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都市部の老人ホームは4〜5千万円が必要? おひとりさまの“終のすみか”選び〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151005-00000000-sasahi-life
週刊朝日 2015年10月9日号より抜粋
おひとりさまにとって、最も気がかりな“終のすみか”。だが、一口に住み替えといっても、一人ひとりの抱える事情はさまざまだ。そこで今回は、条件別に、どんな住み替え先が適当かを考えてみた。
「住み替えで最も大事な条件は、現時点で元気か、自立できているかという点でしょう。介護保険認定の有無が判断基準になります」
高齢者住宅に詳しい有料老人ホーム・介護情報館館長の中村寿美子さんは、こう話す。中村さんによると、要介護認定されている場合は、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などの介護施設のほか、有料老人ホーム、 介護型のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やケアハウス、グループホームなどへの入居が前提となってくる。
一方、元気な高齢者の選択肢は多い。有料老人ホーム、自立型のサ高住や自立生活が基本の一般型ケアハウス、シニア向けマンションのほか、バリアフリー仕様の都道府県営住宅や市営住宅、UR都市機構の高齢者向け優良賃貸住宅やシルバーハウジングなどもある。
見守りや生活相談など、サ高住で義務付けられているような比較的簡易なものも含め、サービスは一切不要、となれば一般のマンションももちろん“アリ”だ。気の合う仲間で共同生活する「グループリビング」を計画してもいいだろう。
とはいえ、どんな住まい方でも気になるのは、費用。
資産が1千万円に満たない場合は、賃料が低い賃貸住宅がまず視野に入る。運営費の一部が公費で補助され、所得の低い人は比較的軽い負担で入居できる一般型ケアハウスや、シルバーハウジングなどだ。
シルバーハウジングは、従来の公営住宅やUR都市機構の住宅を高齢者向けにバリアフリー化した賃貸住宅。同機構の高齢者向け優良賃貸住宅も、収入に応じて家賃補助があるので人気があるという。ただし入居者が地域住民に限られるケアハウスやシルバーハウジングもあるので、自治体、UR都市機構の営業窓口で確認したほうがいいだろう。
他方、有料老人ホームやサ高住、シニア向けマンションは、立地、施設やサービス内容により幅はあるが、ある程度まとまった額が求められる。高齢者住宅情報センター大阪センター長の米沢なな子さんは、
「人件費も地代も高い東京や大阪などの大都市の有料老人ホームは、入居一時金が3千万円ほど必要。更に月々の管理費もかかります。入居時に4千万〜5千万円ぐらいの資産がなければ厳しいでしょう」
と話す。施設が充実したシニア向けマンションも同様だ。サ高住は賃貸が基本だが、賃料の前払いが求められる場合もある。都市部は賃料も15万〜20万円程度みておくべきだろう。
こうした施設のハードルは高いが、解決策はある。都市部を離れるのだ。
「地方なら有料老人ホームなどの高齢者住宅でも、1千万円ぐらいの物件があります」(米沢さん)
大都市でも、プールに温泉などの豪華設備を望まなければ、手が届きやすくなるのではないかという。
確かに、住み慣れた地域からの移住も視野に入れれば、身の丈に合う住まいは見つかる。けれども、おひとりさまにとって、友人や、仕事などを通じて築き上げた関係は、時に血縁のしがらみよりも重みがある。「移住は嫌」「生活を変えたくない」と望む高齢のおひとりさまが圧倒的だという。
だが、前出の中村さんは経験上、「立地や生活スタイルにこだわりすぎないほうがいい」と助言する。
「大切なのは、住まいの質です。施設だとストレスが少ないからか、自分で思った以上に長生きされるんです。人生のかなりの時間を過ごすことを考えたら、食事や入居者の方や施設の雰囲気、スタッフの対応などを、重視したほうがいいでしょう」
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