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日銀黒田総裁に寄りそう影は「円安の副作用」のようにも見える。7日の日銀金融政策決定会合での「黒田バズーカ第3弾」はあるのか
「黒田バズーカ第3弾はない」と言える理由 市場が期待する一段の金融緩和策はあるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/86937
2015年10月04日 馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
■なぜ雇用統計が不調でも米国株は急速に切り返したのか
10月2日(金)発表の米雇用統計は、市場の予想を下回る内容だった。非農業部門雇用者数については、すでに発表の7月分、8月分が下方修正されたうえ、今回公表された9月分も前月比で14.2万人増にとどまり、メドとされる20万人を大きく下回った。
また週当たり労働時間は伸び悩んでいる(9月の労働時間の前年比はちょうどゼロ)。すなわち、労働投入量(=雇用者数×労働時間)の頭が重くなっているわけで、これはそのまま仕事量の伸び悩みと読み替えられる。
米国の経済諸指標をざっと眺めると、内需系の指標、すなわち自動車販売、小売売上高、住宅着工などは、今年初の厳冬や西海岸の港湾ストの影響を脱したのち、概ね回復基調を維持している。すなわち、内需を中心とした米国経済の回復基調自体は、懸念する必要は薄い。この景気の強さが、週末2日の米株価や米ドル相場を、「雇用統計ショック」による下振れから大いに押し戻したと考えられる(同日のNYダウは、ザラ場安値から終値まで459ドル、率にして2.9%も切り返しており、これは2011年10月4日以来の大きさ)。
これとは対照的に、主要な経済指標のなかでも、鉱工業生産やISM製造業景気指数は弱含みだ。米ドル高が米国からの輸出を抑制しているためと推察される。
すなわち、内需非製造業が堅調でも、外需製造業が相対的に不振という図式である。輸出向け製品の生産が減退し、それが仕事量を圧迫して、労働投入量の伸び悩みを引き起こしているとみられるわけだ。
とすれば、連銀や米政府はここからどんな手を打って来るだろうか。
■利上げはしても、ドル高は阻止したい連銀と米政府
米ドル高が米経済にとって好ましくない状況を生じていると考えられるわけだが、では連銀が利上げをためらうかと言えば、そうはならないだろう。
連銀としては、米経済が異常状態でない限り、異常な金融政策、すなわちゼロ金利から脱却したい、と考えている。つまり、年内実施と見込まれる最初の利上げは、「金利の正常化」に過ぎないということだ。米ドル高を招かないように、という配慮は、2回目以降の利上げに対して行なわれ、このため2回目は、来年でもかなり先のこととなろう。
一方で米政府は、陰に陽に米ドル高をけん制してくると見込まれる。すでに今年4月の半期為替報告書でも、日独が金融政策(間接的には金融緩和による自国通貨安)に頼り過ぎていると批判していた。
今月(発表日未定)に公表される予定の同報告書でも、4月と同様に円安・ユーロ安の牽制がなされうる。
目を引くのは、日米で為替のこれまでの方向性が真逆(米国はドル高、日本は円安)であるにもかかわらず、両国の雇用や内外需の状況が日米で似ていることだ。
■日本も「輸出不振、内需堅調」は米国とそっくり
どういうことだろうか。日本の雇用面を見ると、2日(金)に発表された8月の失業率は、前月より0.1%ポイント悪化(上昇)した。ただし、失業率の長期トレンドが変わったわけではなく、依然として改善(低下)の流れが崩れたとは言えず、大きく懸念する必要はない。
ところがその一方で、所定外労働時間(残業や休日出勤の時間)の前年比はマイナスが続いており、日本でも仕事量の伸び悩みにより、労働投入量に労働時間面から陰りが出ている。
仕事量減少の背景にあるのも、米国と同様に輸出の不振だ。これまでの円安にもかかわらず、輸出数量指数は前年比でプラスマイナスを出入りするような状況だ。輸出数量が伸びない要因としては、さまざまな要因が挙げられているが、円安によって、期待されたメリットが空振りとなっている。
内需非製造業の堅調、外需製造業の不振が、相対的にみられるという事態も、米国とよく似た現象だ。1日(木)発表の日銀短観では、足元の大企業の業況判断DIが、製造業は悪化、非製造業は改善、という形で表れていた。
また、内需関連の8月の実質家計支出(2日(金)発表)が2.9%増と3か月ぶりのプラスになった一方、9月30日(水)に公表された8月の鉱工業生産は、前月比が2か月連続の減少を記録した。このままでは7〜9月の実質GDP前期比は、2期連続のマイナスを記録する公算が生じている。
このように、円安でも輸出増というメリットが生じていないが、円安による輸入価格の上昇で、加工食品などが値上がりし、消費者マインドを冷やしているという指摘がなされている。
すなわち、日本にとって、足元では円安のデメリットが勝りつつあるわけで、加えて米国が米ドル高に神経を尖らせているとすれば、日銀が為替市場への影響を意図するにせよしないにせよ、追加緩和を行なって円安が進む事態は好ましくない。もちろん大幅な円高になっても困るのだが、円安も引き起こしがたいとなれば、日銀は、10月6日(火)〜7日(水)の金融政策決定会合でも、その先でも、現状維持を選択するだろう(いわゆる「黒田バズーカ第3弾」は見送られるだろう)。
もともと、いつまでも金融政策に依存し続ける状況が不健全であり、他の経済政策にバトンタッチすべきなのだが、次のランナーがなかなか現れない状況だと言える。
■依然として「徳川家康」のごとく我慢の日本株
考えてみれば(考えてみなくてもわかるかもしれないが)、一発で景気がすさまじく回復し、株価が暴騰するような対策、といったものはありえない。
筆者はそうした策は思いもつかないが、「きっと安倍政権が考えだしてくれる」、などという望みは持たない方がよい。地道に、各産業分野でコツコツとさまざまな策(たとえば都市インフラ輸出の振興など)を政府が積み上げ、一方で自律的な景気回復や企業の自助努力による収益の持ち直しを、待つしかないだろう。したがって、まだまだ「二進一退的な相場」を覚悟せざるを得まい。
前回のコラム「日本株、大型連休後はどうなるのかhttp://toyokeizai.net/articles/-/85270」でも「徳川家康ではないが、重荷を背負って遠き道を行くがごとく、将来の果実を楽しみにしよう」と書いた。海外に目を転じても、中国経済等の不安も依然簡単には消えそうもないし、結局、今週の日本株はこの「家康状態」から抜け出せそうもない。
ただし一方で、株価を底抜けさせるような、新規の悪材料も見出しにくい。今週の日経平均株価は、底値圏の形成から慎重に上値をうかがう時期だと考え、1万7600〜1万8200円を予想する。小幅だが1万8000円台を再度奪回する見通しだ。
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