http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/226.html
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12年秋以降の円安傾向は、ECBの南欧を含む国債の無制限買い取り表明による「ユーロ圏銀行危機」の終息が基本要因であり、円安の流れが始まって半年ほど経過した13年4月に開始された黒田日銀の「異次元量的金融緩和政策」が直接の要因ではない。
むろん、市場関係者は、日銀の量的緩和政策が円高を抑制すると判断しただろうがそれ以上のものではない。
なぜなら、ベースマネーは日銀当座預金残高が急速に膨らむかたちで増えたが、実体経済の動きを反映するマネーサプライは緩やかにしか増えていないからである。
何より象徴的なことは、日本経済を量的に牽引しているグローバル企業の現預金は一段と積み増され240兆円にも達した資金の偏在である。設備投資意欲も低いが、そこそこレベルの設備投資なら、主要企業は借入金を増やす必要がない財政状況になっている。
対ドルで円安に動くというのは、金利や投機といった要因を除外すると、日本の方がインフレ率が高い状況にあるからである。そして、インフレ率は、消費財供給量が同じ場合、ベースマネーではなくマネーサプライの増加に支えられて高まる。
アベノミクスの第1の矢である「量的金融緩和政策」は、それ自体が、デフレからの脱却を実現するわけでもなければ、円安をリードするわけでもない。
「量的金融緩和政策」は、アベノミクスの第2の矢である「機動的で拡張的な財政政策」を支える政策というのが正しい見方である。
言い換えれば、「国債サイクルの管理」政策であり、金利の上昇を防ぎながら機動的かつ拡張的な財政支出を実現するための政策が「量的金融緩和」政策なのである。
1本の矢だけで十分な内容だが、安倍首相が唱えた「新3本の矢」は、黒田日銀的“経済はキタイだ!”姿勢からの脱却宣言のように思える。
量的金融緩和は「国債サイクル管理」のために継続されるが、“経済はキタイだ!”を体現した追加緩和は行われないと思う。
※ 関連参照投稿
「「一億火の玉」を想起させる「一億総活躍」:50年後も人口1億を維持と表明、有効な共時的政策がないことを露呈させた安倍首相」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/614.html
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[ポジション] 追加緩和回避 透ける思惑
首相、「新3本の矢」で家計重視 日銀との足並み、市場注視
安倍政権の金融緩和への距離感が関心を集めている。安倍晋三首相が新たな「3本の矢」などで家計を重視する姿勢を鮮明にしたことで、政権は食品の値上げにつながる円安を招きやすい追加緩和を望まないとの見方が広がっている。一方、首相は名目国内総生産(GDP)600兆円の達成を目標に掲げた。目標実現まで異次元緩和を長期間、求めるとの観測も浮上している。
市場では、中国経済の減速や世界的な株安をうけて追加緩和の観測もじわりと広がっている。だが、政府高官は周囲に「政府や日銀が焦って動く必要はない」と漏らした。内閣府幹部も「首相官邸は追加緩和に否定的だ」と言い切る。
最近の経済指標は日本経済の足踏み状態を示している。それでも政府側から追加緩和に慎重な発言が飛び出す背景は、政権交代から2年半あまりの経済成長を見ればわかる。
年換算した名目GDPは、第2次安倍内閣が発足した2012年10〜12月期から直近の15年4〜6月期にかけて27兆円、率にして6%増えた。内訳は設備投資や公共投資など公的需要が8%伸びたのに対し、個人消費は2%増にとどまった。個人消費の回復は昨年4月の消費増税の影響もあり、明らかに出遅れた。
首相はこれまでも経済政策のアベノミクスを最重要政策と位置付けてきたが、24日の記者会見では「第2ステージへと移る」と強調した。新たな「3本の矢」では強い経済のほか、子育て支援や社会保障の充実など家計重視を打ち出した。
11日の経済財政諮問会議では、家計負担が10年間で2割増えた携帯電話料金の引き下げ検討も指示した。みずほ銀行の唐鎌大輔氏は一連の取り組みを「円安で家計の所得が痛むなか、リフレ色を弱めることを意識した」とみる。輸入食材など必需品の値上がりなど家計にとって負担が先行しかねない追加緩和は極力避けてほしいとの思惑が透けるというわけだ。
政府側の金融政策への関心が低くなったわけではなさそうだ。新3本の矢は金融政策を明示しなかったが、麻生太郎財務相は「1本目(強い経済)に今までの3つが集約されている」と指摘した。「デフレ脱却はもう目の前だ」という首相の言葉からも、まだ脱デフレへの手綱を緩めるのは早いとのメッセージが読み取れる。
首相が掲げた「名目GDP600兆円の達成」という目標は金融政策を揺るがしかねないと見る向きもある。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「目標が近づくまで、過度な金融緩和に依存する」と読む。
政府側の思惑が「今の緩和政策は続けてほしいが、追加緩和は望まない」とすると、次の問題は日銀と足並みがそろうかどうか。首相は訪米直前の25日も黒田東彦日銀総裁と官邸で国内外の経済情勢を巡り意見交換するなど緊密さをアピールした。2人の思惑が一致しているかどうか、市場は注視している。
(川手伊織)
[日経新聞9月29日朝刊P.17]
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