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「東京管理職ユニオン」のアドバイザー・設楽清嗣氏
なぜブリヂストン社員は社長室で自殺したのか
http://biz-journal.jp/2015/10/post_11805.html
2015.10.03 構成=吉田典史/ジャーナリスト Business Journal
安倍晋三首相は9月24日、自民党総裁に再選されたことに伴い記者会見を開いた。その場で、今後の経済成長の新戦略として以下の「新3本の矢」を掲げた。
(1)希望を生み出す強い経済
(2)夢を紡ぐ子育て支援
(3)安心につながる社会保障
安倍政権は、発足以来経済成長を政権運営の大きな柱としてきた。そして株価は上がり、景況感は好転した。しかし、一部の企業の業績が上向き、内部留保額が増えただけで、国全体として経済の好循環が成り立っているわけではないと指摘する声もある。
「労働運動の闘士」と呼ばれ、55年以上最前線で闘い続けてきた「東京管理職ユニオン」のアドバイザー・設楽清嗣氏は、「経済成長を最優先する路線では、日本経済を再建することができない」と語る。成長路線を軌道修正するチャンスであったのが、2009〜10年の民主党・社民党・国民新党の連立政権だったと指摘する。
「当時、内閣のひとりと議論をする機会があった。この男性は我々ユニオンと同じ志を持っていたが、いざ民主党が与党になると態度が変わった。『今の民主・社民・国民政権では、経済成長を優先することになっている。それに異を唱えることはできない』と言っていた。
あの頃の民主党は、自民党と似たような政策しかなかった。今後の経済社会をどのようにするか、そこに向けてどうするべきかを深く考えていないようだった。つまり、今後の社会を構築する力が著しく弱い。経済成長を最優先し、それで得た富を国で再分配する考え方は、ケインズ的福祉国家を主張する共産党も同じようなものだ。それは、時代感覚がずれている」(設楽氏、以下同)
設楽氏の持論は、経済社会の草の根の小さな会社や事業所、労働者層が互いに助け合い、支え合えるような仕組みをたくさんつくるべき、というものだ。
「そのひとつが、労働者の自主管理による企業再建だ。こういうところをいかに増やし、強くしていくか。それが今、問われている。
日本の場合は、欧米や南米の国々に比べても草の根の力が弱すぎる。これでは、経済再建はできない。アメリカの民主党もイギリスの労働党にも、それを心得た指導者が現れた。日本の政治は、経済社会とかけ離れたところにある。国会や内閣などが国民の生活や庶民の意識とはまるで違う論理で動くから、問題が次々と起きる。その溝を埋めるためにも、我々は政治に働きかけをしないといけない」
■政治は底辺の力を軽く見ている
草の根の力が大切であることは理解できるが、政府が主導し、経済成長を引っ張らないと、経済の再建は難しいようにも思える。しかし設楽氏は、「その考えでは、再建はできない。もっと労働者の自由闊達な勤勉さを信じることが大切」と語る。
「今の自公政権にしろ、民社国の政権にしろ、草の根の力を信じていない。ここ数十年、日本の政権は、底辺の力を軽く見ている。これは、近代や江戸時代をどうとらえるかといった問題でもあると思う。
もともと日本人には、謹厳実直に働く力がある。為政者は、それを信じるべきなのだ。禁欲的緊縮財政ではなく、自由闊達な勤勉さが大切なのだ。すでに江戸時代の庶民の生活には、その気風が満ちていた。ところが、江戸幕府は人々を信じることができなかった。だから、バカな緊縮財政などを行っていた。そんなことをしなくとも、飢饉がきたら、それを乗り越える力を当時の人々は持っていたのだ。幕府がおかしなことをするから、逆効果となり、一揆などが起きていた。
近代になってからも、日本人の勤勉さは変わらない。それにもかかわらず、政府は禁欲的緊縮財政をしてきた。これが、状況を一層悪化させている。私は、日本人の自由闊達な勤勉さを信じている。この勤勉という言葉が好きだ。民主党や社民党、共産党などは、国民を信じて政策をつくるべきなのだ」
■サラリーマンは、抗議をすることも、考えることも奪われている
為政者や経済界のリーダーたちは、自由闊達な勤勉さを信じていないのかもしれない。少なくとも、会社の職場では、そんな勤勉さは否定され、コントロールされた見せかけの勤勉さが浸透している。
設楽氏は、「サラリーマンは会社から自由闊達な勤勉さを奪われ、なんでも言いなりになるように洗脳されている」と指摘する。
その一例として、1999年、ブリヂストンの社員が社長室で自殺した事件を挙げる。報道によると、同社のリストラに抗議しての自殺だったという。1週間後、設楽氏たち150人ほどがブリヂストン本社前で抗議活動を行った。通り過ぎるサラリーマンやOL、学生たちが真剣に話を聞いてくれたという。
「『自決を強いたものはなんだったか、ブリヂストンは考えろ!』と演説した。私は、男性社員が自殺したことが残念だった。我々と一緒に闘うことができたのではないかと思った。それが、今振り返っても悔しい。我々のところへ来たら、死なせずに済んだのに。サラリーマン労働者たちは、抗議をすることも、考えることも奪われているのだ」
そして、「会社員である以上、基本的には業務命令に従い、勤勉に仕事をするべき」と前置きし、こう続ける。
「『この業務命令はおかしい』『あの上司の言動はおかしい』『どのタイミングで言えばいいのか』といったことは、絶えず考えないといけない。その駆け引きが大切。それができないと、なめられる。それは日々のやりとりで学ぶものなのだ。ところが、会社は考えさせないようにしてくる。
闘いを経験すると、駆け引きがわかる。たとえば、抗議をしてチラシをまく。すると、警備員や警察がくる。そこで何を言うか、どうするか、その後の団交にどう臨むか、そんなことを考えながら闘っていく。この繰り返しで闘いに慣れて、強くなっていく。そんなトレーニングをするためにユニオンがあるのだし、我々がいる。今朝も、私は労働相談に来た会社員を叱った。『俺に反論をしろよ! 社畜になるな!』と怒鳴った。すると、「はい、はい」と言いなりになる。そんな人を見ると妙に悲しくなる。
もちろん、はじめから私のようにはなれないと思う。私も50年前は、こうではなかった。闘いを繰り返すうちに、その緊張のやりとりの中で鍛えられて、したたかになっていくのだと思う」
(構成=吉田典史/ジャーナリスト)
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