新興国通貨の中でもトルコ・リラ、レアル、ランド、マレーシア・リンギット、インドネシア・ルピアなどで下方圧力が強まりやすいとみている。
(杉山健太郎 長田善行 取材協力:山崎牧子 編集 田巻一彦)
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